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圧倒される画
五十嵐大介という漫画家の作品は、コマというコマの画からものすごいエネルギーを感じる。
生命の息吹が、静かに大きな波となって読者を包み込む。
人間・動物・神・自然、それらが互いの世界に重なり合い、別視点の感覚を呼び起こす。普通の感覚とはまったく違う、普段は眠っている原始的な・本能的な感覚を揺さぶられるようで、だからこの作品を読むと、怖いのかもしれない。
この「そらトびタマシイ」は短編集となっている(ほかに短編集といえば「はなしっぱなし」がある。こちらも名作)。
「海獣の子供」のような長編もいいが、短編こそ、五十嵐大介の本領発揮だと私は感じる。
Posted by ブクログ
★そらトびタマシイ
父をなくした少女が、フクロウの雛を踏み潰してしまい、憑依される。
そして街で出会った、犬に憑依された女性に、助けてもらう。
→紙の生え際から羽毛が生えてきた……というシーンが非常に鮮明。触感に訴えかけてくる。
ちょっとしたシーンだが、肉体変質系の話は非常に怖い。(映画「鉄男」を思い出した。)
そして犬に憑依された女性の姿。ホラーだった。かなり傑作。
★熊殺し神盗み太郎の涙
神力を持つ少年が、山の生贄にされる少女に出会い、一緒に逃げようとする。
自分の力は人を殺すだけでなく人を守ることができるのか……。
→伝奇的な話。
ボーイ・ミーツ・ガールの話でもある。
この作者にしては比較的顔も漫画チックで、少女がドールのように見えた。
これもあとあと読み返したくなりそう。
★すなかけ
父母の喧嘩で家がつらい少女が、ふと電車の終点までいってみたくなる。
そこで出会った、皮膚から砂が滲み出してくる特異体質の球子と、似顔絵師の男性のカップルの家に同居させてもらう。
→現実に異世界が入り込んでくる話の多い作者だが、珍しく「砂女」という設定ひとつで話が進む。
そして珍しくほのぼのしたいい話でもある。
★le pain et le chat
パン屋の男性が、泥棒の少女をつかまえる。
彼女はいなくなった両親のために家を守っているが、捨て猫を拾っている。
→パン屋の青年の自己再生の話でもあり、少女の成長の話でもある。
猫アレルギーはつらそうだ。
★未だ冬
それぞれよくまとまった短編漫画で、質も高い。
魔女、はなしっぱなし、リトル・フォレスト、に続いて読んだが、はなしっぱなしにやや似ているか。
読書中断している「海獣の子供」もあらためて読みたい。
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