Posted by ブクログ
2009年12月28日
ホワイトハウスには政権が変っても動かない職人が90人もいる。彼らのはなし。
いろいろ驚きながら楽しめた新書でした。
菓子職人(ロラン・メスニエ)
ホテルの職人と違い、国賓をもてなす時などには最大の気遣いが求められる職場。
例えばイスラエルの人々はユダヤ教の定めた食のルール・コーシャーのため
「親子...続きを読む食い」、つまり牛乳とバターと牛肉は食卓に並べてはならないなど。
パンを食べたらメインに牛肉が出ても食べられないんですって。
他にも衣服を燃やす炎を使ったパフォーマンスの禁止や、アレルギーへの配慮も。
あと面白かったのはクリントンが牛乳とチョコレートが苦手といった、大統領の食の特徴。
クリントンはクリームの代わりに果物をふんだんに使ったパイやタルトを好んだそうです。
学芸員(レックス・スカウテン)
「公」のファーストレディを補佐するのがファーストレディ補佐官なら、
「私」のファーストレディを補佐するのがアッシャーと呼ばれる人々。
多忙なファーストレディからのメモを正確に把握し早急に実現することが求められます。
SS出身でそんなアッシャー出身のスカウテンが引退後に呼ばれたのが学芸員。
1808年に予算削減のために議会で制定された法律で
大統領にホワイトハウスの家具を自由に競売で売却する許可を与えていたため、
ケネディ以前のホワイトハウスは伝統とは無縁でした。
複製品が8割を超えた家具たち。それを2割ほどまで抑えたのがスカウテン。
あと面白かったのは「ケネディ以前」とさっきあったのは
ジャクリーン・ケネディが積極的にホワイトハウスの学芸品保護に走ったため。
「リンカーンが使った時計を買い戻すための基金募集パーティー」などで、
歴史的価値のある本物を買い戻し、
地下で埃をかぶっていた所蔵品をクリーニングし歴史を調べたそうです。
料理人(ウォルター・シャイブ)
ホワイトハウスの総料理長と主席菓子職人の年俸は平均8万ドル。
在職中は曜日に関係なく拘束され、
クリスマスなどのイベントのある12月1月は朝5時から深夜12時まで働きづめ。
アメリカでは100人規模のレストランシェフでも年俸5万ドルはかたいし、
有名どころだと1000万ドルなども夢ではない。
だからなかなかホワイトハウスに名の知られたシェフを雇い入れるのは難しく、
情熱のある人材確保に苦しんでいるそうです。意外。
フローリスト(ドッティ・テンプル)
日本人にとって白い花は葬式、イタリア人にとって菊は死を連想し嫌われ、
ミッテラン大統領は薔薇、
サッチャー首相はアネモネ、ドイツのコール首相はゼラニウムを愛した。
また花粉アレルギーへの配慮も必要だ。
そして政治的ない配慮も。インドネシアの国賓を迎えた際には、
かの国に松を旗に描いた政党が存在していたのでホワイトハウスの松を撤去したそうです。
結構大変。
そして意外だったのは盆栽。
クリントと小渕首相が送りあった「盆栽外交」で目にしたけども
ホワイトハウスでは特別な技術が必要な盆栽は育てられないので
全て国立植物園に送られているんだそうな。
面白い。