この本を読み終わった、まさにその時、Yahoo!ニュースのプッシュ通知で『「厳しい親鳥」。間寛平が吐露する明石家さんまへの思い』という記事がスマホにやって来て、なんか不思議な気持ちです。ニュースの中身は芸能生活50周年を迎える寛平ちゃんのインタビューなのですが、先輩芸人の記事の見出しに来ちゃうところ...続きを読むが明石家さんまの吉本での、いや芸能界での存在感の独自性を示しているような気がしました。思いだすと闇営業問題の時も紳助引退の時も、さらにはSMAP解散の時も付和雷同しない独自のコメントを発していたように思います。たけしのアートな感じ、とかタモリの教養な感じ、とか松本人志のパワーな感じとかと一線を画す、どこまでいってもタレントな感じ、のすごさ…を改めて感じているのですが、本書を読んで、さんまの落語界にも属せず、漫才というジャンルにも属せず、コントや演技という領域にも属している訳ではなく、敢えて言えば、テレビの世界(ラジオの世界も…)だけに属している、明石家さんまという前後左右に比較対象物のいない芸人の一貫して持っているぶれない軸を感じました。売れていなかった時代にどんなに会社に言われてもコンビを組まなかったエピソードとか、その後の活躍を自らイメージ出来ていた訳ない!と考えると凄いことだと思います。本書はさんまの笑いに救われたというディープなファンが27年間かけてパブリックになったさんま本人のコメント(番組のエピソードトークとか週刊誌のインタビューとか)をすべて記録したノートから生まれたものすごい研究成果です。奇書ともいってもいいマニアックな本なのですが、あまりにさんま本人の裏表がなくて、しかも常に一貫しているので、ものすごい努力のアウトプットなのにテレビのさんまの存在そのものに見えて、軽く見えるのが可哀想な本だと思いました。それも、さんまという素材の強いシンプルさと圧倒的なポジティブさのせいなのかもしれません。「♪幸せってなんだっけ?なんだっけ?シンプル、ポジティブ信じれることさ♪」本書では鎌田敏夫がさんまを見初めるくだりとまったくすれ違いの大竹しのぶが仕込まれています。ああ、はやく「男女7人」が語られるであろうAKASHIYA SANMA HISTORY 2が読みたい!