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本書は、現段階で判明する、小牧山城、岐阜城、安土城の姿を、文献史料や発掘調査資料等から検討し、確実な部分と不明確な箇所を再確認し、その真実の姿を明らかにしようとするものである。小牧山城から始まる新たな城づくりによって信長は何を城に求め、城はどう変化したのか。統一政権樹立に向けて、城をどう利用しようとしたのか。金箔瓦の使用や天守建築の規制・許認可等、戦国の覇王がめざした城づくりのすべてを解き明かす。
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Posted by ブクログ
織田信長という人が、傑出したマキャベリストであることは間違いなくて、それは鉄砲を用いた軍事において、あるいは商人を重用した財政においていろいろなドラマで描かれてきたけれど。 この本ではさらに「城」というものを、単に地政学的な砦としてだけではなく、都市計画的に構造的な心理的圧迫を与えることで「統制者」...続きを読むと「非統制者」との枠組みをがっちりと作った(作ろうとしていた)という点が描かれていて、ホントこの人は武将としてだけではなく政治家として天才だったのだなぁとため息つきまくってしまいました。 取り上げられているのは主に①小牧山城、②岐阜城、そして③安土城。 ①では山頂に城を築き、麓に武将たちの館や市を置かせて、後の「城下町」の基本的な形を作った。それまでは配下の武将はそれぞれバラバラに住んでいてなかなかまとまりも(監視も)しにくかったみたい。 ②では「天下布武」を唱えて築城され、山頂には城、さらに山麓には自分の「宮殿」を建て、入れる人々を極端に制限して「格式」を建築の中に作り上げた。ただし地形のせいで山の上と下という著者のいう「中世的二元構造」は残る。 そして③ではその完成形が生まれる。構造としては「石垣、瓦葺、天守」が基本的な要素とされ、実際にそれらを作る職人集団もかつては朝廷、公家、寺社に所属していたのが武家に属するようになった、と。そして山の上の城、麓の配下の武将たちの屋敷は垂直方向と水平方向の道で繋がれ、一大都市を形成するようになった。 うわあああ、凄っ! でも、これら3つの城が全て、その後さほど時を経ずして廃城になってしまった…というのはまさに「夢幻の如くなり」なのですね。
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