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廃藩置県(明治4年7月)後も混乱が続く日本。そんな中、西郷隆盛は同年11月に欧米使節団を送り出すと、留守政府のトップ=事実上の首相として、内政、外交、財政など日本の国づくり、新政府の立て直しに着手する――。近代日本の礎を築いた西郷と同内閣を支え活躍した男たちの「1年10カ月」を、時系列でドラマ的に描いたノンフィクションノベルズ。
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Posted by ブクログ 2018年04月30日
明治の最初の十年間は、日本史上で最も改革が進んだ十年間と言える。集権的な近代国家の構築というグランドデザインの下、既得権と封建的制約を一気に廃し、有能の人材が自由に伸びれる社会を作った。戊辰戦争の勝者である薩長が敗者の徳川の遺産を分捕る、という体制になっていたら、日本の近代史はもっと違うものになって...続きを読むいただろう。 本書はその十年のうち、岩倉・大久保らによる海外視察の前後も含む明治4~6年の物語。廃藩置県を薩長の力で断行した後、留守政府の首班は西郷に任され、その内閣で山縣、井上、大隈、江藤、板垣といった人材が縦横無尽に働く。その成果は太政官改革に宮内庁改革に止まらず、地租改正に秩禄処分、司法体系に徴兵制、更には義務教育と近代日本社会の礎の殆どがこの時期に作られている。 その後、征韓論を唱えた西郷は大久保らと対立して下野した、と教科書には書かれている。戊辰戦争とその後の大改革を成し遂げた仲間たちにも、主導権争いはあった。西郷は朝鮮の武力制圧を考えていた訳ではない。しかし、大改革の後の疲労とか、戊辰戦争を支えた士族たちの不満とか、色んなことが思いの中にあったのは間違いない。 明治6年の政変の結果、大久保・伊藤を中心とする薩長は主導権を回復し、野に下った者たちのうち西郷・江藤は不平士族の反乱に身を投じ、板垣・後藤は野党を立ち上げた。明治の最初の十年のうち、最も重要な西郷内閣の二年間のことはあまり語られない。勝者である大久保・伊藤のプロパガンダは巧妙だった、ということなのだろう。
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西郷内閣 明治新政府を築いた男たちの七〇〇日
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早瀬利之
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