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NYで活躍する記者のジャネットはある晩、道ばたでゴミをあさる母を見かける。衝撃の再会を機によみがえる家族との日々。夜逃げつづきの極貧生活のなか、夢ばかり追う父母への怒りと愛の狭間で苦悩しつつ、少女は人生を切り拓いていく。全米350万部突破、同名映画の原作となった感動の実話。解説/梯久美子
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Posted by ブクログ
人生で読んだ中で、最も読みやすい1冊だった。
何が違うのだろう?
難しい言葉と、海外特有の言い回しが少ないのかも。
とにかく、一度も退屈に感じること無く読み終えた。
それほど面白かった。
この本は、主に…というか、100パーセント両親が原因の極貧生活を、自伝的に綴った物だが、自分の知らない家族愛が沢山書かれていた。
この小説1冊で、毒親、良親、DV親、夫婦喧嘩の全てを摂取することが出来る。
父親のレックス・ウォールズは、癖が強く、しかし同時に一貫性の無い人物である。
筆者の生きる指標となるような情熱、力強さを見せつけたと思えば、一転して堕落しきった、到底親とは言えないような情けない姿も見せる。
母親と姉の留守中に父親がしつこく金を無心して少ない生活費を使い込んだり、筆者達が崩壊しきった家庭から出て行くべく、貯めていた資金を父親が全て盗んだ時は怒りが湧いた。
世間では親ガチャという言葉があるが、世間的に見れば、間違いなく筆者の親ガチャは外れだと言われるだろう。
それでも、一概に悪い親だと思えない。
それは、彼はとてつもなく弱い人間であるというだけで、家族の事は本当に愛している、というのが彼のこれまでの家族への接し方で嫌という程伝わってきたからだ。
厚顔無恥な彼の奥底は、幼い頃に母親(叔父からも?)受けた傷が癒えていない少年がまだ存在しており、それを覆い隠すべく、図太さや快活さを何層にも塗りたくり、酒浸りになっている。そんな印象を受けた。
彼のユニークさや浪漫性は、子供の心を掴んで離さない。
普通の家庭の父親は、ガラスの城を作ろうと本気で取り組んだり、娘のクリスマスプレゼントに好きな星をやろうだなんてロマンチックな提案を出来るだろうか?
何故父親を見捨てないのか、何故毎回お金を渡してしまうのか…とやきもきしながら読んでいたが、血の繋がりだけでは説明出来ない程の強い絆が、既に構築されてしまっているんだよなぁ…
単なるアル中のDV男ならまだしも、父親としての良い部分が彼女を呪縛しているのもまたやるせない。
殆どエゴのような行為や犯罪のような行為も沢山してきたが、今の筆者の強く、独特で魅力的な人間像を作り上げたのもまた父親なのだと思うと、複雑な気分である。
良い親とはどんな人間か、簡単に定義できるものでは無いなとこの本を読んで思った。
父親の、「お前のママは気が狂っている。こいつといるのは耐えられないが、こいつといないのも耐えられない」というセリフが好きだった。
とんでもない父親と、とんでもない母親だが、お互いを簡単に見捨てず、簡単には切れない強い絆で結ばれている。本でも中々読まないタイプの奇抜なおしどり夫婦である。
全体を通して、人って、善か悪かの単純な二択で捉えきれないよなぁ、と思った。
Posted by ブクログ
訳者あとがき
「真実はつくられた物語よりも深い感動をもたらしうる。」
「心の奥底に封印してきた過去に向きあうのは、ひどく苦しい作業だ。それが誰にも知られたくない重荷であり、他人の目には悲惨に映る体験であればなおさらのこと。けれど、艱難辛苦を乗り越えて、幸せにたどりついた人間が綴る真実の物語は、読み手の心を強く揺さぶり、深い余韻を残してくれる。」
まさに。
だから私はノンフィクションが好きなんだ、と改めて実感した。
しかし最後の解説は残念ながら、恵まれた環境で生きてきた人間がなんとか想像力を働かせて書いたような偽善的な印象で、憤りを感じるものだった。
たとえば
「…だが本書を読む人はみな、どんなにひどい男であり女であっても、子どもにとっては親は親であり、愛し愛されたい対象であることを、痛みとともに思い知るだろう。」
この一文なんかは特に、親ガチャに成功した(少なくとも失敗しなかった)脳内お花畑人間がそれらしく書いたものでしかないと感じる。現実の悲惨な親子関係はそんなに美しいものではない!
ただこの駄文にも1箇所だけ、鋭い気づきが書かれている。
「幼少期の記憶が非常に鮮明な人が私の知人にもいる。そのうちの何人かに共通するのは、すべてをよく見、注意深く聞いて覚えておかないと生き延びることのできなかった子ども時代を送ったということだ。世話を焼いてくれる大人がいなかった、ネグレクトからのサバイバーである。」
これは確かに実体験として同感。的確な表現だと思う。
✎︎______________
なけなしのお金を浪費し、計画性もなく、あちこちを転々とし、子供の生活を犠牲にする…どうしようもないダメ親っぷり
そして、まだ子供であるがゆえに、そんな「親」のそばで劣等感に苛まれながら日々を凌ぐことしかできない幼少期
いくら努力してもダメ親に足を引っ張られる子供、
今風に言うところの "親ガチャ" に大失敗した子供。そして思春期になると、一刻も早く親元から離れて重荷から解放されること(少なくとも共倒れから逃れること)を目指して実行していく…
程度の差はあれ、過去の自分とそっくりで
読みながらイロイロ思い出されて辛かった。
P288でジャネットがハイスクールにあがったところから一気に心が大人になり、自立していく。
訳者あとがきの言葉を借りれば、やがてジャネットは、自分たちきょうだいが両親のせいで苦しい生活を強いられているという現実を認識し、なんとかしてそこから脱出しようと決心する。
「この女が自分の母親だなんて思いたくもなかった」
「母のようにだけはなるまい」
「…そう心に誓い、教科書を手に家を出た」
「私はどうしていいかわからなかった。親にできるかぎりのことをしてやりたいという気持ちもあれば、もう縁を切りたいという気持ちもあった」
まるで自分が書いたみたいで共感しかない。重荷でしかない親によってさんざん苦しめられてきた自分の過去、生き延びるために親を見捨てる罪悪感と闘った日々のつらさがよみがえり、涙なくしては読めなくなった。
そんな親でも見捨てない主人公の気持ちは、
まともに生きていくため親を完全に見捨てた私には理解できないけれど、読み物として非常に良い。
★5つではぜんぜん足りない。
ただし、恵まれた環境で生きてきた人が読んでも
真の理解はできないだろう、まるでフィクションのように他人事として理解したつもりにはなれても。
たとえば「食卓に食べ物を載せることなんて、すごく簡単なんだ、本気でそうしようと思えば」
この言葉に込められた想い、真の意味を、どれだけの読者がちゃんと理解できるだろうか。。
✎︎______________
こちらは2019年5月発売のハヤカワ・ノンフィクション文庫版。
河出書房新社の『ガラスの城の子どもたち』(2007年1月発売)と同じ原作なのでご注意。
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