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「ありそうもない、稀有な、不可思議な、奇跡的な」ルーツこそが本物だった。植物や、翅のない昆虫、塩水に弱い両生類やサルなど、“海越えができない”はずの生きものたちが、大海原を渡って分布を広げた歴史が明らかになりつつある。地理的な障壁によって生物の分布域が分断されてきたとする「分断分布」偏重のパラダイムに、変革が起き始めていると著者は指摘する。新たに浮上してきたのは、動植物があちらの陸塊からこちらの陸塊へと奇跡の航海を遂げた、躍動感とサプライズに満ちた自然史である。歴史生物地理学の世界を覗き込めば、多彩な生きものたちの姿はもちろん、プレートテクトニクスや気候変動、化石記録に分子時計といった幅広い知見がひしめき合っている。個性豊かな研究者たちが、生物の来歴をめぐって激しく論争した経緯も、本書は臨場感たっぷりに映しとっている。第III部では、読み進むにつれてますます「ありそうもない度合い」の高い海越えの事例が登場するので、その頂点までどうかお見逃しなく。それらはいずれも、著者が最後に語る「私たちの世界は、なぜ今このような姿をしているのか?」という大きな描像の大切なピースなのだ。
...続きを読むPosted by ブクログ 2023年09月02日
読む前は「おサルの大冒険」的な、イースター島まで海を渡った移民を再現したハイエルダールのコンチキ号漂流記のような内容を期待していた。残念ながら「おサルの大冒険」の記述は後半に少しだけしか無い。
序盤から長々とプレート・テクトニクスの説明があり、おサルまだかおサルまだかというおサル渇望状態に陥る。ただ...続きを読む
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