三角みづ紀のレビュー一覧

  • 骨、家へかえる

    Posted by ブクログ

    人は「差異」を敏感に捕獲し蓄える。
    この小説では四人の男女の「差異」による内省が、スクランブル交叉点を歩く人間の如く同時に、肩をぶつからせながら描かれている。
    貴方又はあの人と私、記憶と現在、真意と意図。

    一つ言えるのはそこには私が常在し、私による価値基準で、私が持つ判断材料で「差異」と下し距離を置くのである。私が私であるが故に感じてしまう「差異」であれば私でなければ良い、と前に読んだ著者の詩集で、もや掛かる違和感があったのだが、今回は受容があり感じなかった。

    独自の美しい言葉が置かれている。

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    2011年02月27日