ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
7pt
贈与や交換は、社会の中でどのような意味を担っているのか? モース(1872-1950)は、ポリネシア、メラネシア、北米から古代ローマ、ヒンドゥー等の古今東西の贈与体系を比較し、すべてを贈与し蕩尽する「ポトラッチ」など、その全体的社会的性格に迫る。「トラキア人における古代的な契約形態」「ギフト、ギフト」の二篇と、詳しい注を付す。
ブラウザ試し読み
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
現代の貨幣経済は、合理性や契約によって個人の自由を確保している。そこでは、古代社会の経済を成り立たせていた、贈与による「関係の厚み」や「返礼の義務」は見当たらない。贈与は今や慈善か例外の行為とされ、構造からは切り離されている。 個人的には、日本がこのまま欧米型の資本主義・個人主義を推進しても、大き...続きを読むな成果は見込めないと思っている。アメリカのように、競争と自由を徹底的に突き詰めてきた国には、制度的にも文化的にも敵わない。むしろ日本は、元々モースの描く贈与経済的な価値観に親和性がある(内向きで、互酬的・集団主義的な土壌がある)のだから、そっちで集団としての結束力を高めた方が勝ち目あると思うんだけど、どうだろ。
贈与は資本経済とは違う軸で動く、という新たな視点、そして贈与に係る様々な「なにか」を強く感じられ、とてもよかった。現代でも贈与が残る理由がよくわかり、そして自分たちがとるべき行動や今何も考えずとっている行動について再考する良いきっかけになった。
お金にならない価値の「価値」を言語化したくて読んだ。 読後の結論は、 お金にならない価値の「価値」は、人と人との繋がりを生む、という価値である。金銭での等価交換は、一回きりであり、繋がりや関係性を関係性を生むことはない。 という点に収まった。納得。 *** 贈与と返礼は、人間社会の特徴の一つ。...続きを読む 人間は、贈与を受けると、お返ししなければ、という気持ちになる。(なぜそうなるのか本書では明かされていないが、人間の特性として備わっているようである。)そして、この贈与とお返しは、お返しに対するお返し、そしてさらにそのお返しに対するお返し、というように、やりとりに連続性が生まれ、贈与者と被贈与者を結びつける。従って、贈与(と返礼)には、紐帯を生む力がある。金銭での等価交換のやり取りは都度都度一回切りの交換であり、繋がりはうまない。 一方で、贈与は、相手が「受け取らない」(=つながりの拒否)態度をとる場合は、争いの元になったり、過度な贈与・お返し合戦という競争や争いも生んだりもする。贈与は、連繫と一体化を生む可能性も、一方で争いを生む可能性も、両方を内包している。 現代の市場経済(贈与ではなく、商人の購入売却)、契約社会(倫理的な義務感ではなく契約的な義務)においても、人間にインストールされた贈与経済的な倫理観は顔を出したりする。 「今日では、古いさまざまな原理が抵抗を起こし、現代の私たちの法規範が持つ冷厳さや非人間性に抗している」
日常で論文を読むことが少ないので難儀。読後、自分なりに資本主義との関係を考察するなど社会の本質を探りたくなる欲が湧くきっかけをくれた。 贈与論−アルカイックな社会における交換の形態と理由−贈与に対しお返しが義務付けられているお話。メラネシアやポリネシア、アメリカ北西部でおこなわれるポトラッチを軸に遅...続きを読むれた社会、もしくはアルカイックな社会においては、法規範と利得の追求にかかわるどのような規範があって、贈り物を受け取るとお返しをする義務が生じるのだろうか。贈与されるものにはどのような力があって、受け手はそれに対してお返しを仕向けられるのだろうかを論及していく。 「贈与」贈与=交換という原理がこうした段階の諸社会の原理であったと結論づけた。つまり、お返しは義務であったと。さらにこの原理を最終章にて私たちの諸社会にも広げて適用する事が可能であるとした。贈与論で考察してきたポトラッチ等々の事象は非常に多くの社会制度を活性化させるという事。これらの事象はすべて法的現象であり、経済的現象であり、宗教的現象であり、さらには審美的要素をももつ社会形態にかかわる全体的な社会的現象であると。 どれだけ理解できたかわからないが、個人的にうなる流れだった。
「贈与」 贈る義務、受け取る義務、返還する義務が存在する。 はるか昔から、人間社会の基底に存在してきた贈与というシステム。 そのシステムは様々な社会関係を安定化させ、発展することに寄与してきた。 確かに、資本主義というシステムが世界中を席巻する現代においても、システムとしての「贈与」は存在している...続きを読むように思う。 しかし、その存在の仕方は、現代社会のシステム全体においてはあくまで細い支流の1つ程度のもので、贈与というシステム単体で、資本主義そのものを脅かすほどの存在ではないだろう。 ただし、近年は、産業化の過剰がもたらす環境問題やグローバル化による市場のカオス化、格差拡大など既存の資本主義システムが新しい展開を迎えており、人間社会の基底システムとしての贈与に再度着目する意義は大いにあると感じる。
何もかもが独立、分裂している今日の西洋的な社会とは対称的に、このような何もかもがつながり、循環している社会もあるのだ知ることができたのが、この本を読んでのなによりの収穫だった。 この社会に住む人々にとって、幸福とは富を限りなく増やしていくことではなく、増やし蓄えた富を皆と分かち合ったその先にあるもの...続きを読むなのだ。みんなが自分の一部を誰かに分け与えあい、モノ、ヒト、さらに霊や魂、神までひっくるめて文字通り大きな輪になっているのには感動すら覚えた。
マルセルモース 「 贈与論 」 贈与を 集団間における給付と定義し、お返し(反対給付)を義務としている。集団間の贈与が 集団の規範、宗教儀礼、交換経済に組み込まれている 「贈与により 人、物、霊魂が混じり合う」感覚は 集団の感情を理性的にコントロールする手段だったのではないか? 全体的給付の体...続きを読む系→交換(集団から集団へ) *法的、政治的、経済的、宗教的な体系 *給付と反対給付を繰り返すことにより 相互に結びつく *交換するのは 財、ふるまい、饗宴、女性、子供、踊り ポトラッチ=競覇型全体的給付(相互に対抗し合う) *お返しは 絶対的な義務 *富によって授けられる名誉、権威→義務を果たさなければ 権威と富を失う〜暴力や敵対関係を生む 3章の古典ヒンドゥー法は 宮沢賢治「なめとこ山の熊」の世界観と同一 *物の真の所有者=死者の霊、神々〜食糧が神格化 *人間と神々との契約、交換→目的は 平和的関係を手に入れること
(01) 最終章では、政治、社会、経済、倫理の各側面から現代における贈与のあり方を示唆しており、著者が過去や他の民族を生きられている世界としてとらえている点は重く受け止める。 贈与は、決して一方的な(*02)ものでもないし、贈与が非対称である場合は、社会全体としてバランス(*03)が図られるように機...続きを読む能することをも示している。物々交換や自然経済といった概念が一般的に流布している未開の単純さといった認識を批判し、贈与や交換が単なる経済の範疇にとどまらない拡散や集中を現象することを捉えている。 (02) 売買がバイバイとして、売ることと買うことが等価というよりも同義であること、担保や保証や分割や賃貸などの現行の制度にも残る物のやりとりをめぐる諸々の契約も贈与が示すある点で統合されることなどは目から鱗の視点かと思う。 語源をあたり語幹を見出すことで贈与の諸関連を暴くという方法論も、まだまだ適用できる範囲が広いように感じた。 (03) 賭けとその賭場、シャーマニックな呪術、名前と言葉、性と結婚といったテーマも贈与をキーとすることで、そこにある問題に新たな視野を開いており、非常に冴えた論考として読める。富の集積や蓄積(*04)といった権力集中にも、権力の停止や廃棄すら予感させるポトラッチというバランサーを与えることで、贈与システム(*05)の有効を説いている。 (04) 考古学的な対象となる、何らかの理由で図るも図らざるも埋設されたモノについてもこの贈与論によることで理解が進む。意図的に壊され埋められたモノ、保存と伝授のために埋められ伝えられたモノ、それらの聖性が拠るところを本書からはうかがい知れよう。 (05) レヴィ・ブリュルの未開社会の心性との関連、柳田國男が説いた「おつり」との関連も、この贈与論から改めて考えてみたいものである。
2025.12.1 自分の身の回りの贈与ってただプレゼントあげるだけに留まらないと思った。もっといろんな形があって、それがどういう意味を持つのかを考えるきっかけをくれた点で面白かった。
武器としての哲学の推薦本であった。哲学ではなくフィールドワークである。ポトラッチについての説明である。アジアでは中国についてわずかのページが割かれているのにすぎないので、日本では柳田の本を読んだ方がいいであろう。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
贈与論 他二篇
新刊情報をお知らせします。
マルセル・モース
森山工
フォロー機能について
「岩波文庫」の最新刊一覧へ
「雑学・エンタメ」無料一覧へ
「雑学・エンタメ」ランキングの一覧へ
贈与論
作者のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲贈与論 他二篇 ページトップヘ