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1993年、あの松井秀喜を抑えて新人王に輝いた元ヤクルトスワローズ伝説の投手・伊藤智仁。名捕手・古田敦也に「直角に曲がる」と言わしめ、名将・野村克也でさえも「私が見た中でナンバーワン」と感嘆した“高速スライダー”を武器に、プロ野球界を席巻した。そんな鮮烈デビューを果たした伊藤だが、その後はたび重なる故障に見舞われ、長期離脱を余儀なくされる。過酷なリハビリに打ち克ち、一度はカムバックを果たしたものの、伊藤の右腕は再び悲鳴を上げる・・・。その後も復活をめざし懸命なリハビリを続けたが、とうとう神宮のマウンドに戻ることはできず、03年に現役引退。世間からは「悲運のエース」と呼ばれた。しかし、伊藤智仁は「悲運」ではなかった―。三十数時間に及ぶ伊藤智仁本人へのロングインタビューを軸に、野村克也、古田敦也、岡林洋一、石井一久、館山昌平、米野智人、松谷秀幸、由規、篠塚和典、立浪和義ら当時のチームメイトや対戦相手、さらにはアマチュア時代の恩師や家族など、総勢20名以上の関係者が今まで明かされることのなかった真実を語る。今もなお、野球ファンの心に深く刻まれている伊藤智仁。その半生を、93年のデビュー戦から17年の「最後の一日」までを見届けた作家の長谷川晶一が書き下ろす、渾身のノンフィクション作品。
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Posted by ブクログ
伊藤智仁。ゴジラ松井と同じ年にヤクルトへ入団。ルーキーイヤーでは実働2ヶ月半だが、三振を奪いまくる高速スライダーと防御率0点台が評価されて新人王。その年、1試合奪三振の日本記録を達成しながらサヨナラホームランを打たれたことは、結果的に「悲運のエース」としての彼を象徴するシーンだ。
華々しい1年目だったが、その後はケガに苦しみ、短い現役生活のほとんどが手術とリハビリの繰り返しだった。しかし、本書の彼の発言には悲壮感や後悔は感じられない。あまりに柔軟で故障しやすい肩関節や新人時代に過酷な登板数を強いられたことも、そして「悲運のエース」と呼ばれたこともプロ野球で注目を浴びることができたと、前向きに考える。
だからこそ彼は「幸運な男」だった。
伊藤智仁は現役引退後、投手コーチに就任。今の彼が語る、ピッチャーに必要な素質は壊れないことだ。
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