無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件について、アニメーション史研究者の立場から総括した書。事件の展開過程のみならず、京アニの業界における特異な立ち位置(地方を本拠とする、正規雇用原則による長期の人材育成システム、「家族主義」など)、実名公表是非を含む報道倫理をめぐる議論、過去のアニメ関連の刑事事件の影響など、論点は多岐にわたる(ただし犯人については慎重に分析・言及を避けている)。京アニが他社に比べて従来から「秘密主義」であり、事件後も厳しい「箝口令」を敷いているという指摘や、事件時にアニメ関係者や専門家がメディアで沈黙しがちだったのは、「宮崎勤事件」以来のメディア不信が影響しているという指摘は珍しい。京アニ作品の「内容」を語る者は多いが、作品を成立させている「条件」「構造」を歴史的経緯を踏まえて語ることのできる者は少なく、本書はその数少ない例と言える。
なお本書では、仕上(彩色)の下請会社から元請になり「ブランド」に発展したのは「他に例がない」(p.87)としているが、「ブランド」かどうかはともかく、仕上専門の下請から元請になった会社は他にもスタジオディーンやシャフトがあり(創業時期も近い)、正確な記述ではない。京アニの「特殊性」を歴史的・構造的に分析するためには、東映アニメーションや虫プロダクションなどよりも、起源の近いこれらとの比較が必要となろう。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。