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貝・菜・魚・肉・果・豆・根・米・餅・塩・酢・酒・贄……、記紀・万葉などを手がかりに、食を表すことばを読み解き、日本列島に太古から生きていた人々が何を食べて命を繋いできたのかを検証する。 ※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
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Posted by ブクログ
万葉言葉から、古代の生活を組みたてる本。私がこの著者を信頼するのは、まるで縄文から使われてきたような古い言葉だとは滅多に言わない。それなりに節度を持って、言葉の考古学を構築しているため。 ・スサとは「吹きスサぶ・荒れスサぶ」。ヲは男。スサノヲに意訳の記載はなく、一貫して素戔嗚尊。スサノヲに該当する...続きを読む嵐は、漢土になく訳語も無いとされていた。 ・メ(芽-目)、ハ(葉-歯)、クキ(茎-歯茎)、ハナ(花-鼻)、ホ(頬-穂)、ミ(実-身)、タネ(種-胤)、カラ(殼-体)、ネ(根-根)といった、人と稲(穀草)との同一音による一体化した捉え方は、原始部族に時々認められているトーテミズムの発想に通じる現象であり、列島上でのそれらの言葉の原初的な発祥を窺わせるものである。田も、本来は水田稲作開始以前から、草木等を払った一定の広がりを持つ畑作地をいったものだと見られる「豆田、栗田、稗田」といった古語は、本来の田のあり様に沿って言われたものだろう。(31p) ・イモはウマシに通じる。口いっぱいにイモを含んで、思わず出る言葉が、ウマウマである。ドングリなどではなく、縄文時代の主食だったという説もある。豊国の地名由来が、芋の繁栄だったのは「食ひて活くべき」状況の保証だと認識されていたためである。 ・クニやムラ・サト等、居住する土地の命名を、どんな意味を担う音にするか、さらに文字を知ってからはどんな字を当てるか、といったことへの古代人の思い入れや拘りは、後世よりもはるかに強かったようである。(粟国、小豆島、吉備、揖保(稲粒)、稲見国)
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