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日本人にとって最もメジャーかつ“伝統的”な年中行事「初詣」は、意外にも新しい行事だった……?! そしてその誕生の裏には、近代化のなかで変化する人々の生活スタイルと、鉄道の開業・発展、そして熾烈な集客競争があった――“社寺参詣のために敷設された鉄道は多い"という語り方で語られてきた「鉄道と社寺参詣」の関係に一石を投じ、綿密な資料調査をもとに通事的に解き明かす、鉄道史・民俗学を結ぶ画期的な一冊。
平山 昇(ひらやまのぼる)
1977年長崎県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在は同大学院学術研究員、立教大学経済学部兼任講師。主な論文に「明治期東京における『初詣』の形成過程」(『日本歴史』691号、2005年)、「明治・大正期の西宮神社十日戎」(『国立歴史民俗博物館研究報告』155集、2010年、第2回鉄道史学学会住田奨励賞受賞)などがある。
※電子書籍の仕様による紙版と異なる図版・表・写真の移動、本文中の参照指示の変更、ほか一部修正・訂正を行っている箇所があります。予めご了承ください。
Posted by ブクログ 2022年06月19日
初詣が習慣化したのは明治時代中期。それも鉄道会社の戦略!
第1章 「初詣」の誕生
第2章 「何事も競争の世の中なり」
第3章 競争がもたらしたもの(1)
第4章 競争がもたらしたもの(2)
第5章 鉄道と神社の協調と駆け引き
終章
社寺一覧、鉄道会社一覧、参考文献・新聞史料・史料、有り。
江戸時代、...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年07月02日
「社寺参詣」という”伝統的風習”と捉えられがちなものが、「鉄道」という”近代文明”によってどれだけ影響されてきたのかをまとめた一冊。明治~昭和初期の関東・関西を主な対象として話がまとめられている。
学術的な鉄道研究として、最近は新聞記事・広告や社寺史料を丹念に研究するのがトレンドらしく。この著書も...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年06月20日
正月の社寺参詣の変遷を、鉄道網の発展から解き明かしている。著者の史料の読み込みがすごい。立派な研究書だと思う。
関東では成田山・川崎大師、関西では伊勢神宮といった郊外の社寺は、複数路線の競合による増便・運賃値下げにより、さらに人気を博したとのこと。競争による市場の創出・拡大がここまではっきりと現れた...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年03月17日
鉄道発展は、社寺参詣の流行り廃りと大いに関係していて、互いに影響しあってきたことを、当時の新聞や社寺の日記などの記録を調べて明らかにした本である。初詣が明治中後期からの風習だとか、初詣で人出の多いところは昔から同じだとか、なかなか興味深い。鉄道会社の集客サービスや、鉄道の要する時間とか、今とそんなに...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年05月26日
恵方参りや初縁日と異なり、元日に寺社にお参りする「初詣」という習慣は、明治以降に鉄道ができてから、まだ珍しかった汽車に乗って郊外の寺社に出かけて散策を楽しむ行事として生まれたんだって。勉強になりました。
伊勢詣りの隆盛も、その裏に鉄道会社の競争あり。
明治30年代の官営の東海道線と関西鉄道(今のJ...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年12月16日
(130ページ)「初詣はもともと恵方だの初縁日だのといっや細かいことにこだわらずにお詣りするという、きわめてアバウトな行事として成立し、そのアバウトさに利用価値を見出した鉄道会社のPRによって社会に定着していったものなのである。それにもかかわらず、誕生からわずか100年あまりで、あたかも「初詣の正し...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年03月17日
日本の、いわゆる「伝統行事」は明治以降に確立されたものが多かったりします。ただ、「初詣」自体もそれに該当するとは思いもしなかったです。
こういうのも知ると、個人的な明治維新の評価も功罪半ばになってしまいます。
内容的には当時の新聞広告や記事を基に非常に面白い考察をされています。
「阪急信者」の私にと...続きを読む
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