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Posted by ブクログ
大石圭の初期作品で、単行本は1999年に河出書房新社から刊行。
以前に読んだ2002年の大石作品『自由殺人』も強烈なパニック・サスペンスでしたが、これも素晴らしいパニック・サスペンス。
角川ホラーで、『リング』『呪怨』を思い浮かべる人には全く向いてない、1970年代のホラー映画のような理不尽ホラー。
平塚の七夕祭りの一日前、7月6日の昼間に、東海道線の快速アクティーが謎の武装集団に乗っ取られる、という序盤から、神奈川県民の自分はわくわくさせられます。
乗客に紛れた、老若男女様々な狂人達に監禁されて、次々に殺されるというのが、どうにも70年代ホラー映画的。犯人グループには子供もいるのが、恐るべき子供たちテーマの、やはり70年代ホラー映画っぽさを醸し出します。極限状態では人間が一番怖い、というのはスティーヴン・キング的ですけどね。
物語が四分の三ほど過ぎたところで、ようやく主犯格の正体がわかると、面白さが加速。自分は、この主犯格がわかったー時点で興奮度最高潮でした。更には主犯格の正体で、この事件自体が、何かの暗喩だったのだと気付かされると、物語が持つテーマ性が胸に突き刺さり始めます。ここは、70年代ホラー映画を越えたところでしょうね。
読む人を投げ放すようなラストも、観ている人を途方に暮れさせる70年代ホラー映画のようで最高。
Posted by ブクログ
どこにも救いがない物語。
なぜ自分が殺されなければならないのか、わからないままに奪われていく命。
生き残るために乗客たちはさまざまな行動にでる。
けれど、犯人たちの行動はそんなものでは止まらない。
徹底した究極の「悪意」に対抗できるものなんてあるのだろうか?
誰もが持っているかもしれない「闇」のようなものを描きたかったのだと思うのだけれど。
強烈なインパクトはある。
でも、人物描写といい心理的な掘り下げといい動機といい、説得力に欠けている気がした。
他人の命を犠牲にして自分だけが助かった人間。
実際の事件でも、似たようなことがあったのを思い出した。
通報して乗客を助けようとした・・・と弁明したらしいが、ひとりが逃げたことで激昂した犯人が残された人間に危害を加えたのは事実である。
自分の命と他人の命。
極限状態での判断は、その人が持っている本質的なものに大きく左右されるのだろう。
後味の悪さだけが残ってしまった。
意味のわからない(意味のない)暴走は本当に怖い。
Posted by ブクログ
死を恐れていない殺人団体って怖い。
何で怖いか?
生きたい人間は、死んでもいいと思っている人間の行動の予測ができない。
わからないものってすごく怖い。
悪意って、誰しも持てあましつつ同居せざるを得ない代物で、最悪の想像をしつつ相手の不幸を願う、そんなことをした後は、ふっと笑って
「なんてね」と呟いてみる、みたいな感じで消失する。
人は殺しちゃいけませんよ。
どうして殺しちゃいけないの?
じゃぁそもそも貴方は人を殺したいと思っているの?
人を殺しちゃいけないのは、人を殺しちゃいけないと決まっているからではない。それほどには強い憎悪を、悪意を、抱き続けられるのはほんの一部の人間だけ。
と、恐怖してる自分に言い聞かせつつ宥めつつ、昨日と変わらない生活の糧を得る為に、今日も通勤電車に乗り込む。
純粋な悪意か……。
そういうのにかぶれる人間はいるかも知れないが、本当にそれを抱ける人間が果しているんだろうか。
本当の悪意って、あのうだつの上がらない55歳のオッサンのあれみたいな感じがある。そしてそれこそが我々が一番怖いと思う所なんじゃないかな。ほら、自分だっていつそうなるか解らない所がさ。
主犯の二人の、あまりにも現実離れしている人物設定が、感情移入して読めない一つの理由になってる感がある。
主犯にあんな耽美的な十字架を背負わせる意味ってあったのかな?
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