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記憶の研究が目覚ましい。ついにDNAに連なる分子の言葉で語れるようになった。記憶を消したり想起させたり自由に操作できる日も夢ではない。そもそも記憶は脳のどこにどのように蓄えられるのかに始まり、短期記憶と長期記憶の違いは脳のどのようなメカニズムに由来するのかなどを語る。記憶研究から人間とは何かがわかる。
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Posted by ブクログ
分子脳科学、特にヒトの記憶を司る「セルアセンブリ仮説」について解説した本ですが、高校生や一般向けに行なった講演をまとめなおしているので、総じて表現が易しくわかりやすい。脳科学や心理学、生態学などは複雑に絡み合っていますが、これから大きな発展が望める研究分野だと思います。私の脳はトロけてしまう前にその...続きを読む謎が解明され、人類の歴史の1頁が刻まれるところを見てみたいですね。
同氏の記憶をあやつると内容はほぼ同じ。記憶をあやつるのほうが内容が充実しているのではないでしょうか。
記憶という現象を分子レベルから解明する研究に取り組む著者の講演をまとめたもの。 脳科学の世界は、まだまだ分かっていないことが多く、これからの学問ということなのだろうが、記憶をコントロールすることでPTSDなどへの対処を行おうとしていることなど、今後の期待は大きい分野であると感じた。
脳科学の本はいくつか読んだが、分子生物学的なアプローチというのは初めて。遺伝子で記憶を探ろうというのが、ある程度成功しているのに感銘を受けた。作者が農学博士というのも勇気をもらった。
海馬 陳述記憶 エピソ-ド記憶・意味記憶 手続記憶 最近記憶・遠隔記憶 記憶を思い出すのに必要な部位と記憶を貯えている貯蔵場所は必ずしも一致しない。 遠隔記憶のある場所 大脳皮質 記憶はどのように蓄えられるか? セルアセンブリ仮説 光遺伝学 アロケ-ション 記憶が保持される仕組み 遠隔記憶のナゾ...続きを読む カハ-ルのドグマ 神経新生の役割 海馬での記憶の消去に関与する。記憶は消えるのではなく、海馬から大脳皮質に移る。 記憶と遺伝子の関係 短期記憶と長期記憶 記憶するときに、脳内のニュ-ロンで遺伝子発現やたんぱく質合成を必要とする記憶を長期記憶 そうでないものを短期記憶 シナプスの新生 シグナルの伝達 記憶はどのようにして正確に保持されるか シナプス特異性のなぞ シナプスタグ仮説 記憶の連合 局所タンパク質合成 新しい体験をするとその情報が脳内の海馬にある特定のシナプスに入力され、細胞体やシナプス近傍でタンパク質が合成される。脳細胞で合成されたタンパク質はシナプスタグのメカニズムによりスパインという突起の根元にあるゲートを通ることにより長期記憶が形成されてゆく。 思い出した記憶は不安定になる。 記憶は書き換えられる。 獲得された記憶は保持された状態で思い出すと不安定のサイクルに入り、再固定化される。 記憶の強化。 分散型のほうが連続型よりも効果的。 記憶のアップデ-ト
※内容は、記憶をあやつる、とほぼ同じ 記憶をあやつる=脳の基礎知識+本書 記憶、意味記憶やエピソード記憶といった、語ることができる陳述記憶と、手続き記憶や条件反射といった、語ることができない非陳述記憶とがある。また、数分から長くて十数分ほどで消えてしまう短期記憶と、それ以上の比較的最近の記憶や遠い過...続きを読む去の記憶(遠隔記憶)といった長期記憶とがある。 脳は、情報が入ってきたことで特定の神経細胞が刺激された場合、その神経細胞とシナプスでつながる複数の神経細胞がひとつのグループ、セルアセンブリ(細胞集成体)を作り、活動する。同じ刺激が何度も繰り返しやってくると、これに対応するためにシナプスのつながりが強くなるという変化が起こる。このセルアセンブリがひとつの記憶を保持する、つまり記憶が残るという状態になる。出来上がったセルアセンブリは、シナプスの可塑性という性質により、長期間保存される。その神経細胞への信号が途切れても、同じ信号がやってくると再度同じグループとして活動し、この再活動が記憶を思い出すという現象を引き起こす。 記憶は、まず短期記憶として海馬に保存される。海馬には、神経幹細胞があり、毎日かなりの頻度で分離し、神経細胞を増やす(神経新生)。この神経新生が海馬の記憶を消していく。消える前に、海馬から大脳皮質に転送された記憶が、長期記憶として保存される。 ある記憶に関連するセルアセンブリの神経細胞は、他の記憶に関連するセルアセンブリと重複するものがある。これにより、記憶同士が関連づけられ、記憶が連合する。あることを思い出すと、別のことを思い出す連想が起きるのは、このためである。
記憶について物理的にかなり解明が進んでいることを知り、驚いた。ただし、まだまだ不明な部分もあり、まさに黎明期なんだと。この本の趣旨とは違うけど、どうすれば記憶力が向上するのか、科学的な解説が欲しかった。
脳科学の本。自叙伝的要素があり,若干タイトルとの乖離が見受けられるので,要注意。実践的な本とは遠く,研究の知見が簡単にまとめられています。「過去の瞬間に意識したことが記憶になって,現在の記憶を構築しているのです。」(p. 117)
初歩から簡単に書かれているし、最先端の内容が盛り込まれているものの、どちらもすごいなというところにはいかんかったかなあ。頭がついてかなかったか
若い時は記憶力が良いことだけが取り柄だったのに、今はもう見る影もありません。そこで悪あがきとは知りながら、記憶はどのように行われ保持されるかを知れば、少しは覚えたことを忘れるのが防げるのではと願いながら、今回読んだ種類の本は読むように心がけています。 この本の著者によれば、脳の研究は意外と新しいよ...続きを読むうで、私の社会人生活(もうすぐ25年)と同じ程度のようですね。ということは今も進んでいる領域のようです。 インターネットや携帯の発達で、覚えるべきもの、覚えていると有利なモノは昔とは変化したとは思いますが、記憶力をできる限りキープするのは、ボケ防止のためにも大事なことのように思います。この本のタイトルにあるように、私も、記憶を自由にコントロールができるようになりたいものです。 特に、記憶は書き換えられるほど不安定である、記憶を書き換えたり、連合したり、アップデートしたりするために昔の記憶を何等かの方法で不安定にしているのだろう(p99)という考え方は、自分を振り返って納得できるものでした。 以下は気になったポイントです。 ・記憶には、陳述記憶(言葉によって他の人に伝えられるもの)と非陳述記憶がある、陳述記憶には、エピソード記憶(個人的体験に由来した出来事)と意味記憶(知識や一般的事実)がある。非陳述記憶には、手続き記憶(体が覚えている)や条件反射がある。(p22) ・他の分け方として、最近の記憶(2年以内)と、遠隔記憶がある。両者の違いは、思い出すのに海馬を必要とする(最近の記憶)か否かである(p23) ・利根川博士は分子生物学、免疫学でノーベル賞を受賞した後に、脳科学の分野に研究対象を移して、独創的な研究成果を挙げている(p36) ・リラックスしている時に閃くのは、意識に上がってこないだけで、脳内では他の情報と連合したり、照らし合わせたりして、ずっと考えているから。格言にある通り、「チャンスの女神は毎日、目の前を通っている、準備ができた人間だけが捕まえられる」(p63) ・神経新生を促進するには、1)運動、2)DHAとEPAを含む、さんま等の魚を食すること(p69) ・どうでもいい記憶は普段は忘れるが、その後におきたビックイベントによって本来なら短期記憶として忘れ去られるものが長期記憶になる(p90) ・記憶は書き換えられるほど不安定である、記憶を書き換えたり、連合したり、アップデートしたりするために昔の記憶を何等かの方法で不安定にしているのだろう(p99) ・この瞬間の意識とは、実はこの瞬間ではなく、数秒前の意識である。実際の判断と現れた意識の間に数秒間のズレがある(p117) ・記憶を獲得、そしてそれを思い出す、記憶を長いこと保持する、記憶同士を連合させる、そして知識を作る、これらすべてのことが実は意識そのものではないか(p118) 2013年7月21日作成
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