川崎警察 下流域

川崎警察 下流域

990円 (税込)

4pt

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不審死の背後に広がる予想外に深い闇沼
ぬかるみに足を踏み入れた刑事たちの苦闘
魂を震わせる長篇警察小説!

1970年代の川崎。
京浜工業地帯として発展する裏で、ヘドロで漁ができなくなった漁師たちが、漁業権や船舶の買い上げと、補償金をエサに立ち退きを迫られ、漁民の間に分断と対立が生じていた。
また新興工業地帯には朝鮮や沖縄からの流入者も多く住み、住民感情は複雑化していた。
そんな土地で、多摩川河口に溺死体があがった。
遺体は元漁師の矢代太一と判明。
彼は漁業権問題で漁民をまとめる折衝役だった。
だが遺体には複数の打撲痕が認められ、漁師の溺死という不自然さと併せて事件性をうかがわせた。
そして遺品にはなぜかキーホルダーがふたつあり、自宅以外にもうひとつ家の鍵を所持しているようだった。
川崎警察署刑事課のデカ長、車谷一人は、ベテラン捜査員たちや新米刑事の沖修平らを叱咤しながら捜査に乗り出す。
矢代は漁師をやめて得た補償金で、夫婦で食堂を始めたが、妻の死によって店をたたみ、いまは次男と暮らしていた。
居酒屋やクラブで酒を飲むだけが楽しみだったという。
漁業権放棄問題では対立する漁師グループから恨みも買っていたことがわかった。
被害者の足取りを追ううちに、矢代は居酒屋で飲んでいるところに若い女性から電話がかかり、慌てたようにして店を出て行ったことがわかった。
事件が報道されると、矢代に離れの部屋を貸していたという夫婦から川崎署に電話が入った。
しかも義理の娘とふたりで借りていたという。
矢代には息子が二人いたが、ともに独身で、義理の娘などはいなかった。
手がかりを得た車谷たちは、不審死事件の背後に横たわる予想外に深い泥沼に足を踏み入れることになるが……

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