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果樹園の蜂の巣は、教理により厳重に管理される世界だった。その最下層の蜂として生を享けたフローラは、育児室の世話をし、花蜜を集めるうちに、女王にのみ許される神聖な母性を手にするが……実際の蜜蜂の生態をもとに、蜂の視点で描かれたディストピア文学
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Posted by ブクログ
初めは、話というか世界観に付いていくのがやっとだったけれど 気がつけばフローラを取り巻く、蜜蜂の世界にどっぷりと浸かってしまっていた。 こんなに無我夢中でページをめくったのは久しぶりかもしれない。 女王が絶対の縦社会というか、管理された巣の中で生きるフローラ。 最下層生まれのフローラへの当たり...続きを読むは強く、扱いも酷い。 巣の中で起こる蜜蜂の"族"同志の対立であったり 巣の中だけではない、外の世界の他の生き物達の襲撃、 そして、移り行く季節さえも蜜蜂たちは翻弄されていく。 そんな中でフローラは蜜蜂としての使命を 力の限り果たしていく。 久しぶりに物語にのめり込んだ気がする。 私の感想を読んだ方はぜひ、読んでみてほしい。
小学生の時、国語の教科書で読んだ「みつばちのダンス」を今でも覚えている。9歳くらいの子供にとって、ダンスで花蜜の在処を教えるという蜜蜂の話しの何が衝撃だったかというと、群れで暮らす生き物が、言葉ではないコミュニケーション手段を持っている、という事だった。それも、ダンスで地図を教えるなんて。人間のジェ...続きを読むスチャーであの角を曲がって2番目の信号を…とか一度に伝えるの無理って思い、蜜蜂はすごいなぁ、と純粋に感心して、その感動が、ファーブル昆虫記や、地球科学系の本を読むきっかけになっていった。さすが教科書。先達の意図した通りにわたしは学習していったんだね〜。専門家にはならなかったけど。子供の学習に「意図された道筋」まさにこれが蜜蜂ダンスだったんじゃないか(笑) それから数十年過ぎてもまだ道が続いていたみたい。そんなわけで、ラリーン・ポールの「蜂の物語」は存在を知ってからずっと読んでみたかった。一匹の蜂の生涯を描いた物語。「受け入れ、従い、仕えよ」巣の最下層のフローラ族として生まれたフローラ717は不恰好な姿だったため粛正されそうになるが、会話ができた事から、女王に仕える美しい先輩蜂に助けられて導かれる。 美しくも厳しい王国の中で暮らす擬人化された蜂たちの感覚や感情を追いながらの読書は良い時間だった。女王や上位の蜂たちの圧倒的な権力と美しさ。雄蜂たちの傲慢さと色気、スズメバチとの戦闘、花蜜を集める飛行蜂の清廉さ。粛正や病気と死と慈悲。若く何も知らないフローラと一緒に女王の国の秘密を体験し、外役蜂として空を飛ぶフローラの優しさや勇敢さに声援を送り、厳しい冬とその結末の目撃者になった。 人間と同じ世界に生きている事が描かれているのも良かった。人間は農薬や病気をもたらすけれど、庭に植えた花が彼女らを助ける事もあるんだ。 匂いやダンス、フェロモン、集合意識、ヒエラルキーとか蜂の生態ってSFだよなぁッて思い、改めて楽しいね! 擬人化するとディストピアに思えるけれど、蜂の生き物としての仕組みだと思うと、生命の継続の物語は美しく神秘的だった。うん、居ないと信じてる創造主の存在を思ってしまうほどに。 それから、蜜を集める場面の、花からのアプローチの描写がとてもエロティックで好きだな。恥ずかしげな花っていいね。 春になるとうちの庭のモッコクに沢山蜜蜂が訪れて、いつも楽しく観察していたけど、今年はフローラを想い、花も蜂もちょっと違った目で見られるかな。
養蜂場の蜂の生態を調べて読みました。 蜂の世界は、人間社会のように階級社会であり、人間社会よりもかなり厳しいことが分かった。 ディストピア文学と帯にあり、まさに弱肉強食。 コロニーの中で生きる蜂たちの力強さ、階級社会に負けない主人公の蜂の下克上ストーリーでもある。 雀蜂や蜘蛛、鼠などに襲撃されながら...続きを読む、蜜蜂を誇りに思い、またどう春夏秋冬を乗り越えていくかも醍醐味であった。
珠玉の小説ではないだろうか。この表紙もクラシックさを感じて引き込まれる。果樹園の蜂の巣の中の社会で、最下層の汚物処理係の衛生蜂として生を享けたフローラ七一七。“受け入れ、したがい、仕えよ”という言葉が何度も出てくる。逆らうことはできない。女王を崇拝し労働を生きる全てとして厳重に管理された蜂社会。フロ...続きを読むーラは女王にのみ許される聖なる母性を手にするのだ。言葉を教育されない階級のフローラなのだがフローラだけが言葉をも話せる。蜂の視点で綴られているディストピア文学。蜂の生態に則って階級ごとの蜂や虫たちが魅力的だ。
蜂のフローラ717は衛生蜂だけど産まれたときから話ができた。身体は大きく醜いといわれた。でも賢く状況判断を素早くして情報を集め、女王蜂のために巣の仲間たちのために一生懸命働き、蜂の小さな世界の中で大きな存在となっていく。同じフローラ族はみんな喋れないのに心で繋がってだんだん言葉を取り戻したり、サルビ...続きを読むア族の秘密を知ったり、雌の蜂どおしの連帯のようなシスターフッドとか反駁とかマウントとかめちゃくちゃ面白かったです。
蜂の一生を物語に変えてしまった一冊です。不思議な読書体験。 ページを開くたびにずっと不思議な世界に浸れますが、意外と感情に起伏なく読み終え。
ディストピア小説的な要素がしんどくなるかもと思ったのですがそんなこともなく。 むしろ蜂のドキュンタリーを読んだような、生態がリアルに感じられて、勉強になりました(笑) 蜂の巣の規律の中で、個ではなく、集団の中の種として生きなくてはならず、ひとつの意識体としても動いているはずなのに。 特殊生はあって...続きを読むはならないことなのに、それを認められて身分不相応な経験を重ねることで、母性や恋愛感情を獲得していく七一七。 最下層の蜂種として、全ての他の種達に命令されても従うしかなかったのに。 様々な出会いを通して多くの経験を積み、充実した人生を歩めたであろう七一七の生き方に共鳴しまくりでした。 それにしても、蜂への観察力とリスペクト、すごいです^_^
ディストピアモチーフと漏れ聞いていたので、蜂みたいな社会を形成している人の話なのかと勘違いしていたが、完全に昆虫の蜂の話だった。ハダカデバネズミや蜂といった真社会性の生物のことを知らないほうがかえって楽しめるかもしれない。主人蜂が産んだ卵をオスだと最初勘違いしていたのはなぜ…?ここは新約聖書味を出す...続きを読むため? 追記→『ミツバチと文明』によると、女王バチがいなくなったときに働きバチが産む卵はすべてオスになる…勉強になりました。
表紙が素敵で手に取った一冊。 蜂の世界を擬人化し話。どうなるか続きが気になりすぎて、一息に読んだ作品。 フローラの秘密がばれないかハラハラしすぎた。 心を読まれるとか、集合意識とか、女王の愛など、蜂ならではのフェロモンの世界もすごいなーと思った。 『侍女の物語』になぞらえたとのことで、『侍女の物語』...続きを読むも気になる。
人間にような視点で描かれる蜂社会に引き込まれる 長く地球を生き抜いた蜂が後発の人間に危機に晒されるとこは辛い
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ラリーンポール
川野靖子
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