宇都宮健児のレビュー一覧
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一気読み。都知事選の脱原発候補の一本化の裏話は、当時は色々な言説が飛び交っていたが、当事者としての話だけに面白い。大事なのは「選挙の成果は当落だけで判断しがちですが、選挙戦の中でどれだけ運動の輪が広げられるかも重要なポイント」と述べられているが同感である。都知事選後も選対本部は解散せず、運動の輪を広げているそうである。その確信は粘り強いクレサラ運動で法律を変え社会を変えてきた確信から来ているのだろう。市民運動の成熟については、当面は一点共闘でどれだけの運動が広がるかが、政治を変える力にもなるのは、沖縄の情勢が示している。たまたま読んだのが選挙前であったが、今の情勢を考えるのに良い本だと思った。
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宇都宮さんが、結局は猪瀬さんが都知事に当選したときの選挙後まもない頃に書いた本。都知事選のこと、クレサラ問題への取り組み、日弁連の会長選のこと、司法改革に伴う弁護士の貧困などを取り上げている。宇都宮さんの活動や主張に触れながら、友人のHくんやIさんのことを思い出した。3人とも見た目はやわらかなのに芯が強い。
一冊を通じて市民運動とは何か、どうあるべきかということを実践レベルで教えてくれる。とかく、正論、正攻法であるがゆえにそこから抜け切れず狡猾な他勢力を前に敗れたり、妥協や融和に背を向けわが道を突っ走りがちな市民運動だが、やはり現実的に考えていくならば、まっすぐに進むだけでもダメで、戦略が必要 -
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都知事に立候補したことで、記憶に新しい弁護士、宇都宮健児氏が著者。
著者がライフワークとして取り組んでいたクレサラ運動。
グレーゾーン金利を撤廃する、という主張が市民運動をきっかけに盛り上がり、2006年の「新貸金業法」成立という画期的な成果に結びついたのは特筆すべき事件である。これが第2章「クレサラ運動」の歴史的勝利。
また、「貧困と格差」と闘う市民運動も氏のもう一つのライフワークである。「反貧困ネットワーク」の結成に至る経緯が分かりやすく紹介されているのが第3章。
弁護士法の第一条に、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」という一文があるが、まさにそ -
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本書は、2014年12月10日に施行された、秘密保護法に関する検証を綴った一冊である。
何故、今秘密保護法なのか?
著者のひとりである堀敏明は、立法事実がないことに疑問を呈している。
立法事実とは、「その法律が必要とされる事実が社会に存在している」ということ。
例えば窃盗による被害が大勢いれば、それを取り締まる法律が必要となるような社会的問題が、立法事実である。
国家秘密漏洩事件が多数起こっているのであれば、秘密保護法が制定される必要とされる立法事実が存在するのであるが、そのような事実は現在確認されるだけでも僅かであるらしい。
ちなみに現在起きている主要な情報漏洩問題に関してはほぼ既存の法律で -
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サラ金からヤミ金まで
新型詐欺のバリエーション
整理屋と提携弁護士
跋扈する貧困ビジネス
。。。と、闘う弁護士が、実態・手口を暴く!
ということで、著者のそもそもの生い立ちから始まって、豊田商事事件など実際に関わった実例に基づく非常にわかりやすいお話でした。
ただ、(以下本文より)
消費者金融問題や悪徳商法に関するシンポジウムや講演会に招かれてお話をすることがありますが、こうした講演会やシンポジウムを聞きにくる人は、もともと意識が高い人たちですから、あまり被害に遭いません。そういうところに来ない、または来られない人たちをケアしなければならないのです。
ってことで、結論は、警察はもっとしっ -
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著者の宇都宮健児氏を初めてお見かけしたのは、NHKのドキュメンタリー番組だった。
当時高校生だった私は、悪人たちと戦う宇都宮氏に大変感動し、弁護士を目指そうかと、熱を持ったこともあった。
最近新聞広告で、氏の新刊が出ていることを知って、急いで書店に行った次第です。
本書には、氏が弁護士を志した理由から、今まで戦って来た戦歴がツラツラと書かれていて、高校生時代に持ったあの熱が蘇って来たようでした。
本書の中で、印象深かったのは、悪質商法についての見解。
わかりやすいところだと、オレオレ詐欺の類だろうか。
「『悪質商法にころっと騙されるなんて、欲をかくからだ』という世間的な見方がありますが -
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宇都宮健児弁護士やジャーナリスト、大学教授など法律の専門家ら4人の、秘密保護法に関する主張が収録されている。150頁程度で、内容としてもすぐに読めてしまう。秘密保護法に関する入門書としては最適だろう。
2014年に施行された法律として、2014年のうちに一度考えてみたかった。
筆者らは主張する。秘密保護法は戦争を可能にする法律であると。生命や生存という基本的人権が脅かされるのが戦争である。
秘密保護法が、かつての治安維持法を彷彿とさせるような、自由な言論の芽を摘むんでしまうような法律となりうることは理解できた。
秘密保護法を、違憲として廃止に持ち込むことが可能であると、宇都宮氏は唱え -
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宇都宮健児氏が弁護士を志した理由、サラ金問題に取り組んだ理由。決して強烈な使命感からだったものではない。なかなかに意外である。しかしその後は貧困に対する問題に取り組み、法制度の改善などに成果を上げてきたことが描かれる。が。いつしか「わるいやつら」は、ヤミ金・暴力団といった連中から、弁護士、政治家にシフトしていくではないか。あるいは複雑な(というか、わかりにくくした)関係による犯罪集団に。
わるいやつらとは交渉するな、告訴・告発だ、とはいうものの、前日読んだ裁判所の本がまた憂鬱でもある。政治家になろうと思っても供託金が必要だったりと、憲法に反しているのではないか、と。一方世の中には、政治家に資格