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大蔵省とマスコミに「内部告発状」を送ったのは私だ。実力会長を退陣に追い込み、上層部を動かし、わが住友銀行は生き延びた。そのなかで、行内の人間関係が露になり、誰が本物のバンカーなのかもわかってきた。いま明らかになる「イトマン事件」の真実、闇社会の勢力との闘い、銀行内の激しい人事抗争ーー。四半世紀の時を経て、すべてを綴った手帳を初公開する。
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Posted by ブクログ
戦後最大の経済事件イトマン事件について、住友銀行側からの支店を記した本。國重氏が残したメモをベースに構成されている。イトマン事件に関しては一度概要を調べてから本書を読むと理解がより深まると思う。
学生時代、官庁訪問でいつくかの地検にいったときに、パンフレットや広報映像で代表的な経済事件として取り上げられていたのが、このイトマン事件でした。自分にとってはもの心つくかつかないかの「過去の話」だったわけで、現実感はあまりなかったのですが、それでも、検察が戦った「巨悪」、「社会の闇」の象徴として紹介...続きを読むされていたのが印象に残りました。 さて、本書、さながらリアル半沢直樹の銀行内の権闘争が描かれるわけですが、件の主人公がときに自ら不正に加担したり、明らかに違法な「危ない橋」を渡るのに対して、本主人公は、怪文書「Letter」をだしたり、社長解任を主導したりと暗躍はするものの、一貫して自分の身はきれいで、不正をやっつけた正義漢のスタンスは変わりません。あまりに身ぎれいすぎて、むしろ本書に書かれていない(書けない)部分に何かあるんじゃあるまいかという想像が膨らみます。 刑事事件として終わったものの、解明されない謎やカネの動きも多く、非常に興味深い事件だなと思いました。
ジャーナリストや記者のルポではなく、当事者の目線で書かれていることから客観性に欠ける部分が多々あること、また著者がヒロイックに書かれ過ぎていることに目を瞑れば、日本を揺るがす経済事件の奇譚として評価が出来ると思う。本人のメモを中心にストーリーが展開していくがスピード感や良い意味での生々しさは特筆する...続きを読むものがある。 上述した客観性を担保する為に本人のメモをベースに記者筆としていたらより高く評価されるノンフィクション作品となったのではないかと思う一方、著者の晩年を知るとそうしなかった理由を垣間見る気がする。
イトマン事件について、住友銀行側の”中の人”として対応にあたった当人による回想録&まさかの暴露も。ドラマか映画にでもできそうなスリリングな展開。銀行の幹部のおじさん達はなぜ子どものようにに内輪で群れたり権力闘争するんだろうって思って読んでいたら、”役員は自分の仕事を全部部下がやってくれるから...続きを読む暇”とのこと。なるほど。。
バブル絶頂期にまきおこった、住友銀行とイトマンを巡る事件に関する詳細が記されている。 著者は元住友銀行の元取締役であり、組織内部から状況を伺い、逐一をメモとして残した。住友銀行という組織を護るただ一心に、陰に陽に行動し事件のおとしどころを探っていく姿は、感銘しかない。 巨大組織の中とはいえ、実は...続きを読む組織の大小は問わず、実に人間臭いところで組織が動かされていくことが、手に取るように分かり非常に面白い。 勤め人なら読んでおいて損はない、一冊だ。
本人のメモ書きを時系列に掲載したもので、所々に解説があるが、イトマン事件全体の説明はないので注意。自分は「堕ちたバンカー」の後に本書を読んだので、流れが理解できたが、これを最初に読んでいたらなんだかわからなかっただろう。 しかし事件当事者の一次資料であり、臨場感があり流れさえわかっていれば大変面白い...続きを読む本だと思う。
実際に事案に関与した当事者の一人からの、詳細な記録。つぶつぶの事象の列挙が中心で、全体のストーリーが見えにくい面はあるが、迫力はある。実名で記載されており、大企業の派閥争いがうかがい知れる点も興味深い。
当時の住友銀行の部長が、イトマン事件について書いた本。ほとんどの登場人物が実名で書かれている。著者が当時つけていたメモを基に書かれているため、日付や場所、発言にも信憑性があり、説得力がある。巨大銀行、巨大企業の意思決定のやり方や、内部抗争の実態について理解できた。 「(国会答弁補佐)野一色部長は想...続きを読む定問答集にあちこち付箋をつけて「これでもう完璧だ」と言う。私は「そんなに付箋だらけにしたら、どの付箋が何をさしているこかわからなくなってしまいますよ。こういうのは、自分の知識の範囲で答えるしかないんですよ」と応じた。実際、その場になって彼の担当分野について質問されると、彼はどの付箋だかわからなくなって、ページをめくりながら往生していた」p193 「(役員の動き)皆、流れを読んで、いま何をするのが得策なのかを嗅ぎ取る。それに乗ることにかけては超一流なのだ」p314 「(野村證券 中野常務 1990年)子供を入れたくない企業ワースト10を知っているか。1 イトマン、2 秀和、3 住銀、4 野村證券、5 大昭和製紙。野村が住銀より下なのでホッとしたよ」p452 「(裁判)相手側(許氏や伊藤寿永光氏側)の弁護士も、おそらく元検事総長などの相当の大物がでてくるはずだ。彼らは、検察がどういうロジックで攻めてくるかがわかるから、相当慎重にならざるを得ない」p458 「もし、銀行で頭取になりたいのならどうすればよかったのか。それは何もしないことだ。減点主義の組織なのだから」p464
これだけのメモをよく取っていたな、というのが第一印象。 著者ご自身のバイタリティに感服。普通なら心が折れる状況でも、見失わずに貫徹した。 バブルとは、驚きの時代だったということがよくわかる。今ではありえない。 ただ、営業のやり方は参考になる。
イトマン事件の顛末を当時部長クラスの著者(トップ昇進組、転出後のちに楽天DLJ社長)が、自分の当時の詳細なメモをもとに日時単位で記録する。 イトマンという中堅商社がバブルの最中不動産(ヤクザ絡み)でズブスブになってしまうところに、住友銀行が当時の天皇と呼ばれた会長がこれまた身内共々ズブズブに入り込ん...続きを読むでしまい、銀行を巻き添えに総額5000億円の損失を出す。 全く仕事(適正なサービス・商品を提供し対価をもらう)という話がなく、校内の争い、および外部からの圧力を使って内部に関わっていく話が繰り広げられていく。 とても生々しく面白い。銀行が生き生きしていた時代ともいえるが、30年弱でこうも変わるのかという感慨も起こる。
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