山を渡る -三多摩大岳部録- 5

空木哲生

創刊90年を超える老舗登山誌『山と溪谷』の表紙も飾った注目度上昇中の大学山岳部コミック、待望の第５巻！

１年生女子にとって初めての夏合宿、行き先は北アルプス。燕岳、槍ヶ岳、剱岳――多彩でスケールの大きな山旅が実現できるのも、時間を贅沢に使える学生の夏休みだからこそ！ 憧れの山を詰め込んだルート作成に始まり、今巻では食料の買い出し、備品のチェック、パッキングの練習まで、“準備の楽しさ”をたっぷりお届け。
そして前巻から続く「沢登り編」では、先輩３人が全身ズブ濡れで大はしゃぎ！ 引率役である安達監督が抱く“尽きることのない山への好奇心”、その源にも迫ります。

• カテゴリ: 少年・青年マンガ
• ジャンル: 青年マンガ
• 出版社: KADOKAWA
• 掲載誌・レーベル: HARTA COMIX
• シリーズ: 山を渡るシリーズ
• 電子版発売日: 2022年10月15日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 180MB

[ブクログ · ★★★★★]

『山を渡る ‐三多摩大岳部録‐』は、空木哲夫による日本の漫画。『ハルタ』（KADOKAWA）にてvolume52から連載開始され、奇数月号にて連載中。三多摩大学の山岳部での新入部員と先輩たちのやり取りを通して、登山初心者から、ベテランまで山登りの魅力を伝える作品。

あらすじ

４月、三多摩大学に入学した南部真菜は、新歓オリエンテーションで山岳部を探すがみつからず、直接山岳部の部室を訪ねる。時を同じくして「日本の国土の75％は山林です」と煽り文句が付いた山岳部の勧誘ポスターを見て、未知の領域への興味を持ち部室に入ってきた入間聡子と部室で出会う。二人は登山については全く無知ではあるものの、黒木世都子、金田良雄、草場透の先輩３人組の説得を受け、体験入部の形で後日高尾山登山へ向かうことに。高尾山への途中、山岳文学好きで高尾山に単身登ろうとしていた加賀直美が南部茉奈と同じ電車に乗り合わせ、合流。登山ど素人の３人と、ベテラン３人の高尾山登山により物語が始まる。

登場人物

新一年生

南部真菜
南部ちゃんと呼ばれる。長野県出身。三多摩大学登戸学生寮居住。
三多摩大学文学部史学科一年
運動が苦手で、極力避けてきたが競争のないマイペースで行ける山登りならと思い入部。
料理が得意で、三多摩大学山岳部の食事担当として糧食計画を練り、北アルプス登山においては料理長と呼ばれ、頼れる存在となる。
サッポロ一番は味噌派

入間聡子
イリマーと呼ばれる（アウトドアメーカー、カリマーから？）。秋田県出身。実家は米農家（あきたこまち）
三多摩大学理工学部一年
「日本の国土の７５％は山林です」と書かれた金田良雄が作った山岳部勧誘ポスターを見て、山を登らなければ日本をすべて検証できないと思い山岳部を訪れる。
津軽なまりでしゃべる。ゲームが趣味であり、先輩の「登山はＲＰＧゲームである」との説得が響き入部。山岳部で人生初の腕立て伏せをする。運動着として着ているジャージから秋田高校３年A組だったことがわかる。
先輩を先輩とも思わぬ言動で物語をグイグイ進める推進力となっている。巨大な秋田犬のぬいぐるみ「菊千代（Sサイズ）」がないと眠れず、一時金田と対立するが、雲取山での南部の成長をみて「菊千代（XXSサイズ 980円）」にサイズダウンすることで折り合いをつける。
つかっているバーナー（マナスル96 ケロシンバーナー）の名前は「アルフィオン」
サッポロ一番は塩派

加賀直美
加賀っちと呼ばれる。北海道出身。
三多摩大学文学部一年
読書が趣味であり、特に山岳文学に傾倒する。それが嵩じて単身で高尾山登山に向かう電車のなかで、同じく山岳部の体験入部で高尾山登山へ向かう南部茉奈と出会い、同行する。
金田と宅野の“文学の香り”にも敏感。高山経験のために登った鳳凰三山の途上、辻山山頂で、高山病にかかってしまうも部員の手厚い看護で復活し、さらに絆を深めた。
使っている背負子の名前は「ハックルベリー・フィン」
サッポロ一番は味噌派

二年生

黒木世都子
三多摩大学地球人文科学部二年
山岳部主将。ゴリラ女。料理が下手だが、そのイメージを払しょくするため「世都子の部屋」という動画配信を行い、カレーを作成。しかしながら自らまずさ加減に一口で静止画と見まがうほど微動だにできなくなってしまい、結局料理下手の検証動画となってしまう。後輩入間の確保のためにゲームを始めるが、先に進んでいる入間によくネタバレを食らっている。
サッポロ一番は塩派
他校の山岳部からは三多摩大学の邪鬼と呼ばれる。


金田良雄
三多摩大学法学部二年
硬派なアルピニズムを目指し強面で言動はぶっきらぼうだが、割と三枚目。後輩たちの教育を行っていく中で父性に目覚め、時に成長に涙するようになる。入間の持つ菊千代に関しては一時対立したが、北アルプス行動中に剣岳登頂を祈願する入間によって知らぬ間に回収された「菊千代（XXSサイズ）」を探し回るなど、愛着を持ち始めている。甘党。登山の能力はトータルバランスに優れている（自評）。じゃんけんに弱い。高山植物好き。
サッポロ一番は味噌派
他校の山岳部からは三多摩大学の赤鬼と呼ばれる。

草場徹
三多摩大学経済学部二年
常に冷静な判断を下す。ボルダリング経験者。親が商売でやっちまったため経済に目覚めたが、その話をすると時間がかかる。濡れた岩は苦手。
サッポロ一番は塩派
他校の山岳部からは三多摩大学の青鬼と呼ばれる。

OB
宅野和樹
三多摩大学山岳部第57期OB。現在は黒木たちの行きつけの登山用品店「カモシカ」勤務。おかま口調でしゃべり、金田に気がある？
定期的に山岳部にコーチングを行い、時としては天候悪化の中頂上を前にして逸る部員に対し、厳しい口調でいさめたりもする。

安達ちはる
三多摩大学山岳部監督。沢登りを得意とし、海外の登山経験も豊富な山岳部監督。低身長で、同じく低身長の南部にシンパシーを感じている。お弁当は中身がから揚げのでっかいバクダンおにぎりを二つ食べるほどの大食漢。髪色が奇抜。
山のことを知りたいと登山をする。

共立大山岳部
小笠原
同じ山岳部メンバーに気難しいと評されており、三多摩大学山岳部にもつっかかっていく。特に、SNSに挙げた自分たちの登山情報を基に三多摩大学山岳部が先に登ることに対して腹を立てている。しかし、大学の山岳部という同じ立場からいがみ合うだけではなく、お互い協力もしあう良いライバル関係でもある。

新田
小笠原とともに、SNSで山の情報を盗み見ていると三多摩大学山岳部に敵愾心を持っている。

同部員二人
名前は出ていないが、三多摩大学山岳部に女子部員が入っていることにおどろき、どうやって入れたのかを黒木に聞く。上記二人に比べて三多摩大学山岳部に対しての敵愾心は緩い。


登山用品店店員
金を使わない三多摩大学山岳部をうとましく思うそぶりを見せるが、金銭面の問題は学生に否はないとも感じており、金田たちの欲しがっていた用品をセール品にするなど優しさもある。

小幡千可子（チーコちゃん）
南部真菜の高校時代の同級生。鳳凰三山登山のために前乗りとして宿泊地とした、南部の地元でもある甲府駅で偶然再会してしまい、南部が怪しい団体に取り込まれたと誤解する

丹沢大山山頂売店のおっさん
のちに新一年生たちの丹沢大山登山失敗をネタにヘッドライトの販売を開始。SNSでバズっている。

槍ヶ岳山荘の登山客
槍ヶ岳に登れず悔しい思いから先に登頂した先輩三人をくさしていた新人三人に対して、励ましの言葉を贈り、勇気づけてくれた。


実在の人物
コンラート・ゲスナー
スイスの博物学者にして書誌学者。1551年、世界初の登山家としてピラトゥス山に登頂。なお、黒鉛を板に挟み現在の鉛筆の形にして使用し、登山の様子を記録している。

小林喜作
腕利きの猟師であり、のちの登山ブームを見通して東鎌尾根に喜作新道をつくり今の表銀座のベースとした。

播隆上人
槍ヶ岳最初の登頂者。



登場山岳

八ヶ岳連峰　横岳
高尾山
丹沢大山
丹沢表尾根コース　塔ノ岳（三多摩大学山岳部のホームマウンテン）
屏風岩
雲取山　東京都最高地点
谷川岳一の倉沢　烏帽子沢奥壁
鳳凰三山
桝形山
越後沢大滝（安達監督）
北アルプス　燕岳　大天井岳　西岳　槍ヶ岳

三多摩大学山岳部
3種の神器
「雨具、山靴、ヘッドランプ」

[ブクログ · ★★★★★]

5巻まとめて読んだ。登山の楽しい部分が満載で読んでいてほのぼのした気になる。
もし今学生だったら間違いなく山岳部に入って、ギャップに驚くような気がするけど、それでも良いなと思う。
大人になった今の自分の気持ちだと、他人とのしがらみなどめんどくさくて1人で山へ行くけど、その一方でクライミングや沢登りはやりたいけど、1人だとハードル高いからこういう仲間は羨ましいなあと思う。

[ブクログ · ★★★★★]

山に臨むそれぞれの思いが熱かった。南部ちゃんの悩みに金田パイセンが「皆は　同じじゃない」「同じになる必要もない」「同じにする事が間違っている」と、そして「しかし山に向き合う気持ちは俺たちと同じだと言いたい」言うシーンは本当に熱くなった。
いやしかし体重の1/4まで背負う南部ちゃん始め新入部員達はマジですごい。

[いりこ · ★★★★★]

準備巻

北アルプス挑戦！の！準備！！

食糧、荷物、ルート、体力、などなど決めることもやることもいっぱいな巻でした。

ずらっとギアを並べたり、南部ちゃんのためにウルトラライト装備を用意したり、じっくり道具を見るだけでも楽しい。

先輩たちの挑戦は滝！
沢登りは馴染みがなかったので知らないことばかり。

顧問の4月の大山(だいせん、日本海側の雪山)で遭難した気合の入った新人3人、は笑いました。
雪山遭難する新人て新人じゃない。