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Posted by ブクログ
にょろり旅もとうとうファイナルだそうだ。血気盛んな(盛んすぎ?)若手研究者だった著者も、今や東大教授。本書でも、学内の雑務に追われ、後先考えず体を張った研究に没頭するわけにはいかなくなったことを嘆くくだりがある。まったく、にょろり旅の素晴らしさは、誰も知らないことを知りたい!というシンプルな姿勢と、それを実行していくむやみやたらなパワーにあったわけで。楽しくシリーズを読んできた身には感慨深いものがある。
どこへ行こうが「うなぎ!うなぎ!」と叫びまくって、あれこれとんでもない目に遭いつつも、結局は目的を達してきた著者だが、新種うなぎを探して、久しぶりに乗り込んだフィリピンではどうもうまくいかない。これはもしや自分たちがトシをとったせいじゃないか、以前の旅では若かったから現地の人たちもさほど警戒せずに心を開いてくれたんじゃないか、と思い至るところが、うむむ、切ないなあ。ほんと、若いということはいろんな扉を開ける鍵を持っているようなものだよねえ。そのありがたみも、なくしてはじめて知るものの一つだろう。
とは言うものの、著者は最後には大逆転で新種うなぎをゲットするのだが、その生息地である未開部族の居住地への旅がすさまじい。みなさんよくぞ無事に帰ってこられたものだなあと、半ば呆れてしまう。特に、おなじみ俊さん!結婚して子供さんも生まれたばかりだったというのに、こんな無茶したらダメじゃないですか!でもまあ、それでもいっちゃうところが「うなぎバカ」たる所以なのだけど。
基礎的な研究にお金が出ないということを、ここのところよく聞く。わたしの娘は、比較的実用性のある有機化学系の研究者の卵なのだが、この分野でもその傾向は著しく、とにかく何かの役に立つという理由を無理矢理にでも付けないと、全然予算が下りないのだそうだ。「実用」からほど遠いところにある研究の現状はどうなっているのだろう。青色LEDでノーベル賞というニュースの時(これ自体はまことにメデタイ事であるが)、「役に立つ、役に立つ」という大合唱だったが、うーん、そりゃそうだけど…と割り切れない気持ちになったものだ。
しかしまあ、こういう状況下でもやはり、著者と同じような志を持つ若者はいるのだ。最後のトンデモ旅に同行する学生君の存在が「ロートル部隊」のなかで輝いている。案外、にょろり旅もまだまだファイナルにはならないのかもしれない。そう思わせてくれるラストだった。
Posted by ブクログ
(No.14-7) ノンフィクションです。
この本が出版されたのは昨年暮れですが、雑誌への初出は2011年5月~2012年2月。
2007年から3年、3回に及んだフィリピンでの新種のウナギを発見する調査の様子です。
そういえばいつだったか新種のウナギ発見!のニュースを見た記憶が・・・・。
もうそんなに前になるんだと感慨深い。
ニュースを見た私は「へ~っそうなんだ」と思った程度でしたが、その成果を得るためにこんなに大変だったんですね。
私は「アフリカにょろり旅」「うなドン」を読んでいるので、会ったこともない青山さんに親近感があります。
以前太平洋で塚本教授率いる調査隊の様子をレポートしたテレビ番組で、少しだけ青山さんが写っていて「この人なんだ!」と、とっても嬉しかったです。
地球上に存在するウナギ全18種を採取した塚本チームが、なぜ今さら「にょろり旅」を再開したのか?
それは・・・採取したウナギのレセプトファルス(つまりウナギの赤ちゃん)のなかに、今まで知られていない遺伝子をもつのがいたから!
もう70年も新種のウナギは見つかっていなかったのに、本当に新種はいるのか?今後のことを考えても、なんとしても親ウナギを見つけなければ。
各種情報を検討の結果、親ウナギが生息するのはフィリピンの可能性が高いと推測。にょろり旅が始まったのです。
以前の旅と同じようでいて、でも違うことが多い。青山さんたちはそれぞれ年齢を重ねているし、世界的に動植物の採取への権利意識が高まり、前みたいに行き当たりばったり的なことが出来なくなっている。
経験で補えること、逆に困難になっていること、そしてよくもまあそんなことをやるなあというお馴染みのびっくりさ加減が満載。
読んでいて何となく感傷的になってしまうところもありました。もうこんな無茶をやる人達はこれからいないんじゃないか?なんて思ったら、あらら跡継ぎになりそうな学生さんもいるのね!
ものすごい経験を、楽しく読ませていただきました。ありがとう青山さん。
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