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ウクライナ侵攻におけるプーチン・ロシアの思想的根拠として注目を集めた「ネオ・ユーラシア主義」。その見立ては正しいのか。大国の戸惑いを反映する思想の実相を、第一人者が解き明かす。
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Posted by ブクログ
友人からの勧めで読んだ。 あらためてロシアへの理解を深めることができた。 ネオユーラシア主義思想という切り口からロシアの方向性や見取り図的なものが僅かでも解像度高く見えるようになったと思う。 -- ネオユーラシア主義とは明確な定義があるわけではないようだ。 おおまかに言えば「西側」への対抗、ロシア...続きを読むを「西側」世界とは異なる「ユーラシア」と捉える思想、くらいの共通項のようだ。 本書でも言及あるとおり、決してネオユーラシア主義はプーチン政権やロシア国内を支配しているイデオロギーというわけではない。 (そもそも実務的には国際環境に外交手法も変わるし国内の議会制民主主義や市場経済の運営も必要なため、特定のイデオロギー一辺倒というわけにもいかない。) しかし、ネオユーラシア主義がどれほどバリエーションや振れ幅が大きく、あるいは逆に統一性らしきものがあるかを知ることがロシアの国家像に近づくことができる。 プーチン政権とネオユーラシア主義の共通項としても反リベラリズム(反ヨーロッパ化)があると思われるが、これがプーチンの独自の思想にしろ、ネオユーラシア主義からもたらされた思想にしろ、これがロシアにとってある意味自然体なのだと思う。 歴史的にもソ連という社会主義体制が失敗し、経済的に苦しい時代も経て、ヨーロッパ化されていく世界に対して自分たちとは何かを問うことも多かったはずだ。 地政学的にもヨーロッパとアジアにまたがり、民族的にも多民族国家の構成となっている。 自分たちの国を強く立ちなおさせるためには、自分たちが何者なのか再定義し、リベラリズムやヨーロッパ化に立ち向かう必要があったのだ。 本書ではネオユーラシア主義の人物として、ドゥーギン、パナーリン、ロシア内の外交の実務家達、など役割・立ち位置のサンプルをバランスよくしている。 役割・立ち位置が違えど、ある種ネオユーラシア主義にたどり着く、ないしツールとして使用しているように見えてくる。 個人的なパナーリンのグローバリズム批判の解説のあたりで、「世界の多様性を認め、文化的多元主義を重要な価値観だという西側も~~西側中心主義の権威主義的体制」という西側のダブルスタンダードに対する批判は、日本人でも共感する人は多いのではないかと思う。 (多様性を認めろ、と攻撃してくる。日本らしさは多様性として認められない。のような。) また、パナーリンの文明に遅れ/進みはないのだという価値観も共感した。 -- 一般的なメディアの報道だけでは得られない気付きが読書から得られるとあらためて感じた。 引き続きロシアについて客観的に理解を深めていきたい。
2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻。それを指揮するプーチン大統領の念頭にはネオ・ユーラシア主義があるとする声があった。その思想についてロシア思想史研究者が紹介する。 ネオ・ユーラシア主義は哲学者から政治家まで幅広い人々によって語られ、その立場によって微妙に中身も異なるため、これがそうだ...続きを読むと指させる単純なものではない。ただ共通点として、 ポスト冷戦期の世界で「西側」の思想や経済体制こそ「正しい」とされる価値観への反発、ロシアを「西側」世界とは異なる「ユーラシア」(ヨーロッパとアジア)として定義していること、いずれは「西側」に対抗する「極」となり得る未来に期待していること、が挙げられる。 本書ではプーチンがネオ・ユーラシア主義を信奉していると結論づけるのは早計に過ぎると見ている。ただしプーチン政権のキモである反リベラリズムはネオ・ユーラシア主義と重なる部分がある。ネオ・ユーラシア主義と聞くとドゥーギンの名が即座に連想される(というか彼しか知らない)がネオ・ユーラシア主義は彼の専売特許ではない。プーチン政権のブレーン、プーチンのメンターと紹介されることもあったものの実際には彼とプーチンの関連はほぼない。これは意外だった。ドゥーギンが自身をそう演出しているのだという。にも関わらず彼の顔写真が帯なのはセールスのためかな。 極右でオカルトやスピに親和性のある「ビッグマウス」のドゥーギンより、グローバリズム批判、西側世界へのカウンターとしてネオ・ユーラシア主義を提唱したパナーリンの考えの方が現実的かつ思想的な深みがあって面白い。独善的な西側的世界観、資本主義へのオルタナティブとしての思想。社会主義は失敗したけれども、ロシアって本当に興味深く、存在感ある国である。 「ロシアのアイデンティティは重層的である。「西」であり「東」であり、ヨーロッパでありアジアである。多民族・多宗教が重要な要素でありながら、正教(キリスト教)文化圏としての色も濃い。現在の国民国家とかつての帝国としてのイメージが重なり合い、内向きであったかと思えば、時に帝国主義の顔も見せる。先進性と後進性を併せ持ち、近代性と前近代性が混在する。様々な意味で矛盾しているのに、トータルで見れば一体性があるように思える。こうしたロシアの複雑さを、新旧のユーラシア主義は捉えようとした。」
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ネオ・ユーラシア主義 「混迷の大国」ロシアの思想
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浜由樹子
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