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世間の人々は、裁判で死刑が確定するところまでしか死刑について知ることはない。確定後の生まれ変わった人間性を知らないのだ。それは、日本の死刑制度が密行主義の中に閉じこめられているからである。(本文より) 「なぜ殺さなければならないのか」……。執行という名の下に、首にロープをかけ、レバーを引く刑務官と、ゼロ番区と呼ばれる舎房でその日を待つ死刑囚。徹底した取材を基に、あらためて死刑制度を問う衝撃のドキュメント!
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Posted by ブクログ
死刑には反対です。 死刑賛成派や遺族の気持ちももっともだと思うけど、 まずこの本を読んで欲しいと思います。
何の恨みもない人を殺す仕事に就いている人の苦しみ。 死刑廃止の是非を語るにはこういった点にも目を向けなければ。
国家公務員。ある日辞令が降りて、配属される。執行人は、死刑囚と同じように、当日の朝まで執行することを知らされない。その日は、他の仕事をする必要はなく、手当てをもらって帰る。日本の死刑の執行方法は絞首刑。首に縄を付ける場所がうまくないと、30分以上経っても死ねないこともある。なかなか死なない場合、執行...続きを読む人が手を下すこともあったという。現在は5つのスイッチがあって、5人の執行人が同時にスイッチを押す。その1つだけが実際に配線されていて、死刑囚の足元の床板を開ける。誰が執行したかわからないようにするためのしくみだそうだ。こんな職業もあるのですね…
現在迄、死刑という制度が成立しているもの死刑を執行する刑務官が存在しているからこそ、というべきである。しかし、その刑務官は人1人を死刑に追い込んだ後、我々には測りえない大きな苦労・苦悩を抱えている。死刑されるまでの獄中生活で人としての成長を遂げた囚人もいる。その矢先に、執行通知書が届き、刑務官は拒...続きを読む否権もなく任命された者は儀式に従い、最後には死刑囚の死刑を執行する。その後の形式的な労い等はあっても、人を殺したという事実に変わりなく、それからの人生観に大きな影響を与えている。家族には決して自分のしている仕事は語れず、自分自身も誉ない人生を歩んでいるように思えてしまう…。周囲には決して相談できず、唯1人で昇華していくしかない。 どんな痛ましい事件が報道されようと、人々は頭の何処かに「こいつは死刑だ…」という私的判決が過る。その死刑をするのは誰か。執行人は進んで執行の役を全うしているのか。我々は裏方の事までこれまでは考えてこなかったように思う。人知れず、死刑は行われ、人知れず苦悩を抱え、世の中に貢献している刑務官という存在を我々は決して除外して死刑を考えてはいけない。
死刑を執行する人の苦労など考えたこともなかったが、これは大変なことだ。考えさせられる。 この本を読むと死刑は絶対に無くさなければならない、と思う。 しかし、自分の大切な人が殺されたなら、犯人を死刑にしてほしいと思わずに自分がいられるかは自信がない。 が、この非文化的な裁きについて、もっともっと考える...続きを読む必要がある。昭和に書かれたこの本だが、本に書かれている内要と同じことが21世紀の今でも同じように行われていることについても何かおかしいぞ、と思い、議論しなければならない。 だって、今日も死刑判決が言い渡されたから。
人を殺すのには理由がある。 死刑囚となったからには、怨恨、飢え、欲望のままになど、何らかの理由で人を殺めている。(冤罪の場合もあるのだが) しかしながら、死刑囚の執行をする死刑執行人には人を殺す理由はない。ただ、規則に従い、人を殺さざるを得ない。 死刑執行をして初めて一人前といわれる世界で...続きを読む、死刑執行をすることでいくばくかの手当てを受けなければいけない人間の苦悩はいかほどのものなのだろうか。 もちろん、死刑が確定し、執行を待ち続けることしかできない死刑囚にも想像を絶するほどの苦悩があるだろう。けれども、何の恨みもない(もしかすると冤罪かもしれない)人間を手にかけなければならない死刑執行人は、何なんだろう。心に傷を負いながら、守秘義務があるゆえにそれを口にできないというのは、なんという辛さなんだろうか。 今まで死刑執行について、そこまで深く考えていなかったのだけれども、殺す、ということを生々しく感じさせた。
死刑執行人実態ルポ。読むと死刑制度に対する観方が変わる。それ以前に、今の世の中死刑についてはそれほど考えない人が大半かもしれない。凶悪犯罪がクローズアップされ、そこに死刑廃止論者の弁護士が登場すると、それを「非難」するカタチで死刑制度について少しだけ考える。そして事件がメディアからフェードアウトす...続きを読むるにつれてまた日常に戻っていく。本書に登場する死刑執行人の日常と自分の日常を比べてみることによって「死」というものを深く考えるきっかけとなる。 法に従って他人の命を奪うことは、自らの意思によってそれを行うこととはまた違った苦悩がある。本書はこのような葛藤を持つ死刑執行人にスポットを当てているのだが、それに加えて死刑囚の振る舞いも貴重な描写として描かれている。執行当日声にならない叫びで必死に抵抗する様は非常に痛々しい。そして人間であれば「死」を宣告されたことによって何かしらの「変化」はあるはず。ちょっとした嫌がらせならばともかく「死」の宣告であれば「不貞腐れる」よりも「悟りを得た」とでもいうような変化が訪れてもおかしくはない。そしてそうした死刑囚を「殺す」ことを拒否できない執行官。 かなり前に出版されたものなので、今では執行方法やその手続きも変わっていると思われる。手当の金額や直接の執行を行う方法などは今では現代に則したものとなっているだろう。しかし人が人を殺すという構図は今も昔も全く変わらない。ナイフで人を刺し殺すことも、核兵器で人を殺すことも行為の難易度の差はあれども、行為の結果としては等価値である。そして死刑の執行は刑務官、刑務所、もっと法務省そしてもっと広く公務員、そしてそうした人達およびその行動の正当性の契機となっている国民が行っている。我々はそれを正当化する理由はどうあれ「人を殺している」のである。 著者も言及しているが、死刑制度の応報性が犯罪の抑止に繋がるというのならば、なぜ執行を公開しないのか。現場を映像で流すようなことは無理だとしても、死刑が執行されたこととそれによって命を絶たれた人の名前をメディアで大々的に流したらどうか。妄想となってしまうが、こうした死刑制度を存続させている理由は、犯罪の抑止ということよりも、一部の人間にとって邪魔な人物を消す手段を「万が一のために」確保しておくことではないのかと勘繰ってしまう。 死刑に対して肯定的な方々はぜひともご一読願いたい。
犯罪者ひとりを絞首台に乗せること、死刑が執行されることには、誰でも関心を持つが、じゃあ、誰が死刑囚を「手にかける」かまでは考えないことが殆どなんだと、これを読んで感じた。 「死刑は国家による殺人」を理由に死刑廃止を声高に叫ぶ廃止論者ではなく、「もうひとを殺したくない」と言う死刑執行官のほうがよほど...続きを読む死刑廃止論に説得力を持たせられるのではないか。
人の命は地球より重い。 被害者、加害者ではなく死刑を執行しなければならない 刑務官の立場から死刑というものの現状を書いたものです。 仕事であっても人の命を奪うという行為は 計り知れない精神的苦痛を与えます。 人を殺したくて刑務官の仕事につく人なんているとは思いません。 本書には死...続きを読む刑執行人の痛々しい心情が綴られていました。
覚えてる度:★★★☆☆ うろ覚えで書きます。 著者が実際に死刑執行人をやっていた人たちに取材をし、その苦悩を一冊の本にしたのがこれ。 死刑囚はいつ自分が死刑になるか前日?まで知らされないらしいのですが、 これが実際かなりきついらしい。いつ死ぬかわからない恐怖に怯え続ける毎日。 あと、いざ死刑が...続きを読む執行されるって段階になると、いわば悟りを開いてしまう死刑囚もいるとか。 執行人からすれば、そうやってせっかく心から(実際わからないが)改心した人を殺してしまうのは本当に辛いらしい。 普通に一般社会で生きてる人にとっては、 死刑囚に対して抱く感情なんてほとんどが「死んで当たり前」に近いものだと思うけど、 毎日死刑囚と接している執行人から見ると、違った側面が出てくると。 もちろん、だから死刑を廃止しろなんて理屈にはならないけど、 物事をどの角度から見るか、どれほど広い角度から見るかというのは、 情報が錯乱する今の時代に生きる人間にとって大きな課題だと思う。 裁判員制度もはじまる(地裁・一審だけだけど)ことだし、良い機会と思って読んでみては。
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死刑執行人の苦悩
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