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Posted by ブクログ
「神々の父オージンは、いつも賢くて、正しいわけではなかったんだ」
オージンは、すべての神が彼の話には耳をかたむけるほどの“神のなかの神”。しかし、別の神が誤って人間を殺してしまい、遺族への賠償をするとき、神が持つ知恵を与えればよかったのに、それを惜しんでお金による取引で済ましてしまう。神が金で物事を解決した以上、金に執着する強欲女でも神の国への入国を拒否できなくなる。
また、ヴァーニル神の一人フレイは、神と敵対する巨人の国の娘にひとめぼれし、その娘を得るために神の国を守るための大切な武器となる剣を手放してしまう・・・
永遠の平安を願うのは、神々も私達も同じ。
だが神々のちょっとした行為が、その時は自分や周りも正しいと信じ、何事もなく過ぎても、実はその行為をしたのは間違いで、完全無欠なはずの神々の運命に、痣(あざ)が徐々に広がるように不吉なきざしが覆い、ついには寒波などの天災を契機に勃発した“神々のたそがれ”(=最終戦争)としてすべての不吉なきざしが初めからそうなるはずだったかのようにひと固まりに結合して神々への大きな厄災として降りかかり、神の国は滅ぶ。
完全無欠でない私達人間も、日々失敗を繰り返し、それが時には大きな悪い結果として自分の身にふりかかり、自分の運命や巡りあわせなど、自分の力でどうしようもない因果を呪ってしまうのだが、神々の多くの所業からも、生きる以上は不可避な業(カルマ)の存在を読み取ることができる。
この本の物語はある意味ファンタジーだが、そのエッセンスには、等身大の人間の所為が詰まっている。
(2009/9/13)
Posted by ブクログ
ギリシャ神話が受けなかったので、長男への神話読み聞かせも、もうやめにしようかとも思っていたのだが、もう一冊くらいとためしに選んだのがこれ。自分で読むなら中学生以上という内容で、難しい言葉も多く、声に出して読み進めるのも一苦労だったが、予想以上に奥深い内容で、とても面白かった。内容に少しなじみのあった日本神話やギリシャ神話と異なり、まったく聞いたことのない話ばかりで、新鮮だったし、主神オーディーンが、仲間のロキのせいで誤って殺してしまった息子の身代わりに、その父に対して、巨人の一族が持っている世界最高の宝をやる、と約束してしまったがために、世界が徐々に破滅へと向かって行く様はとても興味深かった。息子には、ロキのいたずらの数々(友達の神様トールの奥さんの美しい金髪を、寝ている間に全てかってしまう、とか)も単純に面白かったようだ。
Posted by ブクログ
はじめて読んだ北欧神話。
古い伝承って古事記でもそうだけど、
神々がすごく喜怒哀楽をもっていたり
人間味が強くて面白い。
北欧神話には、世界樹が出てきたり
いろいろなゲームやファンタジー作品に
影響を与えたであろうものものもありそう。
神さまだけでなく、
人間、巨人、エルフ、こびとなどが出てくる。
巨人は敵対する関係。
こびとは醜い忌むべき存在。
そんな描かれ方がされていた。
私が個人的に興味を持ったのは
ローキという登場人物。
神と巨人の子どもで、
いいこともわるいこともすると表現される。
女神の自慢の金髪を
寝ている間に切ってしまったり、
旅先で突然カワウソを殺してしまったり、
何を考えてるのか全然わからない。
神々に叱られて後始末をさせられたり
最初の方はそれでも
神々の仲間なのかなと感じるが…
後半は一変する。
神々を恨みに思い、呪うような行動に出る。
そして、世界の滅亡である
「神々のたそがれ」へ導く。
世界は一度滅ぶが
神々が残したもので世界は再生される。
今の世の中も、末法というか
世界の終わりを感じさせられる空気感があるが…
オージンが知恵の井戸の水を飲み見えた将来
「神々や人間が悲しみや難儀のときに
りっぱな態度でいれば、この世界に
1つの力を残すようになり、
その力がずっとのちのことではあるけれども
世界に恐怖と悲しみと失望とをもって来た
悪者を滅ぼしてしまうようになる」
この言葉に希望を感じる。
最後の解説で興味深かったこと
・英語圏やゲルマン民族の唯一残った神話が
この北欧神話であること
・曜日も神々の名前からきていること
Tuesday チュール 剣の達人
Wednesday オージン 神々の父
Thursday トール 力の強い神
Friday フリッガ オージンの妻
・ギリシャ神話との建て付けの違い
ギリシャ神話では、大地と天との結婚で
天地創造され、神々が巨人を圧倒する
文化的なものを神々が作る
一方、北欧神話では、巨人族を殺し
その肉体から天地を創造する
巨人族は神々と対等だし
文化的なものを巨人や小人が作る
なかなか興味深いおはなしだった。
Posted by ブクログ
ギリシア神話は小さい時からよく読んでいたが、ゲルマンの神話ともいえる北欧神話は初めてだったので。そのうち日本の古事記も読みたい。
ギリシア神話や日本の神話、聖書の世界と違って、北欧神話はまるで今ある世界とは別次元と言っていいほどの世界で、登場する神様たちもミラクルパワーを特に持っているわけでもない。仮に持っていたとしても、他者由来の武器や道具、食べ物のおかげである。登場するこびと、巨人は神と対等かそれ以上である。トールキンの指輪物語は少なからず、ゲルマンのこうした神話世界を下地にしているように感じられた。
この北欧神話でなによりも魅力的なのが、「崩壊」がいつもそばにあって物語が進んでいることだ。この物語の始まりは、忘れられ、残された神様の回想のように感じられた。
オーディンが創った世界も、そして今ある世界も破壊によって創られたものだ。世界中で見られる洪水神話では、そこに住まうものを消し去りはしたが、世界そのものをなくしはしなかった。右目の代償に予言の力を手に入れてみえた世界が、崩壊だと知ったオーディンはそれでも力強かった。
意志と神聖が支配する世界にたどり着けば、生き残りの神様にもう一度会えるだろうか?
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