Posted by ブクログ
2015年02月21日
安倍内閣は憲法の解釈の変更し、集団的自衛権を行使できるようにするための閣議決定をしました・・・
それに対して賛成の人もいれば、反対の人もいますよね・・・
でもでも賛成の人も反対の人も、ちょっと根本的なことが抜け落ちてませんか?って突っ込んでいる本・・・
Q&A方式で、日本の安全保障についての基本的な...続きを読む前提、知識、考え方について学べます・・・
こういうことを踏まえた上で、考えていきましょう、という本・・・
集団的自衛権の行使について賛成反対の前に、まず重要なことは・・・
そもそも日本の平和と安全をどう確保するのか?
それから日本の防衛力の現状・・・
について考えましょ、知りましょ・・・
緊張感が著しく高まっている今・・・
非武装中立は今までになく非現実的だから、そうすると・・・
どの国とも組まないで、日本の自衛力(軍事力)で平和と安全を実現する、武装中立か・・・
アメリカのような国と同盟組んで、協力して平和と安全を手にする道・・・
どちらかしかないでしょ・・・
で、すべて自前で今と同じレベルの平和と安全を求めるならば、今の防衛費用の約5倍(毎年22~23兆円の負担)という試算(この試算にはちょっと?な部分もあるけど)、とのこと・・・
それに兵力の規模ももっと大きくしないと・・・
それに情報収集&分析能力も自前で組み立てなおさないと・・・
それに変な話アメリカからも敵視されかねない恐れもある・・・
どうしますかね?
5倍のお金負担します?税金どれくらい跳ね上がるかな?
重ーい税金負担すれば他国の戦争に我関せずってできますかね・・・
一方、同盟なら現状の負担でとりあえずは今までのような安全を維持できる可能性が高い・・・
でも、そうするとやっぱり双務的にならないといけませんよね・・・
ボクのピンチにはアナタに守ってもらうけど、アナタがヤバイ時にはボクは協力できない、メンゴ!って、できますかね?できないですよね・・・
どうしますかね?
まずこれを考えないといけない・・・
それから現状ですが・・・
自衛隊ってもし仮に!海外に行って戦争をしかけるとしても、戦力投射能力がない・・・
戦力投射能力って・・・
例えば核兵器によって敵国を壊滅させることができる能力・・・
例えば海を渡って数十万規模の陸軍を上陸させて、敵国の主要地域を占領するような能力・・・
こういう戦争をしかける能力(軍事力)はそもそも持ち合わせておりません・・・
できることは専守防衛・・・
海上自衛隊の対潜水艦戦能力と掃海能力、それと航空自衛隊の防空戦闘能力は世界トップクラスだけど・・・
そういう能力しかない・・・
なぜならそれ以上の能力を日本が持つことをアメリカ様が望んでないから、別に求めてないから、と・・・
海外で戦争しかける?ちゃんとできないようになってますよ、ってのが現状・・・
さて、本題の集団的自衛権・・・
A君がイヤなヤローZ君にある日いじめられました・・・
A君が反撃!Z君とやりあう、これを個別的自衛権という・・・
いじめられて、何もしないとドンドンエスカレートしていってしまう・・・
それはイヤだ・・・
だから反撃する・・・
これは別にフツーっちゃフツーですよね?
で、A君だけじゃなく仲間のB君、C君、D君、Eちゃん全員でZ君に反撃!仲間全員でZ君とやりあう、これを集団的自衛権という・・・
Z君強すぎる!全員の力を合わせて反撃だ!とかZ君も仲間連れてきたし、全員で反撃だ!
これもフツーっちゃフツーですよね?
なもんで、国連で集団的自衛権は全然OKと認められております・・・
やられたらみんなでやり返すぜ!というプレッシャーをかけて戦争を抑止している、というのが世界的な見方・・・
また、あくまで権利なので、強制参加ではありません・・・
他国の戦争に巻き込まれて必ず参加しなきゃいけないという義務ではない・・・
集団的自衛権を戦争に参加できる権利と見なしている国はないようです・・・
集団的自衛権って・・・
当たり前のものなんですね・・・
また、日本って思っている以上にアメリカにとって重要です、というのが著者の意見・・・
日本列島は米軍のロジスティクス拠点としてアメリカにとって非常に重要でして・・・
日米同盟が解消したらアメリカにとって地球の半分をカバーしている軍事力を支える能力の80%ほど喪失しちゃうことになるよ、と・・・
そうなったら中国やらロシアやら北朝鮮やら、アメリカの言うこと聞かなくなっちゃうよ、と・・・
なので、アメリカは近隣国にあれやこれやと、日本に手ぇ出すなよと言ってきた・・・
なので、ホントは日本がアメリカにもっと色々とモノ申せるのに、と・・・
そういうのを考えると、すでに日本は、実質的に集団的自衛権を行使しているよ、と・・・
これは新鮮でした・・・
次に、憲法9条に関してあれやこれや意見が割れますが・・・
日本国憲法だけで議論するのはやめましょう、と・・・
日本国憲法には国際協調や国連尊重に繋がる文言がちゃんとあります・・・
そして日本国憲法は、国連憲章や日米安保条約を否定するものではないです・・・
日本の安全保障について考える時には、憲法だけでなく、国連憲章も、日米安保条約も含めて考えましょう・・・
なので集団的自衛権に関してもこの3つの整合性を求めましょう、と・・・
で、国連憲章は、安保理を中心とする集団安全保障の構築を目指すと同時に、各国の個別的・集団的自衛権を固有の権利と認め、地域的取極・機関(例えばNATOなど)を認めている・・・
で、日米安保条約って、国連憲章のもとで交わされた条約だそうで、国連憲章の目的・原則が優先され、国連憲章の方が上位にあるそうな・・・
そうすると、日本国憲法は、個別的自衛権も、アメリカとの間の集団的自衛権も否定していない、というのが著者の主張・・・
また、憲法、国連憲章、日米安保条約を合わせ読むことによって、日米安保条約による日米の集団的自衛権の行使が、国連憲章の枠組みによって強く制限される場合がある・・・
歯止めになる、とも・・・
歯止めがきかない、って批判は無責任な空論だね、と・・・
あと、これは注意!っていうのがあって・・・
集団安全保障と集団的自衛権はまったく別物だから気をつけて・・・
集団安全保障とは、国連の安保理を中心に全ての加盟国、先進国だろうが新興国だろうが、資本主義だろうが社会主義だろうが、仲良かろうが悪かろうが、すべて棚上げして、すべての国を組み込んだ集団を作り、その中で不当に平和を破壊した国を、その他の国々が集団で制裁する体制のこと・・・
集団的自衛権は、ある国が武力攻撃を受けた時に、直接攻撃を受けていない第3国が、攻撃された国と協力して共同で防衛することができる、国際法上の「権利」・・・
これは紛らわしいけど体制と権利という違うジャンルのものなので一緒にしないように、と・・・
あとは・・・
ポジティブリスト方式ではなくネガティブリスト方式で・・・
警察比例の原則という縛りをなくす・・・
マスコミは結構ミスリードさせている上に、誤報を訂正しない・・・
第2次大戦後の欧州(特にドイツ)を見ると、民主国家の集団による自衛権の方が濫用しにくく、武力行使に対する歯止めになってきた・・・
湾岸戦争の時の多国籍軍内の動向を見ると、集団的自衛権で結ばれた同盟関係がアメリカの欲する軍事的突出にブレーキをかけたことが分かる・・・
などなどが書いてあります・・・
こういうの詳しくないボクでもわかりやすかった・・・
是非とも・・・
あーだこーだ言う前に・・・
せめて・・・
この本に書いてあることぐらいは・・・
把握しておいた方が良いと思われ・・・
集団的自衛権、安全保障、つまり日本の平和について、冷静に考える一助となるはず・・・
その上であーだこーだ言いましょう、と・・・
これはオススメちゃん・・・