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Posted by ブクログ
矢樹純『マザー・マダー』光文社文庫。
5話収録のイヤミス短編連作集。息子の恭介を溺愛する梶原里美に関わる5人の登場人物が語り手となり、少しずつ梶原家の秘密が明らかするというストーリーの作品。
『第一話 永い眠り』。以前読んだ矢樹純の『夫の骨』のようなテイストの短編。全くの予想外の結末で、タイトルの意味を知ることになる。泥々とした男女の過去と不倫の果てに辿り着く結末。一戸建てに夫と娘の陽菜と暮らす佐保瑞希が語り手。瑞希は隣の梶原家を疎ましく思っていた。梶原家には引きこもりの33歳の息子がおり、母親の梶原美里が息子を溺愛するあまりに近所でトラブルを繰り返していたのだ。しかし、梶原里美は端役に過ぎない。
『第二話 忘れられた果実』。梶原美里と同じ病院で働く女性の相馬が語り手となる。相馬の別れた夫が郷里で亡くなり、娘の遥が四千万円もの遺産を受け取るが、そこに夫の隠し子と名乗る男性が現れる。まさかの展開に、なるほどと納得する結末。梶原美里はここでも端役に過ぎない。一体、この物語全体にどんな仕掛けがあるのか気になる。
『第三話 崖っぷちの涙』。ついに梶原美里が本性を現し、梶原家の秘密の一端が明かされる。引きこもりの支援施設で働く戌亥と野崎が語り手。引きこもりの男性を施設に収容するために梶原家に出向いた戌亥と野崎は、美里に監禁される。てっきり野崎が男性だと思っていたのだが……まだまだ物語の全体像は見えて来ない。
『第四話シーザーと殺意』。引きこもりの梶原恭介の中学校時代のエピソード。このエピソードで恭介という男の本性がますます解らなくなる。女子中学生の千春の母親の早苗が語り手。梶原恭介と同級生の千春は中学校の美術部の部室でシーザー像を落とされ、怪我をすり。犯人は恭介とみられたのだが……
『第五話 Mother Murder』。女性ジャーナリストの寺町梨沙が語り手となり、事件の全貌が明らかになる最終話。確かに嫌な後味が残る。梶原恭介が起こした不可解な事件を取材する女性ジャーナリストの寺町梨沙は、とうとう事件の真相に辿り着く。
本体価格700円
★★★★
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