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夏の暑さに豊作を願い、打ちこわし騒動に心を寄せ、大黒屋光太夫の帰国に反応し、「君が代」や「神国」日本を詠む。市井の営みを見つめた一茶の句からは、外国船の出現に動揺し、国学に沸く激動の文化・文政年間を生きる人びとの姿が浮かび上がる。「幕末維新を準備した」と言われるその時代を、一茶の句から近世史家が読み解く。
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Posted by ブクログ
子どもや動物たちを歌う「優しい一茶」とは別の、江戸後期の時代を写しとる「リアリズムな一茶」に感心しました。また、著者が、一茶の歌う君が代(世)は、徳川幕府下の治世のことを言っているということ、神国については、「神国日本を支配している松平氏=徳川幕府を指し、そんな神々の権威・・・」 と指摘しているのは...続きを読む、得心したところです。「君が世やかかる木陰もばくち小屋」「神国の松をいとなめおろしや船」
「一茶は生涯を通して、農民への畏敬、都市に暮らす裏長屋などの下層民への共感、政治や経済への強い関心を変わることなく持ち続けた社会性豊かな稀有な俳諧師であった。その俳諧師が自ら生きた文化文政期という時代をどのように見ていたのか。それを一茶の句を使って描いてみたのが本書である」(p.176)と、著者急...続きを読む逝のため瀬戸口龍一が代筆した「おわりに」で端的に述べられているように、一茶の文学的な研究ではなく、一茶を媒介とした18世紀後半~19世紀前半の江戸社会史である。一茶の遺した大量の句集や日記・書簡などを通して、「先進工業地帯」であった故郷信州の経済構造の変化、年季奉公による江戸と農村の間の人びとの移動、対外危機によるナショナリズムの萌芽、「世直し」志向の台頭といった時代の様相が浮かび上がる。
著者は近世史家だという。だから俳句の専門家でない視点での選句となって、かえって新鮮に読めた。米作りに関わらないで言葉で食べていくことを、地元の人だけでなく、一茶自身も「浮いた存在」ととらえていたようだ。その思いが、力なきもの貧しきものへの共感につながったのだろう。 発行を待たずに亡くなった著者の思い...続きを読むを弟子が引き継いで完成させた1冊。
昨年…2013年・夏…一茶生誕250年ということで… その故郷である長野県信濃町を旅した。 旅から戻り、立ち寄った書店で見つけたのが本書だ。 好好爺のイメージとは異なる、一茶像が描かれている。 残された句…芭蕉は976、蕪村は2918に対し、 一茶は21000と桁違いに多い。それは、句にするテーマ...続きを読むの 広さを伺わせる…江戸に出て俳句を学び、全国を歩き、 膨大な数の読書をし、時代の趨勢にも眼をやっていた。 それに、相当なメモ魔で…50過ぎてもらった20代の奥さんと… 「夜五交」…などと書き残していてビックリ…(@_@。 本書は、これまであまり取り上げられることのなかった、 一茶の句を紹介している…名句一歩手前の句?… 今しがた此世に出てし蝉の鳴 国土安穏とのん気かがし哉 梅がゝやどなたが来ても欠茶碗 涼風の曲がりくねって来りけり 花の世や出家士(さむらひ)諸あき(商)人 それから、本書で仕入れた小ネタをひとつ… 「尾張名古屋はシロでもつ」と云ったのは、 蕪村なのだそうだが、ここで云う「シロ」とは、 「井上士郎」…当時の中部俳壇の重鎮だったそう… 残念ながら本書の完成を見ることなく、著者は 逝去された…とのこと。俳句を専門としない著者の 視点は新鮮に感じられ、興味深く読んだのだけれど… おそらくや、最終段階まで手を入れるつもりだったろう…合掌。
俳諧師でない著者なので、とても身近に感じて読むことができた。 つまり、小林一茶の俳句評論ではなくて、人間「一茶」をしっかり認識できた。 必ずしも順風満帆でもなく、むしろ悲惨とさえ思える人生。 60歳を過ぎてからできた子供がかろうじて次世代に・・・。 弱きものに向けたやさしいまなざしはどうして生まれて...続きを読むきたのか、結局はわかりませんでしたが・・・・。
几帳面で、メモ魔で、日記を沢山残した一茶。故郷信州への限りない愛着、農民思い、反骨思想、世直し願望・・・。晩婚の一茶、子どもが次々と夭折する人間的苦悩。生涯に作った句の数、芭蕉976句、蕪村2918句、一茶2万1200句近く。青木美智男「小林一茶 時代を詠んだ俳諧師」、2013.9発行。 椋鳥も毎...続きを読む年来ると江戸雀
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小林一茶 時代を詠んだ俳諧師
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青木美智男
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