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企業と投資家による成長のための対話とは? 「日本版スチュワードシップ・コード」「コーポレートガバナンス・コード」を軸とする企業と投資家の新しい“協創”が動き出す。安倍政権ガバナンス改革の本質と行方を解説します。
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Posted by ブクログ
金融緩和で世界中に資金が溢れていようが、資本生産性が高い会社にのみマネーは回り、株価は高く評価され、有利な資金調達や株式交換による積極的なM&Aが可能となる。 ROEは株主サイドから見れば「資本効率」だが、経営や経済から見た時には、「資本生産性」と理解すべき指標。 日本企業は、長期の資本...続きを読む生産性が7%を下回る企業が7割もある。 資本生産性の代理指標としてのROEである為、10年などの長期平均のROEを用いるべき。 日本の株式市場のROEについて、現在の最頻値4-5%から世界標準の12-13%まで動かす必要がある。 米英独では、家計に占める財産所得は15%前後だが、日本では5%程度。 日本では、小規模だが優良な企業に資金配分する機能や、規模が大きいが経営のクオリティが低い企業に対する資本市場からのプレッシャーが弱い。 経営者は事業の価値そのものを上げる事に加え、大局観を持って株価を見る事で、事業価値と時価総額のギャップを認識し、その原因を理解し、解決に向けた努力を行うべき。 3つの企業価値ディスカウント要因 1.流動性ディスカウント、、、出来高が少ない場合は割り引かれる。 2.コミュニケーションディスカウント、、情報の非対称性 3.ガバナンスディスカウント、、、投資家から見て資金を預けるに足る企業・経営陣かどうか? 資産運用のプロは、直接的に顧客にリターンを提供するというミクロの役割にとどまらず、資本市場への参加を通じて資源の再分配を行い、結果として成長企業、産業を育てていくというマクロの社会的役割もある。 日本の資産運用は、市場全体に連動するパッシブ運用や、指数から大幅に乖離しない範囲でリターンを狙う相対リターン型のアクティブ運用(ベンチマーク運用)が多い。 企業の資本生産性が極端に低い日本では、ベンチマーク運用の収益は長期投資の目安であるこの20年間低迷を続けてきた。 中長期の企業価値を正確に評価する為のスキルセットや、エンゲージメント活動のような高い専門性を備える為の仕組みの構築、そして運用会社自身もガバナンスの改革を行う必要がある。 日本の株式市場投資額(466兆円) 1.海外運用会社 127兆円 27% 2.国内事業法人 95兆円 20% 3.個人投資家 83兆円 18% 4.国内運用会社 81兆円 17% 5.国内金融機関 39兆円 8% 6.海外年金ファンド 10兆円 2% 7.国内証券会社 10兆円 2% 8.その他 21兆円 5% 海外運用会社の中で、中長期の企業価値評価を投資判断の中心に据えた会社は、7兆円以上を日本に投資している。一方、国内運用会社は、中長期の企業価値を評価する投資戦略は1兆円以下。 日本の株主構成の特徴は、長期保有投資家比率が高い。 日本企業の安定株主比率は30%程度。1980年代は50%。 優良企業の基準はROICが高い事。これを維持できるだけの参入障壁の高さや忠誠心の高い顧客の存在、その維持を目指す経営陣の存在。 運用会社が得意とする「横比較、知識の幅広さ」は、経営者が持つ「現場の知・固有解」と相互に補完する。 株主が企業に期待する事は、「適切な事業リスク、財務リスクをとった上でのROEの向上」これを高める三要素は、 1.売上高利益率の向上 2.総資産回転率の向上 3.レバレッジの活用 企業経営には、投資、M&A、配当、負債返済、自社株買いの5つの資本運用オプションがある。 日本TOPIX500企業の短期借入/有利子負債比率の平均値は31%。近年は30%台前半で安定して推移している。 先進国のPERは約15倍に収斂しており、逆数(益利回り)は6.7%。 財務の柔軟性効果を重視し、無借金でいるからには、投資が継続的に発生し、それが成果を出している事。 日本企業の有利子負債/株主資本(D/Eレシオ)の平均値は0.7-0.9で近年は安定している。1をやや下回る水準は在うの健全性を保つ均衡点と見る事もできる。 D/Eレシオで0.5-1倍、有利子負債・EBITDA倍率で3-5倍が借入上限。 海外投資ファンドは、LBOを実施する際のEBITDA倍率上限を5倍程度に設定する事がある。D/Eレシオ2倍程度で買収を実施し、5年でCFの半分を使って借入を半分返済できれば株主資本を2倍にする事ができ、5年複利で約15%のIRRを達成できるという考え方。 株主還元政策は投資戦略と表裏一体。株主の最大の関心事は、株主還元ではなく、成長エンジンとなる投資機会の存在とその際の投資継続基準にある。 株主還元方針案 ・FCFを株主に全て還元する ・投資判断の基準と事業継続基準を明確にする ・手元現金及び債務の目標水準と考え方、達成期間を明確にする 中長期計画について、売上、売上高成長率のみならず、CFや利益の絶対額、伸び率、EPS、EBITDAを数値目標とする例も多い。 海外有力企業の中長期計画について ・達成期限を設けないベンチマーク型が多い。 ・ROEを目標に設定している企業はない。主流はROIC。 ・CFと株主還元に力点を置く、、、期待される成長スピードによって要求される株主還元のレベルは異なる。 100年続く企業の多くは、30年毎にビジネスモデルを転換している。 デットガバナンスとは、債務者が関与する企業統治システムであり、デットカルチャーとは、利益の成長を追うよりも安定を重視する考え方。 企業と本気で向き合うには、最低3-5年の運用期間が必要。 無借金企業が6割を超えた日本において、国内銀行には金融市場における役割の再認識が求められる。 TFP(全要素生産性)の向上は、経済全体の付加価値の総量を増やすので、資本提供者と労働者に分配されるべきパイの総量が増える。長期的に経済のパイを増やしていくのがインベストメントチェーンの改革による、資本生産性の向上。
「山を動かす」研究会が資本生産性の山を動かすにはどうしたらいいかを、日本版コーポレートガバナンス・コード、日本版スチュワードシップ・コードを絡めながら熱く論じる書。第6章の補論が難しいのでもう一度じっくり読みたいと思いますが、とにかく勉強になりました。
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