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「六本木ヒルズアリーナ」「岡本太郎〈明日の神話〉再生プロジェクト」を仕掛けたカリスマプロデューサーの渾身の書き下ろし。空間というメディアだけが実現できるコミュニケーションとはなにか。国内から海外、万博から葬儀まで手掛けてきた空間づくりの達人が解き明かす、ウェブ時代の「空間を使いこなす発想と技術」とは?
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Posted by ブクログ
目からうろことは正にこの事。情報価値の変化を俯瞰しながら、その中で空間メディアが担うべき役割は何かを考えている。空間でしか出来ない「追体験」つまり「自分事になる」という感覚の共有を生み出せるのが、空間メディア。今後、イベントに参加したときの視点が変わりそう。
【読書メモ】 ●このイベントはなぜ空間で語ることができたのか。それは三つの特質を備えていたからです。「空間性」「身体性」「参加性」の三つです。 ・空間性:三次元の空間の特性を生かした情報環境が作られていること ・身体性:情報をただ視覚的に"見る"だけでなく、体感的なファクター...続きを読むが織り込まれていること。全身の感覚を動員して情報と向き合うよう企図されているということ ・参加性:送られてくる情報をただ受け身で受け取るだけでなく、何らかの形で能動的にかかわる仕組みが用意されていること。 ●教科書のように「頭で理解する」のではなく、「五感で感じる」。目指すのは「納得」ではなく「感知」です。 なぜなら、空間認識は右脳の領域に属していて、言語や論理のように左脳が優位に働くわけでないからです。ぼくたちは右脳で空間を把握する。イメージや映像として認知するわけですね。だから徹底して右脳に働き掛けるべきだし、その方が得なんですよ。 ●ぼくは、空間が他のメディアと比べて際立っている機能は大きく三つあると考えています。それは、 (1)"体験"を通して"実感"を伝える (2)"対話"を通して"関係"をつくる (3)"触発"を通して"発見"を促す というもの。言い換えれば、 (1)空間は"わかる"メディア (2)空間は"顔の見える"メディア (3)空間は"背中を押す"メディア であるということです。 ●(ライブコミュニケーションでは)接触数と接触密度はトレードオフの関係 ●新しいビールが発売されるとき、その事実を広く社会に伝える仕事は、多くの場合、マスメディアや交通広告が担います。ぼくたちは、テレビのコマーシャルや新聞・雑誌の広告、あるいは電車の中吊り広告などで新製品の誕生を知るわけですね。つまりこの段階で知識としては知っている。しかしだからといって自動的にそのビールを買い物かごに入れるわけではありません。当たり前だけど、「知っている」という事実と自らの行動や選択が必ずしも直結するわけではないからです。 …知識として知っているだけではまだ自分の問題にはなっていない。カゴの中からジャンプして意識の懐に飛び込むためには、つまり「あっ、これはおれ自身の問題だったんだ」と実感するためには、きっかけが要るんです。 ●空間メディアはこの状況を作ることができる。単に「見た」「知った」という段階から、自分との関係のなかで「考える」段階に引き上げるきっかけになり得るということです。 ●"知ってるカゴ"の外へ。自分の問題として考える契機に。 ●「啓蒙」ではなく「対話」。「与える」のではなく「触発」。「発見」の舞台をつくる。 ●インターネットの出現が情報に対する我々の意識を変えようとしているポイントには、大きく三つあると僕は考えています。 (1)情報はそこにある→捕獲可能 (2)情報はFIXしない→書き換え可能 (3)情報は連鎖する→交換可能 ●情報は獲りに行くもの マスメディアの時代は「選択」→これからは「探索」&「捕獲」 ●情報は変形可能でやわらかいもの マスメディアの時代は「Solid(硬質体)」→これからは「Liquid(流動体)」 ●情報は交換するもの マスメディアの時代は「送達」→これからは「連鎖」 ●情報についての環境変化 ・情報は与えられるものではく、獲りにいくものだ。 ・情報は生け簀の中で泳いでいるから、いつでも手を伸ばせば届く。 ・情報は「選択」するものから「探索」したり「捕獲」したりする対象になった。 ・情報は変形自在でやわらかく、いつも流動しているLiquidな存在だ。 ・情報は使いたいときに使いたいものを集め、それを好きなように料理すればいい。 ・情報は素材であってみんなのもの。共有されるべきものであり、共通の資源だ。 ・情報を発信できる選ばれたエリートが大衆を一方的に啓蒙する時代は終わった。 ・情報は受け取ったら反応するのが当たり前。情報交通の基本原理は「連鎖」と「交換」だ。 ・情報をコネクトし、シェアすることこそがみんなの利益であり、資源になる。 ●空間メディアについて持つべき戦略と心構え (1)情報を塊にして届けようと考えない →情報を完パケ(FIXされた状態)にしない (2)「送り手と受け手」から発想しない →情報を"授けるもの"と考えない →空間メディアは対話の舞台。 →伝えるのではなく、捕獲してもらう。 覚えてもらうのではなく、"腑に落ちる"環境をつくる →情報とは相手に「打ち込む」ものではなく「Share」するもの (3)"伝えたら終わり"と考えない →情報連鎖の誘発を狙う →「いかにして次のアクションにフックをかけるか」 ●どういったプレゼンにぼくたちは感動するのか?ぼくは実はシンプルに考えています。それは、作り手の志に共感したとき。ぼくたちはプレゼンテーターの志に共感できたときにはじめて感動するのであって、必ずしも語られる情報そのものの価値で決まるわけではない。 ●共感には二つの側面があります。「自分と同じ方向を向いている」という実感と「自分を分かってくれている」という信頼です。 ●マス広告が目指しているのは情報の平準化です。…観客をメディアに変えるために必要なのはまったく逆のアプローチです。それは「決定的な情報格差をつくる」こと。ネットでの情報は、基本的に「よく知る人」から「より浅い人」に流れます。つまり、情報格差が大きいほどこの行動へのエントロピーが増すわけですね。 ●空間は「本の代わり」ではない。「本を読みたい」という気分にさせるもの ●多層構造でなければならない。まずは何も知らない人でもわかる、興味がもてるレイヤーがある。でも、もっと知りたくなったら次のレイヤーの扉が開いて、その中に入っていけばさらに深い情報が用意されている。その奥にはさらに次のレイヤーがあって…という構造だ。 目指すべきは観客にもっと知りたいと思わせること。欲張ると逆効果になる。展示はライブラリーではない。ライブラリーに行きたいと思わせるのが展示なのだ。
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