ネタバレ
Posted by ブクログ
2019年04月21日
もし芥川が探偵社に、敦がポートマフィアにいたら。
映画特典版で一度読んでいたけれど、加筆部分も大きくて、とにかくよかった。二次創作でもよくあるifの物語ではあるけれど、それにお祭り以上の意味がある。とにかく『太宰治と黒の時代』は絶対読んでおいてから、こちらを読むべき。
自分を追い詰めてしまってい...続きを読むる敦。でも、太宰は本編同様に、敦に救いの道を用意している。この太宰も、生きるのなら人を救う方になろうとしている太宰と言っていいのでは。
敦と鏡花がお互いを大切に思っているのが痛いほど伝わってくるけど、それは同時にお互いしかいない、という孤独でもある。探偵社にいる芥川は、それなりに賢治や谷崎と交流を持って、仲間としているのに。本編なら、敦も鏡花も、そのような仲間がいるのに。
本編の銀は何をどう思っているのだろう、とか。本編の芥川は獣ではないのか。それとも、獣であるけど人間になろうとしているのか。銀がそれを見ている距離が違うだけなのか。あと気になるのは、本編では芥川の側にいる樋口の存在がかけらもないこと。彼女はどういう人なんだろう。
谷崎が芥川に探偵社員であることとは、を伝える場面がありますが、このシスコンコンビ(言い方)わかりあうものがあるのかな。本編ではあまり想像できない関わりですけど、妹が大事、という点で、何か対峙する事件があってもいいなあ、なんて。本編では与謝野さんの過去も明らかになったことだし、そろそろ谷崎の過去話(とナオミの正体?)もいかがでしょうか。
賢治の考え方がいい。いいことと悪いことが半分ずつ。結局、自然と共に、悪いこともいいことも受け入れて生きる、そういう気持ちを持てることが、強さなのかも。