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Posted by ブクログ
「仏滅」「おみくじ」「おふだ」「地鎮祭」——日常に溶け込みすぎて、由来を考えたことのない要素が多い。本書はそれらを"道教文化"として再配置し、神道・仏教・陰陽道という馴染みの枠だけでは見えにくい系譜を浮かび上がらせる。扱う範囲は神格(関帝・媽祖)から、庚申待や泰山府君、暦(六曜・九星)、呪物(籤・札)、養生(導引・内丹)まで多角的で、生活史としての宗教文化を俯瞰できるのが強み。
文章自体は読みやすいが、漢文史料や呪符木簡の文字解析、経典分類(三洞など)には専門的な厳密さがあり、ここは"分かった気にならない"ための踏ん張りどころになる。その代わり図版が豊富で、札や導引図などは視覚的に理解を助けてくれる。
特に刺激的だったのは、地鎮祭が神道固有ではなく中国の「解土」「謝土」系儀礼が道教に取り込まれて伝来した可能性を示す点や、「急々如律令」が後漢の公文書形式を継承する道教定型句だという指摘。公的言語が呪的効力を帯びる感じは、律令期の政治や儀礼を描く際の解像度を上げてくれる。
注意点として、著者は日本側の「日本独自」志向が道教影響の見落としを生んだと批判的で、地鎮祭の起源などは一般的概説と異なる主張も含む。だからこそ、他書と照合しつつ読むと論点が立ち、習俗の"来歴"をめぐる議論の入口として有効な一冊になる。縁起・お守り・暦・禁忌の由来が気になる人、日常の宗教文化に興味がある人に確実に届く。
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