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戦国時代末期。越中の佐々成政は、天下取り寸前の秀吉の野望を挫くため、孤軍奮闘していた。八方ふさがりの中、成政は、秀吉に対する徹底抗戦を家康に懇願しようと決意。敵地を避けて家康に会うには、厳冬期の飛騨山脈を越える必要があった。何度でも負けてやる――天下ではなく己の目前の道を見据えた、愚直な戦国武将。その悲哀と苦悩、誇り高き生き様を描いた本格歴史小説。第21回中山義秀文学賞受賞作。解説・末國善己
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Posted by ブクログ
単なる登山本にせず、黒百合伝説と内通者ミステリーもあわせて飽きさせない構成。 成政の心理描写、秀吉利家家康との比較など、上手くまとめていた。 短編で終わってもおかしくないテーマを長編にしているが、間延びせずに熱いまま一気に読めた
2019.8.7完了 久しぶりに読み易く、テンポよく、分かりやすい書き方に出会う。仕事してるのに2日で読んでしまった。 佐々成政のイメージはどうしても偏屈になりがち。信長の野望と裏切り、一揆の影響かもしれないけど。 ここの佐々は人間臭く、とても共感がもてた。 実際こういう領主は多かったんだろうが、時...続きを読む代の結果、異なる印象を抱かせることもおおいんだろう。 なによりこの作家も最後に創作ですと括っているからなにが本当かなど分かり得ませんが。
真面目な成政が秀吉に対抗する為冬の立山に挑み家康を動かそうとする物語。読んでいると妙に共感してしまう場面に出くわしたが作者のあとがきで謎が解けた。作者のフルマラソンの体験談をこの成政の立山踏破に重ねた作品だと知り自分も初マラソンに参加した時の未知の体験をする不安と期待の気持ちが蘇ってきた。これだけ共...続きを読む感出来た作品は初めてだったので楽しく読めました。
大町には丸三年住んでいた。冬に街から仰ぎ見る北アルプスは、晴れた日は白い屏風が西の空を塞いでいるようだった。 厳冬期に入る山ではない。しかし、四百年も前に武将自らが冬の北アルプス越えを決行した。 どのルートを通ったかは定かではないが、北アルプスを越えたことは史実らしい。 富山の戦国大名、佐...続きを読む々成政。 西に前田、東には上杉に囲まれ、窮状を打破すべく浜松の徳川に陳情へ向かう。 生きて越えられるかわからない北アルプス越えに加え、留守の間に前田から襲撃を受け、さらには本丸の情報が洩れており間者の存在もある。 史実では、佐々成政の沙羅沙羅越えは徒労に終わる。 しかし、全てが徒労だったのか。 北アルプスの厳しさと、人間の小ささを武将の目を通して描く。
佐々成政が、小牧長久手の戦い後、家康に会い秀吉に降らないように説得しにいくため、冬の立山雪中行軍するという話。現在のザラ峠が沙羅沙羅峠と言われている。沙=ミズが少ない、羅=網羅というように、網、捕らえるという意味を持つ。
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