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Posted by ブクログ
これは、イビチャ・オシム氏の2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会の分析レポートです。
そして、日本チームへ、残した言葉が、”恐れるな”です。
冒頭で恐縮ですが、各章と、その内容について以下にしめします。
はじめに
これは、本書を書かかれた理由を話されている
第1章 ほんの少しのリスクと勇敢さを
オシム氏が感じている日本チームの特徴、振り返り
第2章 ベスト16の真実
日本チームの4試合の時系列的分析
日本1-0カメルーン 6月14日
日本0-1オランダ 6月19日
日本3-1デンマーク 6月24日
日本0-0パラグアイ 6月29日(PK3-5)
第3章 南アで日本代表に見えたもの
監督と各選手に対する考察
第4章 スペインの美しき勝利
各ナショナルチームの特徴
第5章 2014年ブラジルW杯への提言
日本チームの課題と目標
おわりに
W杯後のオシム氏の日常
心に残った言葉は次の通りです。
・勇気に欠けていた。これは選手一人ひとりが自分の胸に聞かねばならない非常に大切な要件である。
・理想のすべてをスピーチとして選手に話すことができるが、選手は、そのすべてを信じてはならない。つまり自分で考えて行動しなければならない。
・モラルと自信を兼ね備えて、チームプレイができるためのシステムを作ったチームは、敵を揺さぶり、破壊することができる。
・知的にプレーすることとは、「自分で考える力」のことである。
・イタリアの諺で言う「ゆっくり歩むものは、無事に遠くまで行く」
・シンプルにプレーせよ。
・戦術とは毎試合、毎分のように変わっていくものである。...肝心なのは、柔軟な対応力である。
・監督は、選手を信頼しなくてはならない。監督が自分を信頼してくれなかったという事実を知って選手はショックを受け、自信を失う。
・私はPK戦を見ない。私にはそれが耐えられない。
・私が訴えるスピードとは、どのような局面に置かれても素早く考え、動きながら瞬時にして判断するスピードである。
・相手チームを危険な状態に置くには、まず敵が、ミスを犯すシチュエーションに陥れなければならない。
・美しいサッカーとはなにか。それを文章にすれば、「全員が、同時に、速く、流れるように動く。そして素早いコンビネーションをもって効率よくプレーすること」である。
・日本の代表監督は日本人である事がベストという持論を持っている。
・常に訓練して、新しい知識を貪欲に追求していなければならない。
Posted by ブクログ
ご存じ、イビチャ・オシム氏が南アフリカ・ワールド杯を振り返り、そして2014年ブラジル大会までに日本代表が何をすべきか熱く語った一冊。日本の全試合、各選手について、審判、Jリーグ、優勝したスペイン代表、戦術、観客、マスコミ、JFA、ザッケローニ等、我々が知りたい全方位のテーマに対する言及がなされており、氏の日本サッカーへの深い愛情を感じる。
読み進めていくうちに、ふと、オシムこそ現在考えられる”最強のキュレーター”なのではないかと思った。
キュレーター=情報を収集し、選別し、それらに「意味づけを与えて」、共有する人。
オシムほどの人をつかまえて”キュレーター”とはいささか失礼な感もある。ただし、彼の発言は常に意味づけ、方向づけにとどまる。それは、本来考えてしかるべき人への配慮でもあり、叱咤でもある。ヒントは言うけれど、絶対に答えは言わない。例え時間がかかろうとも。
彼の行っている意味づけは、シンプルで明解だ。「リスクを冒せ!」
オシムいわく、「今大会は史上最悪のワールドカップ」だったそうだ。これは、今大会が人類にとって初めて、ソーシャルメディアと共にすごしたワールドカップであったことと無縁ではあるまい。なぜなら、選手が一番戦わなければならない相手は、失敗に対する批判であるからだ。そして、情報化が進むにつれ、その相手は巨大化していく。
2014年ブラジルワールドカップまで、我々もまたサッカーファンとしてのリテラシーを高め、一人一人が優れたキュレーターになっていかなくてはならない。正しい方向にプレッシャーをかけることこそが、選手の「リスクを冒す」能力を育てるに違いないからだ。
Posted by ブクログ
ワールドカップが 終わり、
なんとなく 不完全燃焼があった。
野球やラクビーの選手や監督の 本を
読んだことが あったが、
サッカーについては、ほとんど読んだことがなかった。
たまたま イビチャオシムの本が あったので、
手に取ったが おもしろい。
『サッカーの思想家』と言われるだけあって、
人間論、日本論が 背後に しっかりと控えている。
サッカーに対する 思い入れも 充分に伝わる。
『脳梗塞』で倒れても、未だ、健康な思考の中で
考察している。
実名で それぞれがでてくるし、2014年のワールドカップでも
でた選手が多いので、なるほどなぁ。サッカーって そうみるのか
と あらためて 認識しなおした。
おもしろかった。
選手に対する評価。
それぞれの国のサッカーチームに対する評価。
南アフリカにおいては
スペインが 最も理想に近い チームとの評価。
それが パスサッカー。
ホンダだけでは、だめだ。
中村俊輔を ブラジルでは 軸にすべきだと言う
オシムの提言は 実現しなかった。
オシムは 今度の ブラジル大会をどう見たのだろうか
それが 知りたいなぁ。
Posted by ブクログ
日本代表は、リスクを犯してでも結果を取る勇気に欠けていた。オシムの言葉は、日本人全体に向けられた言葉でもある。パラグアイにPKで負けた決勝トーナメント1回戦を、オシムはこう切り捨てる。「PK戦に勝ったのは、勝利に値しないチームだったが、敗れた日本もまたPK戦で勝つには値しないチームだった」。曰く、「相手を窒息させる」ほどのハードワークを行いながら、相手の一瞬のミスを待つ忍耐強さが足りなかったのだと。
オシムは負けないことが至上命題となってしまった現代サッカーを憂い、各国代表がモウリーニョ化してしまうことを懸念している。
だが、彼はまだサッカーに失望しているわけではない。例えば、日本対オランダ戦について、「もし闘莉王があと2人、3人いて、スコアを決めていたなら、試合は0対1ではなく、1対1で終わっていただろう」と述べている。チームに規律と勇気があれば、日本のサッカーはまだまだ美しくなる。
Posted by ブクログ
ベスト16の真実、スペインの美しき勝利…。オシムが2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会で見えた日本代表チームの課題を指摘し、2014年のブラジル大会へ向けた提言を綴る。
南アW杯日本代表に関してオシム氏は、中沢・闘莉王・阿部の守備を高く評価しながらも、チームがもう少し勇気をもって攻めていれば次へ行けたと言う。また中村俊輔を非常に高く評価する氏は、外した岡田監督の決断に敬意を表しつつもW杯での俊輔不在と遠藤の不振を嘆く。スペインやチリのパスサッカーが日本の目指す姿といい、結果だけを追い求めるイタリアサッカー界から監督を起用したことに懸念を抱く。ザッケローニ監督でアジア杯を戦っている日本代表だが、オシム氏を過去の人と断ずるには惜しい「分析と提言に満ちた」本だった。
(B)
Posted by ブクログ
今年(2010年)も残すところあと一月となりました。スポーツ界のニュースとしては、最近では“和”の力で勝ち抜けた千葉ロッテマリーンズの活躍がありましたが、この一年で一番盛り上がったスポーツと言えば、ワールドカップ南アフリカ大会での日本の活躍だったのではないでしょうか。前回はタレント揃いの“黄金世代”ということもあり、常に注目を集める日本代表でしたが、蓋を開けてみるとベスト16というすばらしい結果を残すことになりました。下馬評を覆し、実力を見せ付けた今回の日本代表の礎は、イビチャ・オシム氏の意識改革の賜物であると思います。
イビチャ・オシム氏と言えば、試合前や試合後の禅問答のような難解な記者とのやり取りが注目されていました。あるときはシステム・戦略について言及したかと思うと、あるときはシステムや戦略で試合をするわけではないと切り捨てたり、記者を煙に巻くのが恒例でしたが、それはヨーロッパのサッカー先進国の監督の姿そのもので、その姿に“哲学”を感じた人は多かったと思います。また試合に関しても、今思うと4年後にピークを持ってくるための試行錯誤をしていたことが分かるのですが、目の前の試合の勝ち負けという側面でしか結果を求めない日本サッカーを取り巻く後進性のなかで、そんなのどこ吹く風と云った風情で自分のサッカーを滲透させ、そして日本サッカーの進化形を模索していました。その姿はまさに“哲学者”と言っていいものでした。
本書は、南アフリカワールドカップ前に出版された前作『考えよ! ――なぜ日本人はリスクを冒さないのか?』の続編で、ワールドカップの総括と言った内容となっています。日本代表の試合についてだけではなく、他の国々への視線も冷静かつ情熱のあふれる語りで一つ一つの試合を呼び起こさせてくれます。ご承知の通りオシム氏は脳梗塞で倒れて本来の体力には程遠いながらも、人一倍人二倍のサッカーへの情熱を燃やし続け、そしてそれをより普遍的な哲学へと昇華させています。
タイトルは日本人全体への提言のような感じになっていますが、やはり内容はほぼサッカーのお話し。ですので、日本人論、日本人への提言のようなものを読みたい方にはお薦めしません。しかし、サッカーを通して日本人を見つめ、日本人プレイヤーを指揮してきたオシム氏の目には、日本人以上に日本人が分かっている部分もあり、まさにそれは“哲学者”の視点であります。たかがサッカー、されどサッカー。サッカーを通してそこに人生を感じることができれば、この本は良質の人生指南書になります。
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