Posted by ブクログ
2016年01月30日
いや、これは凄いな・・・・・・
ホント、三十路も近い男が「キュンと来た」って言うのも恥ずかしいが、理屈抜きでグッと来る、恋愛メインの少女漫画を読んだら、そんなもん、遥か彼方へすっ飛んでいくな、ってコトを実感させられた
キュンの上位、ズキュン級の恋愛メインな少女漫画だ、この『兄友』は
まさか、斎藤けん...続きを読む先生の『かわいいひと』に匹敵する強力な作品に出逢えるとは露とも思っていなかったので、油断していた
いや、ホント、胸がトキめく
しみじみ、男こそ、恋愛メインの少女漫画を読むべきだよな、と思わせてくれるストーリーだ
わずかな事で傷付きやすく、移ろいやすくなる女子の心の機微を正確に読み取れるように、これで勉強しろって意味合いも当然、あるっちゃあるのだが、どっちかっつーと、好きな娘のちょっとした動作に感じる甘酸っぱい心の高鳴り、それをいつまでも忘れない為に、そっちの方が大きい
話の展開としては、ベタな少女漫画と断言できる。要するに、兄の友人に恋してしまった妹と、友人の妹に恋してしまった男が両想いになって、そっから、更に相手をもっと好きになっていく。正道だ
しかし、その正道の土台を支えているのが、兄と妹の部屋を隔てている薄壁ってトコが実に好いのだ。薄い壁越しに聞こえてくる(嬌)声で、恋愛に臆病な少女が背中を押され、好きな男に対して大胆な行動に出てしまえる、その状況だけなら、ぶっちゃけ、エロ漫画的だ
よもや、そんな薄壁が正統派の恋愛漫画で重大なファクターを担うとは・・・・・・つくづく、少女漫画の奥深さと可能性を思い知らされた
また、恋愛初心者感が丸出しすぎる、まいと荘太の一挙一動にニマニマさせられるのだが、その二人に甘い空気を作らせるのに一役を買っている、まいの兄・雪紘さんの存在は非常に重要だ。ある意味、彼の働きがあってこそ、この『兄友』の面白さが引き出されていると言っても過言じゃない
またかよ、と私の感想を読んでくれている奇特な方は呆れるかも知れないが、雪紘→荘太っぽく見えるトコも、この『兄友』の面白さを語る上で外すに外せぬ好さだ
何にせよ、雪紘さんの活躍(意地悪?)に今後も期待である
どの話も、ストライク過ぎて、受け止めた手が痛いほどなのだが、個人的に「破壊力あったな」と感じたのは、第5話だ。恋愛漫画としての掴みがバッチリだった第1話も結構、重いパンチを私のボディに叩き込んできたが、荘太の男らしい庇い方だけでなく、まいの大胆なライバルへの彼女宣言、そして、女の子らしい勇気あるキス、これにKOされない読み手はいまい
この台詞を引用に選んだのは、実に恋愛漫画らしいからだ。少年漫画、青年漫画、成年漫画にもラブストーリーが優れている作品は多いが、やっぱ、少女漫画の恋愛は別次元だ。つくづく、最高の少女漫画は読み手が男だろうが、女だろうが、一瞬で虜に出来る