鳥の歌いまは絶え

鳥の歌いまは絶え

小説・文芸
1,276円 (税込)

6pt

シェナンドアの一族に生まれ、生物学者を目指す青年デイヴィッドは、あと数年のうちに地球上のあらゆる生命が生殖能力を失うことを知る。一族は資産と人員を集結し、クローン技術によって次世代を作り出すための病院と研究所をシェナンドアに建設した。動植物のみならず、人間のクローニングにも成功したデイヴィッドは、クローンたちが従来の人類とは異なる性質を帯びていくことに危惧を覚えるが……。滅びゆく人類と無個性の王国を築くクローンたち、それぞれの変遷を三部構成で描く、ヒューゴー/ローカス/ジュピター賞受賞作、待望の復刊。/解説=渡邊利道

詳しい情報を見る

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

鳥の歌いまは絶え のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    面白すぎる。素晴らしかったです。
    そしてタイトル邦訳があまりにも美しい。

    三代にわたるSF年代記。
    核によって生殖能力を失い滅びゆく人類のうち、サムナー一族だけがクローン技術という慧眼によって生き延びます。
    しかし、クローンたちは旧人類にはない共感能力を有しており、やがて旧人類を排除するようになりました。
    クローンの中でも孤独を経験することで「私」を獲得した女性による第二部、谷で唯一クローンの兄弟を持たない少年による第三部。

    共感能力に優れたクローンたちが、やがて創造性を失っていく展開に圧倒されました。
    芸術とは、表現とは、共感によってのみ評価されるのでも理解されるのでもないんだと思います。

    0
    2023年10月28日

    Posted by ブクログ

    環境破壊により不妊が蔓延した人類は滅亡の危機に瀕していた。クローン技術に活路を見出すも、異変が起こり……。

    都市は滅び、動物たちが姿を消し、氷河期が迫るという世界観。人類の存続のために生み出されたクローンの人間たちは強い共感力を持つが、同時に個として生きる力を失っていく。徐々にディストピア化していく世界の変遷が切ない。三部構成のそれぞれが異なる趣を持ち、味わい深いものがある。科学と文明がもたらすもの、人間と自然の調和というようなテーマ性。ラブストーリーを基調に三代に渡って展開する壮大な物語。手塚治虫を彷彿とさせると誰かが言っていたが、確かに。タイトルの名訳から受ける印象通りの傑作だった。

    0
    2022年07月08日

    Posted by ブクログ

    地球上のあらゆる生物が生殖機能を喪失しつつあることを知ったデイヴィッドは、クローン技術をつかい種の保存を画策する。仲間とともにシェナンドアの谷に研究所を創設し、研究に明け暮れる彼は、ついにクローン人間を誕生させる。クローン人間はオリジナルと寸分違わない容姿と申し分ない才能を発揮。研究所を発展させ、人類存続の要となるはずだった。だが、クローン人間はオリジナルとは相容れない存在であることを悟ったデイヴィッドは…

    人類がクローンを生み出す一部、クローンだけの谷で異端児が生まれる二部、逼迫するクローンの谷とその行く末を描く三部構成で描かれる本書は、ヒューゴー、ローカス、ジュピター三賞を受賞したケイト・ウィルヘルムの代表長篇です。
    地球上の生物が生殖機能を失う理由を本書では核兵器はじめとする放射能汚染と説明付けています。核兵器の脅威と対面する当時の時代背景を感じられますが、本書の主題はそこにはありません。
    ではクローンが主題かと問われると果たしてそうなのかなぁと首を傾げてしまいます。もちろん、本書の主役はクローンです。本書で描かれるクローンには幾つかの特徴があり、例えば共感性がとても強く、仲間のクローンと離れることを極端に嫌います。クローンも世代を経るにつれ、その特色が強まり、やがては個人(=個性)という概念がなくなります。個性を失くしたクローンは創造性を失い、突発的なトラブルに対処できなくなります。そういった状況にある谷で生まれた異端児、マークはクローン社会の限界を感じ、ついに行動を起こします。これが本書のラスト。こう振り返ると、クローンはあくまで外側であって、大事なのはその中身ではないかと思うのです。多様性というと強引なまとめ方かもしれませんが、生物がその種を連綿と受け継ぐことのできただろうその特性にシンプルに目を向けた物語かなと。ちなみに、そんな物語なのに、デイヴィッドやクローンどもが近親相姦を求める姿には、何か皮肉めいたものを感じざるを得ませんでした。

    いまでこそ多様性というと、ダイバーシティと横文字になり、オーソドックスなテーマなのかもしれません。にも関わらず、本書に魅力を感じたのは、情景豊かな描写により醸し出される荒廃した世界観と、メインとなる登場人物(デイヴィッドやモリーなど)の末路があまりにもマッチしていたからかと。特に二部が印象に残ります。モリーが個性(というか自我?)を獲得する姿は感動的で、まるで人類が火を獲得したかのよう。そんなモリーの結末には、「えぇ、まじか」と思わず声が出てしまうばかり。喪失感を味わうのだけど、それが一番しっくりくる終わらし方。この辺りのうまさにこころを揺さぶられました。最後は(たぶん)希望の持てる幕引きでもあったしね。いい作品でした。

    0
    2020年07月26日

    Posted by ブクログ

    クローン社会が少しずつ創造性を失っていく描写を通して、「人間とは何か」を問いかける、静かな終末世界SFの名作。

    派手な展開はないけれど、その静けさがかえって心に残る。

    0
    2026年06月26日

    Posted by ブクログ

    「共感」と「自我」は相対するものなのか……。

    1976年のSF小説
    出だしは“ある田舎の集落”で育った少年の成長が描かれている。
    でもその陰には伝染病、不妊、飢饉、戦争などで人類の終焉が忍び寄っている。
    成長した少年とその一族は、人類維持のための医療・研究とともにひそかにクローン研究を始める。
    生存率、生殖率が「劣化する」というクローン技術の研究は、当初人間(原種)が行っていたが、次第に「クローン」自身の手で行われることになる。

    クローンには従来の人間とは別の特徴があった。
    同じ元からクローン培養された子供たちは「兄弟」「姉妹」として、同じ外見のみならず互いに共感しあうことで精神の安定を図り、社会を形成する。そこには利己的で「何を考えているかわからない」人間(原種)は、次第に隅に追いやられていく。

    二部以降では、人間(原種)はもう存在せず、クローンたちの「兄弟」「姉妹」での社会が形成されているが、問題は解決されていないどころか、元の科学技術を発展させることも次第に廃れていく。
    そこに登場したのが、クローンの中で異質な経験をもとに自然出産で生まれた、「兄弟」を持たない少年。
    彼がクローン社会に巻きおこすものは、人類の未来にとって光明か弊害か……。

    作者は当時の思想である「社会主義」「全体主義」から「個性と集団社会」をテーマにSF小説として描いている。
    現代、「教育の画一性」と「共感力を求める社会風潮」が、SNSの発展とともに問題化している。
    今、我々は、この物語のクローンたちの社会と同様に破滅に向かっているのか……。

    0
    2023年06月03日

    Posted by ブクログ

    この作品は1976年に書かれているが、この作品の中の世界では、放射能によって大気が汚染され、旱魃と洪水が起こり、飢饉と感染症がひろがり、地球上の生物が生殖機能を失っていく、とある。
    今、この作品をSF小説、ファンタジー小説、と簡単に思えない複雑な心境だ。

    ある谷に住む一族は研究所を作り、クローン技術によって人類を存続させようとする。
    クローンを生み出すディヴィッドたち人類の章。
    クローンたちがその独自の性質で作り出した世界の中で、自己を見つけ出し出産したモリーの章。
    モリーの子として生まれ、クローン社会の中で孤独に生きるマークの章。
    この中で特に、モリーの章は印象的だった。

    クローンと人類との対比となっているが、今の人間社会の中でも似たような問題はあるように思う。
    物語としては、もっと一つの話として引き込まれたかった感じはあるが、抒情詩のような美しい文章とタイトルもあり満足です。

    0
    2021年09月11日

    Posted by ブクログ

    SF。クローン。終末。ディストピア。
    全体的に静かで美しい作品。
    2部のラスト、モリーとマークのやりとりがとても好き。
    サンリオ文庫からの復刊助かります。

    0
    2020年08月30日

    Posted by ブクログ

    おもしろかった。わりと重いテーマだと思うのですが、3部構成ですっきりまとまり、読後感が軽くすんでいる。

    0
    2020年07月23日

    Posted by ブクログ

    CL 2023.12.4-2023.12.6
    三代にわたる年代記。
    放射能によって絶滅の危機に瀕した人類はクローン人間を生み出し種の存続を図るが、クローンたちは旧人類を排除し始める。
    やがてクローンだけの社会となり、そこでは「個人」はなく、強い共感性でまるで姉妹兄弟で一人の人間のようになっている。その中でモリーは「私」を発見しマークを出産する。クローンではなく。
    そしてクローンではないマークが、衰退していくクローン社会に抗い、新たな人類社会を築こうとする。

    個と共感。1976年の作品ながら全く古びることなく、現代にも通じる問題とも言える。

    それにしても素晴らしい邦題。

    0
    2023年12月06日

    Posted by ブクログ

    人間がいた時代、その後のクローンの時代、またその後のクローンと有性生殖者たちの対立の時代。この三部構成はとても壮大かつ野心的な設定ではあるのですが、なぜか盛り上がりには欠ける作品。

    もちろん、その盛り上がりのなさを、時代の推移を叙事詩のように描いていると捉えれば、それは本作の魅力となるのでしょう。しかし、そのドラマ性の無さにどうしても気持ちがついていかなかったというのが実情です。ただ、くり返すと、読む人が読めば、きっと面白いからこその復刊なのでしょう。

    一つだけすごいと思えたのは、人間がいなくなるという、まさしくポストヒューマンな世界を幻視したことです。本書の発表が1970年代であったことを考えれば、慧眼であったと言ってよいでしょう。

    0
    2020年08月10日

鳥の歌いまは絶え の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

創元SF文庫 の最新刊

無料で読める SF・ファンタジー

SF・ファンタジー ランキング

同じジャンルの本を探す