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Posted by ブクログ
エッセイでありドキュメンタリーでもあるのに、どこか散文ではなく詩を読んでいるように感じます。 著者の生き方・人生観がストレートにほとばしる表現。人によってはあざとく感じてしまう人もいるかも知れません。うまく言語化できないけれど、言葉の使い方がとても新鮮で格好いいです。
エッセイだけど、身を削って書いているというか、血肉を感じる文章だった。 久々に自分を削り取って書いてるエッセイを読んだなという印象。でも当事者にしか書けないリアルな心情描写やそこまで曝け出す?ってくらい率直な意見など、読んでいて心にくるものがあった。 一番心に残ったのは「優生思想」。心に残ったとい...続きを読むうか、まるで著者から鏡を突きつけられたような気持ちになった。あそこまで凡庸(著者の言葉を借りれば)ではないけれど、でも心の奥にはその凡庸さはあるなとまざまざと思い知らされたようだった。 こんなに魂削るような文章書いて大丈夫なんだろうか?と心配になるようなエッセイだった。
すごい本を読んでしまったな。 これが一番最初の感想。 命懸けで書いてるんだろうなという著者の気迫や、その息遣いが聞こえてくるようである。 最も心に残ったのは「摂食障害」の章。 過食の様子や、翌朝の荒んだキッチンの光景が生々しく描かれている。 著者が過去にどんな経験をしたのか、またそれが著者にどんな...続きを読む影響を与えたのかは計り知れない。そんなに簡単に理解していい類のものでもないと思う。 しかし、著者が眺める光景を、そしてそれが著者を救っているという事実を通して、彼女が抱えているものの重さが、読者である我々にものしかかってくるように感じられた。 他にも、「友だち」の章で触れられていた性被害の話に関しては、ちょうど最近『恋とか愛とかやさしさなら』(一穂ミチ)を読んで色々と考えているところだった。 やはり、性犯罪とは本能的・衝動的なもので、それを犯した人の思考を理解することはできない。 でも、被害者側はそれを理解しようとしてしまう。そうでもしないと、自分が被害を受けたことに納得できないから。 そんなことを考えている折、本書で近しいようなことが書かれていてなるほどと理解が深まったし、同時に悲しくもなった。 「性被害というのは、ある日突然自分が信じていた世界のロジックが破壊されることだと思う。「こうすればこうなる」と当たり前に考えていた日常ご理不尽な暴力により破壊される。だから必死で壊れた世界のロジックを拾い集める。そうしなければ自分の力やコントロールの感覚の一切を失うことになるのだから。」(p.175) 正直、まだ咀嚼しきれていない部分もあるけれど、自分にとって存在感の大きな一冊であることは間違いない。
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石田月美
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