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生まれて初めて芽生えた殺意という名の感情。嫉妬、わがまま、欲求不満、不信……どんな女の心にも潜む悪意の種ははかり知れない。殺人事件の起きた部屋の隣に住み続ける女、不妊に翻弄される女、婚約者が突然姿を消した女、わがままで自分勝手な金持ち女、母親への愛情を持てない女……。それぞれが抱いた小さな悪意が導く出来事とは……? 誰の身にも起こりうる事件の背後に隠された女の心理を抉る傑作サスペンス!
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◆蝉しぐれの夜に・・・不妊に悩む小夜子は、子供に関する無神経な誘いに苛立ちを感じながらも断れずにいた。
◆ホームシックシアター・・・隣室に引っ越してきた女性は知っているのだろうか。その部屋が事故物件であることを。
◆オーバーフロー・・・恋人の宏志の真意が読めず悩むこともあるが、彼の姉の朝子は誰よりも味方をしてくれる。
◆ひとりよがり・・・臓器提供意思表示カードを持っていた私に声をかけてきた男は、妹がレシピエントだという。
◆小指の代償・・・人が変わってしまった佳代の小指を見つけるため、私と猛は雪山を探し続ける。
◆おさななじみ・・・母を疎ましく思う私。いつからこうなったのだろう。
以上6編の短編集。いずれも主人公は女性の、いわゆるイヤミス短編集。
◆蝉しぐれの夜に…1番印象的だったというか、主人公の気持ちがわかる気がするのはこれだろうか。世の中不公平だと思う主たるもの。
◆オーバーフロー…物語として1番うまくできていると思ったのはこれ。うん、こういう詐欺、本当にあるんだろうなぁ。
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女の複雑な心情を描いた短編集。子供の出産と女の友情を描いた[蝉しぐれの夜に]。大音量のホームシアターで近所迷惑をかけているのに無頓着な女が殺人事件の被害者の妹に復讐される[ホームシックシアター]。いつも我慢していた女が結婚詐欺の被害にあい限界に達する[オーバーフロー]。裕福な家庭のワガママ娘が臓器移植のカードを通して知り合った男とのドライブで災難にあう[ひとりよがり]。婚約者と友人との旅行でスノボで失った友人の小指とその指輪を探し回る女の心理を描いた[小指の代償]。近所の幼なじみの女友達と疎遠になっていたがおばあちゃんの好きな銀杏拾いを通して心を通わせる[おさななじみ]。
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2017年、15冊目は、『イジ女』以来の春口裕子の短編集、6編収録。
今回は、それぞれ、簡単に触れておきましょう。
蝉しぐれの夜に:イヤミス調の一編。この作りは巧い。読後、速効で冒頭に戻りました。
ホームシックシアター:コレもイヤミス調でなかなか巧い。やはり、鍵は「このマンションで、5.1chサラウンドのホームシアターセット❔」だった。
オーバーフロー:マイルドなサスペンス(❔)。コレはタイトルが秀逸。クライマックス前が少し出来すぎかな。
ひとりよがり:不条理系ライト(❔)。コレもタイトルが、ほぼ全て物語ってる。
小指の代償:不条理系ライト(❔)、再び。ただし、コチラはラストが少し前向き。
おさななじみ:最後は、ラストにホッコリする系。目新しさは特にない、ベタな部類。
全体的には、イヤミス的な感触。「蝉しぐれの夜に」の作り。「ホームシックシアター」の伏線の張り方。と、特に最初の二編は、巧いと感じた。一方で、真梨幸子のドロドロなイヤミス。花房観音の丁寧に紡がれた粘度高い愛憎。その辺りが好きな、自分には、短編というコトを割り引いても、全体的に、物足りない印象。(花房観音の)エロ(真梨幸子の)グロが苦手な方向きとも言える。
幾つかの点は見落としても、解説で、ある程度フォローしてくれます。なので、解説の先読みは厳禁。
Posted by ブクログ
すべて女性が主人公で、女の嫉妬や欲望、自意識やプライドといったものがないまぜになって出来上がったストーリーの短篇集である。
サスペンスというジャンルは小説ではあまりもてはやされない気もするが、ああたしかにこれはサスペンスかも、と読み終わって感じた。
イヤミスというほどに人間に踏み込んでいないところとか。
『蟬しぐれの夜に』
は不妊をめぐる三人の女の話。
どんでん返し系である意味後味は一番悪い。
『ホームシックシアター』
打算的に結婚し、愛人を持って自由気ままな別居婚を送っている女が主人公。
世にも奇妙な物語でありそうな展開だった。
『オーバーフロー』
端的に言えば、人畜無害で気配りの人である主人公が結婚詐欺に遭う話だが、人間関係の中で擦り切れてしまういい人を描いたお話として面白かった。
完成度は一番高いと思う。
『ひとりよがり』
裕福な家に生まれ何不自由なく暮らしてきた女王様タイプの主人公が、病気の妹を献身的に介護する男と出会い悲劇に巻き込まれる。
『小指の代償』
スキー場での事故で小指を無くしてしまった友人を気遣うカップルの話。
いくらなんでもそこまでやるか?という違和感がずっと残り続けて話に入り込めなかった。
ハッピーエンドではある。
『おさななじみ』
子持ちの主婦が優等生だった頃の自分を回想する。
母子の関係、自傷行為など現代の病理的な内容盛りだくさん。
ちょっと冗長だった。
文章があまり上手ではなくテンポが悪いところが多々ある。そして全体的に少し古めかしい。
内容もありがち。
暇つぶしにはまあいいだろうという一冊だった。
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