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日本は右傾化しているのか、それとも「普通の国」になろうとしているだけなのか。いったい、どちらなのか?――政治主導のもと、寄せては返す波のように時間をかけて、日本社会の座標軸は右へ右へと推し進められていった。そのプロセスを丹念にたどりつつ、新しい右派連合とその「勝利」に直面した私たちの現在を描き出す。
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Posted by ブクログ
「自由主義的な国際協調主義の高まりで膜を開けた新右派展開の動きが、いかにして偏狭な歴史修正主義を振りかざす寡頭支配へと帰着してしまったか、本書はその政治プロセスを解き明かすことを目指してきた」P173
過去の歴代政権を時系列でたどりながら政治を振り返ってみるという目的でもいい本です。アプローチはリベラリズムから見ているという前提を考慮して読む必要はあります。ただ政治の現在地としてなぜここに至ってしまったのか考える上で参考になるのではないのでしょうか。特に印象的なのは左派自由主義が新自由主義とは似て...続きを読む非なるものであり決別の意思を感じ取れるのですが今の中道左派はどう考えているのでしょうか。
映画主戦場にも、インタビュー出演してた中野氏による、保守55年体制から今日の安部政権までの、保守の流れ、変質と、時にリベラルによる揺り戻しに関する考察。資料や証憑に基づく、学者らしい観察と分析、鋭い洞察が見て取れます。この間の歴史的事実を知らないと、理解は難しいかも。
日本の政治の歴史を政治的立ち位置を切り口にしてたどる。かつて主流を占めた開発主義と恩顧主義の旧右派が、世界的な流れを受けた新自由主義と、アジア・歴史問題への対応をめぐって台頭した国家主義に代わっていく経緯がわかりやすい。 西洋の近代化の歴史では、絶対王政や封建主義から個人を解放しようとする中産階級...続きを読む(ブルジョワジー)が自由主義を担った。このうち、アダム・スミスは政府の介入を拒絶する自由放任の経済的自由主義を唱えたが、19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて貧困や暴力がはびこることになったため、福祉や教育などの社会政策面の政府介入が、個人を真の意味で自由にするものとして進められ、戦後のケインズの影響下で全盛期を迎えた(リベラリズム)。これに批判して政府介入から解放することを主張したハイエクらが、新自由主義と呼ばれる。 戦後、保守合同によって誕生した自民党の内部では、岸ら旧民主党系が革新勢力との対立を先鋭化させて保守支配の危機を招いたために傍流に甘んずることになり、外交安保政策は低姿勢に徹して経済成長を最も重視する吉田ドクトリンに回帰した旧自由党系が、池田内閣から田中・大平政権にかけて本流の地位を占めた。その実態は、官僚派の政治家や経済官庁による開発主義と、党人派の恩顧主義だった。農林族、建設族、商工族などの族議員が、業界団体の組織票と政治献金を背景に政策決定に深く関与し、既得権益を形成して擁護することにより、経済的弱者を保護する側面があったが、弱者の固定化と強者への従属を強化することになった。こうした派閥や族議員によるバラマキ政治や金権政治が批判されたことが、傍流の福田や三木が挑んでいく大義を与えることになった。 平等・個人の自由・反戦平和・植民地主義の反省と謝罪を左、不平等や階層間格差の是認・国家による秩序管理・軍事力による抑止・歴史修正主義を右と位置付ければ、中曽根政権以来、日本の政治が右傾化している。グローバルな新右派転換は、小選挙区制を用いる英米によって牽引されてきた。 新右派の両翼をなす新自由主義はグローバル化を推進し、国家主義はナショナリズムを喚起するが、どちらもそれぞれが自己利益や自己保全を追求することによって結果が決まるべきであるというリアリズムを基盤とし、利己的な行動に倫理的なお墨付きを与えることから、とりわけ強者によって解放的な側面を持つ。新自由主義の最大の受益者であるグローバル企業のエリートと、国家主義によって権力を強固なものにする世襲政治家や高級官僚は、日米関係を強化することによって、両国のパワーエリート間で一致した階級利益を追求した。新自由主義が欲望や情念を煽って消費文化を礼賛し、国家主義が行き過ぎた自由や個人主義をいさめ、他国との緊張関係を利用してナショナリズムをたきつけ、階級格差から注意をそらすというマッチポンプ的な共犯関係によって補完性を示す。 小沢の「日本改造計画」(93年)は、政治経済の新自由主義を強く唱えるもので、北岡伸一、竹中平蔵、飯尾潤などの学者が執筆し、以降の新右派転換プロセスを規定していった。93年に自民党が下野し、河野談話が発表されると、自民党は歴史・検討委員会を設置して歴史修正主義の学者グループと連携した。95年に村山談話が発表、アジア女性基金が設立され、96年に中学歴史教科書に慰安婦が記述されると、97年には「新しい歴史教科書をつくる会」が発足、文化人や財界人のグループと宗教系国家主義団体が統一して「日本会議」となった。 小泉首相は、党派閥の領袖への相談もなく、各派の次世代クラスを直接登用して求心力を強めたが、その多くは国家主義的傾向の強い政治家だった。橋本が総理時代に成し遂げた首相官邸の強化のおかげで、小泉は道路などの公共事業や郵政三事業の改革を進めたが、これらは橋本派の牙城であり、権力闘争の側面もあった。小さな政府路線を貫いて毎年3〜4%の公共事業費を削減し、補助金と地方交付税の削減が税源移譲を大きく上回った三位一体改革によって、中央と地方との格差を広げる結果となった。福祉分野では、医療費の患者負担を引き上げ、後期高齢者医療制度を創設した。製造業の派遣労働を解禁した結果は、非正規雇用の割合が1985年の16%から2005年には33%に上昇した。 民主党政権の成立によって下野した自民党は、穏健でリベラルな宏池会と経世会の系譜は見る影もなく弱体化し、新右派連合が主流となった。中川や平沼が設立した「真・保守政策研究会」は、安倍が会長となって「創生「日本」」になった。 著者は、リベラル左派の再興のための基礎条件として、小選挙区制の廃止、新自由主義との決別、同一性ではなく相互の他者性を受け入れた連帯をあげている。
☆第一次政権をあれだけの失態で閉じた安倍が、驚くべき復権を遂げた拝啓は2つの要因がある。 ・野党化した自民党が、さらに右傾化していた ・有権者の政権選択が可能となる競争システムが、民主党政権の挫折とともに崩壊したこと ☆リベラル左派連合再興のための基礎条件 ・小選挙区制の廃止として選挙制度改革 ・リ...続きを読むベラル勢力が新自由主義と決別すること。 ・左派運動の在り方の転換
ポイントを抑えた的確な現状認識にはうなるほかないが、読み進むたび随所でため息をつかざるを得なくもなる。最後に記された処方箋も正直なところ実現できなさそうなのが切ない。
日本は右傾化しているのか、それとも「普通の国」になろうとしているだけなのか。 いったい、どちらなのか? 著者は、日本社会の座標軸は右へ右へと推し進められたとする。 そのプロセスを丹念にたどった著作である。 以下、その内容である。 序章 自由化の果てに 1現在を生んだ新右派転換 2なぜ「反自由の政...続きを読む治」へ向かったのか 第1章 55年体制とは何だったのか ―旧右派連合の政治 1二つの歯車 ― 開発主義と恩願主義 2革新勢力 ― 「三分の一」の役割と限界 3なぜ旧右派連合は破綻したのか 第2章 冷戦の終わり ― 新右派転換へ 1新自由主義の時代へ 2自由化・多様化する日本政治 3国家主義 ― 新右派連合を支えるもう一つの柱 第3章 「自由」と「民主」の危機 ― 新右派連合の勝利 1小泉政権 ― 「政治の新自由化」の時代 2安倍政権 ― そして「反自由の政治」が現出した 3寡頭支配時代へ ― 立憲主義破壊の企て 4日本政治は右傾化したのか 終章 オルタナティブは可能か 1民主党の成功と挫折 2「リベラル左派連合」再生の条件 結局、自民党が政権を取ろうが、民主党が政権を取ろうが、それは、「政権党交代」に過ぎない。 「政権」というものの実質を牛耳る「官僚制」を民衆が打破できるかにかかっている。 検察と国税という絶大な権力の前では如何なる政治家もひれ伏してしまうのである。 「右傾化」を操るのは、また「官僚」を牛耳る裏の権力とは? 最後の行は、私の感想です(笑)。
戦後から日本がどのように「右傾化」していったのかを辿る。保守について論ずる時、欧米ではグローバル化、宗教、多様性などが、論点になる印象の一方、日本では安全保障、平和主義、歴史修正主義などが議論の中心となるように感じた。
本書のユニークかつ斬新な点は、1980年代以降の政治右傾化プロセスを「支点が徐々に右に動く振り子」のような「揺り戻し」を含む曲線運動と捉えていることにある。「振り子が右に振れるとき支点も一緒に右に動き、やがて振り子は左に振れるわけだが、前の周期の左端まではもどらず、もっと右の位置で留まる」。これに...続きを読むより「改革の後退」「改革の修正」とみなされる時期や政策が、結局のところ本質的には新自由主義化の動きそのものを停止させるに至らない力学が説明可能になる。 他方、今日の右傾化プロセスの因果関係を探求する上で最大の難問は、経済面でのグローバル化=自由化と、一見それに逆行するような国内政治局面でのナショナル化=反自由化の関係性をいかに矛盾なく単一の枠組で内在的に明らかにすることだが、その点はインターネットのブログ言説レベルの表層的な分析にとどまっており、正直なところ期待外れだった。偏狭な排外主義や復古的な国家主義の台頭を単に「格差社会」の矛盾から目を逸らすプロパガンダと見なしているだけでは、その意外な強靭さや拡散浸透を説明しえない。本書はこの30年余りの政治史を新自由主義と国家主義の「新右派連合」の「勝利」の過程として描いているが、例えば公共事業の在り方が小泉政権と現在の安倍政権では180度異なる点でも「新右派連合」の内実は相当な開きがあり、より精緻な解析と理論構築が必要だと思われる。
民主党政権の総括がされている。政権「党」交代ということで納得。 二大政党が無理なら小選挙区制を改めるべきなんだろうな。
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