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フェイスブック上の偽ニュースがトランプ大統領を誕生させた?/DeNAのWELQ問題は起こるべくして起きたのか?/「マスゴミ」と言う人ほど、なぜ偽ニュースにコロリと騙される?――偽ニュースを生み出す背景や構造を明らかにした上で、Yahoo!、LINE、スマートニュース、日経、ニューズピックスという5つのニュースメディアを中心に、スマホを舞台にしたニュースを巡る攻防を描く。
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Posted by ブクログ
フェイクニュースの本かと思ったら、そうではなく日本のネットメディア5つについて取り上げ、その運営の仕方と特徴・比較をしている。わかりやすくそれぞれのネットメディアを開設してくれていて、大変勉強になった。
文字通り日本のネットメディアの覇権をめぐる物語。 2017年出版と多少古いものの、ネットメディアの歴史が分かって面白かった。
フェイクニュースというよりはネットメディアの歴史と現在についての本。 著者の藤代さんはネットにおけるメディア研究に「ミドルメディア」という新たな枠組みを提唱している。ゼミの論文執筆のために読んだが、かなり勉強になった。
なぜ、ネットニュースを見てしまうのか? 私は1日に1時間を超えるぐらいダラダラと見てしまうことがあります。 「この行動はヤバい」、「時間を無駄にしている」と思い、「ネットニュースとの付き合い方」を真剣に考えたいと思い本書を購入しました。 本書は、なぜネットニュースを見てしまうか?という私の問いには...続きを読む、 (当たり前ですが)直球では答えてはくれません。 ただ、ネットニュースをめぐる歴史と興亡、そして負の面であるフェイクニュースが起った経緯を知ると、 上記の答えを考える上で参考になりました。 まず、ネットニュースを見てしまう、私なりの答えですが、 それは目標達成と自己目的的な欲望を満たしてくれるからです(これは心理学的知見から参考にしました)。 ネットニュースには、私が知りたいという欲求をある程度知ることができます。 例えばサッカー日本代表の結果だったり、大災害が起こった後の経過、有名人のゴシップなどが、目標達成にあたります。ただ、これは、ネットニュースを見てしまう理由の、ごくごく一部のものだと思っています。 圧倒的に、後者の自己目的的な理由です。 その理由とは、ネットニュースを見ることで、自分の思いを満たしてくれる記事に出会ったり、 気になる記事だけを拾い読みできたり、また、不謹慎ですが、悲しいニュースを見ると、 ああ世の中には、こんなひどいことが起こっているのかと、自分と比較して、 安心したり、憤ったりと喜怒哀楽の感情を人工的に作り出すことができるからです。 ネットニュースは無料です。 無料なのに、自分の自己目的を満たしてくれる。 これは凄いことですが、「なぜ、無料なのか」と疑問に思わないといけません。 もちろん無料には理由があって、私たちが見るのは、記事の他に、様々な商品の広告を見ています。 ネットニュースを見る時間と量と、広告の量は比例関係ということです。 ネットニュースに掲載される広告を、どれぐらいの人が見ると、 どれぐらい購買につながるか、ある程度わかっています。 だから、プラットフォームを運営する会社はニュースを無料にしています。 私たちは、意識的にも、無意識的にも、記事の他に、広告も大量に見ています。 無料の対価は、割と大きいかもしれまえん。 必然的に如何にPV数を上げるのか、プラットフォーム側も、 またニュースを提供するメディアも関心がそこにいきます。 必然的に、もっと魅力的で、興味が湧き、刺激的なニュース作りをします。 それは、ニュースもまた、商品という面が強いからです。 脳科学の視点で、ネットニュースを見ると、また興味深いと思います。 ニュースは、情報の一つの形態です。 最近の脳科学の成果では、「情報」は報酬刺激、つまり脳の中の神経伝達物質の放出をもたらす。 興奮性刺激として考えられています。 なぜ、ニュースを見ると、楽しくなったり、悲しくなったり、 もっと知りたくなったり、怒りを感じるのかだ?その答えが、ニュースを見た私たちの脳は、 神経伝達である物質ドーパミンが放出されて気持ちよくなるからです。 ドーパミン神経系は、予期せぬものや、新しいモノを期待することで、より活性化します。 これが、どんどんネットニュースを見てしまうことや、 プラットフォームが絶え間なくネットニュースを流す理由の一つです。 流せば、流すほど、見る人の脳は、喜ぶからです。 ネットニュースが私たちの脳の中で報酬を引き起こす仕組みとして、重要なことがあります。 それは、私たちの脳は、「すでに知っている事柄」について、 「さらなる情報」を求めるよう調整されているということです。 このことは、より強調されてよいかもしれません。 つまり、ネットニュースをたくさん見ても、「自分が知りたいことを、 知れる」というわけでなく、「知っていることを、どんどん知るように脳の力学が働くからです。 もしかしたら、ネットニュースは自分が「知らないこと」を「知る」という目的では、 あまり役立たないものかもしれません。圧倒的に態度が受動的です。 人が何かにはまる理由は、知らない、わからない、できないという理由は少数でしょう。 知っている、わかる、できるという理由の方が圧倒的でしょう。 ネットニュースには、物理学の理論とそれを補う数式がのることは、あまりありません。 なぜなら、それは、多くの人が「知らない」「わからない」からです。 そういうことに興味が湧くのは、ごくごく少数派です。 PV数を上げることが、収入に結びつくというビジネスモデルの元で、記事を提供しているのなら、 難しい記事や読者が「知らない」「わからない」記事を提供するモデルなのは、稀でしょう。 「知らない」や「わからない」ものに、多くの人は、興味を湧きません。 簡単に知りえるだろうことに興味が湧きます。 言ってみれば、自分達が見る多くのネットニュースとは、 もう自分が「知っている」ことを反芻して、脳の報酬系に訴えているだけの行為かもしれません。 なぜなら、神経伝達物質のドーパミンは、報酬そのものに反応するのでなく、 報酬を予期させる確情報をいち早く見つけようとする性質を持っているからです。 現に、絶え間なく更新されるネットニュースの見出しを見て、「あっこれ面白そうだな」と思ってみたものが、 本当に面白いと思った時、言い表せない快感を感じることがあります。 それは、脳の報酬系は、予測していたよりも、 実際に、享受したものの報酬が大きいと、よりドーパミンが放出されることからも頷けます。 以上の論理は、「依存症」になってしまう危険性をはらんでいます。 よって、ネットニュースの付き合い方は、ある面では、非常に慎重になった方がよいと思います。 なぜニュースを見てしまうのか、その一つの解答は、 自己目的的に私達は行動してしまう理由の他に、 そのニュースを作り出す側が、自分達に、もっと、もっと、 それこそ中毒・依存症状を起こしてもらいたいほどニュースを見てもらいたいからです。 この消費者側の私たちの欲求と、提供・作り手側の思惑が間違った方向に行ったのがフェイクニュースということです。 「肩こりは、幽霊が原因」と言ったニュースまで出るようになってしまいました。 視点を少し広げて、アメリカの調査を紹介します。 「ニュースと消費行動」というテーマで興味深いアンケート結果が出ました。 その結果を見てみると、 ニュース消費者の72%が、家族や友人と語り合うためにニュースを見ているという結果が出ました。 そして、69%が情報に接するのが社会的義務であること 61%がニュースの中で生活に役立つ情報がしばしば見つかること 44%がニュースがくつろげる娯楽や個人的な楽しみを提供してくれること 19%が仕事上ニュースに接している必要がある と答えています。これは、ニュースというくくりなので、ネットニュースに的を絞ったものではありません。 ただ、ニュース消費者の70%以上の人は、「語り合うため」というのが、非常に興味深いなと思います。 ニュースは、どちらかというと、自分の人生にダイレクトに影響する話題は、少ないと思いますが、 ニュースを他者と共有することで、語り合うキッカケになることは、私自身も経験しています。 なかなか共通の話題を他者と引き出すのは、難しいですが、ニュースならば、好き勝手なことを言えます。 なぜなら、自分にも、他者にも、ダイレクトに関係ないからです。 しかし、ニュースを語りあうことで、お互いの考えや見方を知ることができます。 そして、関係を構築するキッカケになるかもしれません(もちろん構築したくないということも判断できます)。 つまり、ニュースを他者と関係を作れる道具とすることができます。 また、ネットユーザーの37%がニュースを作り出したり、論評を加えたり、 SNSを通じてニュースを拡散させたりしているという調査結果が出ています。 その中で、ネットユーザーの9.2%はニュースにコメントを加えています。そして 6.3%はSNSにリンクをはる 4.1%はコンテンツにタグをつける 3%はオリジナルのニュースコンテンツや論説を作る 1.1%はツイッター上でニュースを伝えています。 これは、アメリカの調査で、日本には、これに該当するような調査を、 探すことができませんでした。私なんかは、ニュースにコメントをしていたことがあって、 「これって、プア充の典型的な行為だな」と思って、今はやっていませんが、 アメリカで9.2%、ネットユーザーの10人に1人ぐらいがやっているんだ、 「へぇー、」と思いました。これを少数とみるのか、えっ!そんなに多いの!」と見るのかは、わかりませんが。 私の場合は、少数だな思いました。 冒頭の自分の疑問である「なぜ、ネットニュースを見てしまうのか」の答えですが、 唯一の解答は、もちろんありません。私なりの答えとしては、受け手をある私たちは、 「ネットニュースがどういう形態のものなのか、よくよく考えた方がいい」なという感じです。 プラットフォーム側は、受け手ある私たちに、多くが無料という記事を提供しています。 その意味を考えるのは非常に重要です。それは、私たちを消費者と見ているからです。 たくさん見てもらうことで、利益が比例するならば、これからも、私たちの自己目的的な欲望を満たしてくれる内容の記事を、 様々な工夫を凝らして、届けてくれるはずです。それが、自分達にどう影響を及ぼすのか、良いのか、悪いのか、 それとも、違う「目的」が作りて側にあるのか、それは、自分達が、ネットニュースと、どう付き合っていくかにより ますが、全く付き合う必要もないともいえないですし、ネットニュースが私たちに福音だけをもたらしてくれることはありません。 やはり、アメリカの調査の結果で出たように、他者と関係を構築したり、社会的義務としてであったり、生活に役立てたり、くつろげたり、仕事で使ったりと、あくまで、利用するという意志が大事で、そのバランスの追及がネットニュースとの付き合い方で大切なことだと思いました。
・某雑誌の依頼原稿向けに読んだ。原稿の内容とはあまり関係しないが、日本のウェブで流通するニュース提供者の現状+今までの経緯の整理に良い ・海外のフェイクニュースの動向とかに詳しいわけではないので、そこはなんか別に追う必要があるか
ジャーナリストであり、ネットメディア・ソーシャルメディアに精通する著者が、ヤフー・LINE・スマートニュース・日本経済新聞・Newspicksという5つのネットニュース界メインプレーヤーの競争と戦略、ジャーナリズムとしての責任の有り方、DeNAのWelq騒動に代表される偽ニュースが跋扈した背景などに...続きを読むついて、緻密な取材と抱負な見識をベースにまとめた一冊。 全般的に、ヤフーに対しては私怨とも言える厳しい書き方がされている一方、私から見ればヤフーの足元にも及ばないようなメディアの使命感しか持たないLINEに対してはさほど厳しくないなど、一定のバイアスについては割り引いて読む必要がある。しかしながら、相反しがちなジャーナリズムとしての社会性と、ビジネスとしてどうマネタイズするかという事業性を、5つのプレーヤーがどのように考え、どこに力点を置いているのかを、ここまで明確にまとめる力量はさすがの一言。特に、レガシーな新聞というメディアでは、「広告と編集の分離」というルールにより、社会性と事業性のバランスがうまく保たれていた点が、ネットニュースにおいては「プラットフォームとメディアが必ずしも分離しているわけではなく、その関係性をみな模索している」という指摘は、ネットニュースの難しさを端的に表しているといえる。
ジャーナリスト出の著者による、ネットメディアの歴史と現在を語った書。 ネットメディアとして君臨しながら苦労してきたヤフー、独自路線と ソーシャルを融合させたLine。経済新聞の雄、日経のネットメディアへの 道のりなど、タイトル通り覇権争いの歴史が垣間見えて引き込まれる。 副題のようにネットメディアは...続きを読む偽ニュースの温床にもなっているので、 これこらどれだけ自浄作用がなされるか気になる
ニュースメディアのデジタル戦略についての概括。マスの取り組みの遅さとソーシャルメディアの間で無責任なプラットフォームとしての「ミドルメディア」を乱立させ、ニュースコンテンツの質を低下させている。ニュースピックスの立ち位置は、メディアとプラットフォームの機能を完全に切り離しつつ、収益をあげている。確か...続きを読むにコミュニティを維持するのは大変で、ピッカーのヒエラルキーも進みがちだけど、たとえばホリエモンの「良いね」っていう無機質なコメントだけでも何に注目してるのか参考になるし、完全にクローズドじゃない空間が好きで個人的には今一番使っている。
すごくよくまとまっていて、面白い。 「偽ニュースはなぜ生まれたか」というサブタイトルが象徴するように、WELQ事件などといったフェイクニュースへつながる、ネットメディアの歴史が描かれている。 当初、2016年夏ぐらいに原稿はあらかた出来上がっていたそうだが、問題意識がうまく表現できていなかったとこ...続きを読むろに、まさかのトランプ大統領当選。その裏にフェイクニュースがあり、ネットの信頼性が疑われたことをきっかけに、藤代先生は一気呵成に原稿を再整理されたようだ。 私個人の感覚としては、そもそもインターネットが普及して間もなくは、2ちゃんねるなどの存在や、相手の顔が見えない怖さがあって、ネット上の言論は信用しがたく独特だなと思っていたところがある。 が、2000年代中盤になると、新聞社や通信社も大量の情報を流しているので、早くて正確な情報を得るための拠り所としてきた。 方や、twitterでは市井の人がどんどん発言するので、訓練された専門家による一次情報を探すのが難しくなってきており、情報の質の低さ、感情的かつ扇動的な流れに辟易としてしまう面も多分にある。そんな意識から、本著を手に取り、読み進めると、2ちゃんねるの話は差し置くが、それ以降の私個人の感覚は当を得ているかもしれないと感じた。 いちばん面白かったのは、偽ニュースが出回る経緯を辿ると、ライブドア事件が大きく関係しているのではないかということだ。ライブドアは2003年よりポータルサイト運営を開始したが、2006年のライブドア事件を機に、記事提供者である新聞社や通信社が配信を停止。これを受けてライブドアはトップページにブログコーナーを設置し、積極的にブロガーを支援していく。ニュースを作れるのはマスメディアだけという驕りがライブドアへの記事配信停止を促し、結果的にマスメディア以外のニュース発信者を生み出したということだ。 また、あくまでプラットフォーム提供者として「新聞少年」を標榜していたヤフーが、2012年に「ヤフー個人」というサービスを始めたことにより、一層記事の信憑性を担保するのが難しい時代へと移る。 運営者も利用者も自らがメディアであるという自覚に乏しい、ソーシャルメディアの存在もフェイクニュースを媒介する温床となっている。メディアとプラットフォームの境界が曖昧で、誰もニュースに責任を持たないからこそ、その空隙からフェイクニュースが生まれているというのだ。 最初の第1章が特に面白かったが、第2章以降の「ヤフー」「LINE」「スマニュー」「日経」「NewsPicks」それぞれの成り立ちについても、勉強になることがたくさん詰まっていた。とにかくきめ細やかな情報収集力と卓越した情報整理力で、感心しっぱなしだった。 最終章の「猫とジャーナリズム」では、バイラルメディアが「質の高いオリジナル記事」「情報検索」「猫コンテンツ」といった3つの頭を持つキメラ構造であることが、ニュースの真偽を見分けにくくしているとする。 クラウドソーシングサイトが「偽ニュース絶望工場」であること、ステマの存在(広告主の責任)、炎上がマスメディアとソーシャルメディアの共振によって生み出された虚像の可能性があること、アメリカの中学生の8割が本物のニュースと偽ニュースの見分けがつかないことなど、どれもへぇというものばかりだった。 藤代先生の授業が受けてみたい。
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