Posted by ブクログ
2021年04月29日
トランスジェンダーの、性認識の芽生え、成長とともに広がるギャップ、友達との悩みを、「太郎」というひとりの「少女」の言葉で綴った児童書。クローゼットに眠る可愛いぬいぐるみの「こぐちゃん」を隠すこと=自分の中の性自認を隠すことのメタファーと感じながら読んでいた。「ずっと見つからずにいられたら」という思い...続きを読むと「隠し続けていては辛すぎるよ」という想いの間で揺れながら、おばあちゃんの優しさに家族以上の何かを感じていたが、最後に告げられる事実に、心打たれた。。
太郎が「徐々に」気づいていく過程は、トランスジェンダーの子供のよくある発達過程の例なのだろうか。私は身近にこういった子が居なかった(または気づかなかった)まま大人になってしまったが、小学校のときにこういった児童書に出会っていれば、もう少しいろんなことに対して寛容になって、何かの受け皿になれたのではないかと思う一冊だった。最後の後書きの杉山さんのメッセージも、素敵。