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夫人、奥さん、主婦、女房――かつてそう呼ばれた女性たちは戦後、いかにして男性を惹きつけ、「オンナ」を獲得してきたのか。団地妻、ビニ本、AV、出会い系……メディアと現実の相互影響が育んだ「性的幻想」の究極を、アンダーグラウンド文化を追い続けてきた作家が綴る、知的でココロ高鳴る文化史。
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Posted by ブクログ
社会を知れる一冊です。タイトル書いでした。 結論として、なんか男って情けないイキモノだなあと痛感しました。
★★★★☆ 遠すぎては見えないが、近づきすぎても見えない。 後に大きな歴史の転換点だったといわれる時代でも、そこでリアルタイムで生きている人たちは、その重大さになかなか気がつかないものだ。 まさに我々は革命の真っ只中にいたのだ。 それは人妻革命である。 本書曰く、近年エロ雑誌やAVにおいて...続きを読む「人妻」と名のつく作品が大きなシェアを占めているらしい。 それなら昔からあった、と思う人もいるだろうが、これまでいわゆる人妻ものは、統計的にあくまでもニッチなものであって、それがエロジャンルのメインストリームになった現在の状況というのは、歴史的にも初めてなのだという。 人妻ものの歴史は古く、最初期にこのジャンルに熱心に取り組んだひとりとして名前が上がるのが武野藤介だ。 彼が昭和20年代から30年代にかけて書いた人妻日記三部作(『人妻日記』ほか)は、日記形式の小説で一作目が不倫している妻の日記、二作目が不倫相手の日記、三作目が夫の日記という、なかなか凝った構成になっている。 興味をそそられる内容ではあるが、ブームを巻き起こすほどにはならなかった。 その後も人妻ものは作られるのだが、あくまでも売れ筋は独身の若い女を主人公にしたもので、人妻ものの企画を持ち込んでも「所詮、他人の女でしょ」とあまり良い返事はもらえなかったという。 それが近年になると前述したように様子が変わる。 エロ雑誌やAVだけでなく、風俗でも「人妻」と付けるだけで客の入りが違うのだという。 それだけではない。 以前なら風俗で働く女性は、25歳なら20歳、30歳なら25歳というように鯖を読んだ年齢をプロフィールに書き込んでいたが、今は“逆鯖”なのだという。 つまり、20歳の女性が25歳、30歳の女性が35歳と鯖を読んでおり、実際その方が客がつくというのだ。 その理由についての分析も本書では行われているので興味があったら読んでみて欲しいが、それより重要なことがある。 それは「女性は若いほうがいい」という有史以来の日本の常識が、歴史上初めてひっくり返ったということだ。 これを革命と呼ばずして何と呼ぼう。 それだけではない、人妻ものが売れているということは、前述した「所詮、他人の女でしょ」も過去のことになったということになる。 「他人の女だからこそ、いい!」というわけだ。 最近、芸能界は結婚ラッシュだ。 堀北真希や、福山雅治の結婚にガッカリしている人たちに言いたい。 そんな考え方は古い。 彼らは他人のものになったことで、より魅力的になったのだ。 スイッチひとつ切り替えるだけで、人生は如何ようにも豊かになり得る。
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本橋信宏
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