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中東やアフリカで長年過ごしてきた著者が、旅の経験や、古今東西のさまざまな文化や文学作品などの例をとおして、人と人との「あいだ」、また自分自身の中の「あいだ」を見つめ、そこに風をとおし、互いに自由になれる関係をつむぐ道を考える。迷いや悩みの多い10代やすべての方たちにとって、「私」も他者も大切に、軽やかに生きていくレッスンとなる一冊。(装画:nakaban)
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Posted by ブクログ
自分は今こうして生きているけれど、 違う立場として生きていたら 考え方は違ったかもしれない、という 他者の目線に立って考えることのやさしさ 自分の心に初夏の爽やかな風が吹いた。 読み進めるたびに読み終えるのが 名残惜しくなった。 人生で読んだ中で、 間違いなく一番心に響いた本。 すさまじく爽やか...続きを読むな読後感!
上司に毎日評価され、自分はダメな人間だと思うことがよくあるけれど、自分は自分で良いと思えた。自分自分で苦しめていたのかもしれないとも思った。 武者小路実篤の作品に登場する馬鹿一のように生きられればいいなと思った。 また、出会った関係ない別れはないという話も納得できたし、心が軽くなった。
最近通ってるお気に入りの本屋さんで、パッと目について衝動買いした1冊だったけど、とってもよかったです(^^) 「違う人生があったかもしれない」の一節は、時々自分も感じる感覚で、とってもしっくりきたし、「人生は無駄からできている」に全力でうなづく自分がいたり(^^) 「他者とのコミュニケーションのを...続きを読む阻む最大の障壁は、相手を「わかったもの」にしてしまうことだ」にはどきっとしたり。。。いろんな気づきが多くて、一気に読んでしまった本でした。 「あいだで考える」シリーズはどれも面白そうで、これからもちょくちょく買い足してしまいそうです(^^)
レッスンとあるが、具体的なノウハウを教えるものではなかった。 時間や心に余裕がない時は、ノウハウ本を手に取りがちだが、根っこの部分をじっくりと考えさせる本書のようなものの方が、落ち着いた気分を長続きさせてくれるように感じる。
他著書や旅先の風習など、いろいろな視点を交えながら、人と生きていくなかで有用に感じられることを緩やかな筆致で教えてくれる。 焦っていたり、不安が押し寄せる日々に生きていたりするときにオススメだなと思った。 読んでよかった。
挿絵が気になり手に取った。 著者の体験的エッセイ。 異文化、中東やアフリカでの経験をさらりと書いていて、読みやすい。 文中に、古今東西のいろんな本の話。 YA向けのブックガイドの役割も。
めちゃくちゃ期待してたけどそこまでではなかった。 けど、視点が変わってておもしろかった。 気になった部分は秘密メモに。
無駄の削ぎ落とされた文章。 印象に残っていること・新たに得た知見をを箇条書きにしていく。 ・『七つの人形の恋物語』サブパーソナリティ ・エジプトのザール 悪霊の気に入ったリズムが見つかると激しく踊ったり泣いたり叫んだりして感情を解放する。そうやって悪霊の機嫌をとる。 ・『天国の根』なにかに...続きを読むふさわしい存在であろうとする「態度価値」 ・『ベルリン・天使の詩』 ・互いに安全に傷つくためにこそ対話がある。 ・星新一『ボッコちゃん』肩の上の秘書 ・無駄とは無駄なのか。効率性とは、大抵の場合、自分以外の誰かの都合に合わせるためのもの。 ・自分が善良でいられるのは、自分が善良な性格だからではなく、善良でいられる環境の中にたまたまいられたからである。 ・亀には亀の世界があり、こちらの期待の枠にはめないで見ると、そのままでおもしろく見えてくる。 ・武者小路実篤の馬鹿一 ・物語を通さないと、私たちは世界を理解できない。 ・善や正義の名の下に、暴力によって悪を懲らしめるという物語は枚挙にいとまがない。 ・普通の家族ってすばらしい、親子ならきっと分かり合える、という言葉も、スタンダードな家族や親子の形が存在するという前提の上に成り立っている。そうでない家族や親子関係の中で育った人にとっては、それも呪いになりうる。 自分で自分を責めたり、否定したりしている時、そこには必ず自分がとらわれている物語がある。呪いの物語を火にくべて、灰にして、夜空に返す。 ・問題が起きた時、ひとりで思いつかない考え方や可能性に辿り着く手がかりを与えてくれるのは、大抵、他者である。 ・死者は、あの世へ行ったのではなく、死者という形でこの世に存在し続けている。 ・犠牲になった者たちの無念を晴らす、などと言って、他人を操作するために死者を利用するのは冒涜。 ・ふいに言葉が途切れた沈黙の瞬間を、天使が通った、という。
レヴィナス、フロイト、エリクソン、仏教、等々、様々な思想を下敷きにしながら、それらのエッセンスを著者独自の経験と言葉で、より広くより多くの人に届くような形に語り直している印象。著者の経験談はどれも面白くて、不思議な説得力がある。
「風をとおすレッスン」とあり、サブタイトルには「人と人のあいだ」と付けられているが、特に印象に残ったのは、「自分の中にあるあいだ」ともいえる話だった。 人間関係に関する話に見えて、実際、人と人との距離感の話もしながら、この本は、「「私」の中の小さな私たち」から話が始まる。つまり、いかに自分自身が一人...続きを読むの人間でなくて、様々な「自分」でできているか。まずは、自分の中にある矛盾した自分たちの間に風をとおすところからレッスンは始まる。 本の中で紹介されるのは、コミュニケーションをより上手にするためのノウハウといったものではない。よく意味がわからなくても、一つのコミュニケーションが成り立っている居心地のいい様々な空間である。 それは、どこかの村の寄り合いであったり、何を考えているのかよくわからないカメと過ごした毎日であったり、旅の途中、焚き火の周りで座って語り合った時間であったりする。また、とある国のシャーマンによる「占い」であり「治療」であり、エジプトの人々同士の著者から見ると少し過剰に見えた日常会話であり、ザールと呼ばれる悪霊祓いの儀式であった。 それらは一見して素敵に見える場所であったりもするが、傍から見ればよく意味のよくわからないもある。その場に暮らしている人たちにとって、そうした空間、時間があることの意味を、時に、フィクションの物語なんかも引き合いに出しながら、筆者なりの感性で語っていく。 しかし、傷つかないために対話をするのではない。むしろ逆である。互いが安全に傷つくためにこそ対話がある。(p70) 「期待しないコミュニケーション」という言葉が印象に残った。言葉をコミュニケーションの道具だとして見ているうちは、自分の発した言葉に誰かが何かを返してくれることを期待する。その期待が達せられなかったときに、人は人との関係の中で傷ついていく。 本の中で紹介される事例は、どれも特別なものに見える。ただ、こうした風とおしのいい空間の話を聞いたところから、自分の身の周りに、ああ居心地がいいなと思える瞬間を見つけていくこと、そういった瞬間を一つずつ増やしていくことで、友人や職場、家族との関係のあいだに風がとおるようになっていくのだなと思う一冊だった。
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風をとおすレッスン
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田中真知
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