「イノベーションを成功させるために何をすべきか」を明らかにするのが本書の狙いです。著者は元ホンダの技術者で、周囲に反対されながら16年間にも及ぶ技術開発を続け、日本初のエアバッグの商品化を実現させました。
ホンダには、イノベーションを成功に導くための企業文化と仕掛けがあり、「ワイガヤ」「三現主義」「ホンダフィロソフィー」などがよく知られていますが、それを単純に解説するだけでは「成功のためにすべきこと」を明らかにできません。本書は、ホンダの開発現場を知り尽くした著者が、こうした企業文化や仕掛けの内容だけにとどまらず、実際の技術開発プロジェクトの最前線で、それらがどう作用し、その結果、いかにしてイノベーションを加速させているかを徹底的に追求することで、ホンダのイノベーションの神髄を明らかにしていきます。
あたかもホンダの技術開発に立ち会うような臨場感。自分の意見をはっきりさせないで上司に頼ると「俺が死ねといったなら、おまえは死ぬのか」と叱咤され、落ち込んだ時には「キミには500億円の価値がある」と持ち上げられる。そして、「ああ、2階に上げられて、はしごを外された」とぼう然とたたずむ技術者がいる。まるで挑戦者たちの息遣いが聞こえてくるようです。
本書は、『日経ものづくり』誌で読者から圧倒的な支持を受けた連載を基にしたもの。一部を日本経済新聞電子版に連載し、こちらでも大人気に。待望の書籍化です。
Posted by ブクログ 2021年08月08日
ホンダで16年間に及ぶ研究開発の成果として、1987年に日本初のエアバッグの量産に成功した、小林三郎氏が、ホンダでイノベーションをどのようにして生んできたかを著している。
久しぶりに相当面白かった。三日三晩の合宿で徹底議論するという「ワイガヤ」などのエピソードはやっぱりホンダは違うなあ、と思う半面、...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年01月28日
熱い社員、フラット組織に哲学という企業土壌、ワイガヤやA00といった仕掛けがある黎明期のホンダでさえ、イノベーションを創り出すためには周囲の反対を押し切ってプロジェクトを進めるための「想い」が必要と言っている。普通の企業であれば尚更だ。
今の日本には、熱い想いを持った担当者と、人間味に溢れ包容力のあ...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年12月09日
社内の技術開発プロジェクトをまかされたばかりの人などにおすすめの本。
私自身、ちょうど今年、新規技術開発をいくつか企画・実行することになり、でも社内の政治や遊休化した人材に悩まされ、ひとりよがりになっているのではないかと思っていたところに、友人から同志からすすめられて読んでみた。結果、てきめん。
し...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年10月15日
本田技術研究所にて16年間におよぶ研究開発の末、エアバックの量産、市販に成功した小林三郎氏の日経ものづくりのホンダイノベーション魂のまとめ。いわゆるイノベーション本とは異なる実地に即した内容、大和言葉で書かれた内容で分かり易い。理念・哲学なき行動(技術)は凶器であり、行動(技術)なき理念は無価値であ...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年08月29日
ハイリスク・ハイリターンのイノベーションが日本で(おそらく世界でも)起こりにくい理由がわかる本。
10~15年も成果が出ないものに対して、想いと地味なプロセスをやり続けることでエアバッグを世に送り出したホンダのストーリーを肌で感じることができました。
方法論だけでなく、徹底してこだわるところや、...続きを読む