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元現地特派員による渾身のルポルタージュ! 機会の不平等による格差の再生産、貧困の連鎖で、 ポピュリズムへの道を突き進む南米。 南米と日本の「不平等と格差」は“程度の問題”に過ぎない。 南米のリアルから日本の危機をも示す警告の書。
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Posted by ブクログ
日経新聞前サンパウロ支局長による南米政治のルポルタージュ。取材地域はベネズエラ、アルゼンチン、ブラジル、チリなど幅広い。 筆者の視線は、ポピュリズム的なバラまきを続ける左派政権だけではなく、格差や貧困への配慮のない右派政権にも手厳しい。多くの人びとへの地道な取材の成果が凝縮された作品。
読み応えのある星5つ。ブラジル、アルゼンチン、サッカーのワールドカップぐらいしか意識しない南米の国々かもしれないが、ぜひ手に取ることを薦めたい。 日本では彼の国々の生活を伝える報道はあまり芳しいものは少ない。けれども実際に居を構えた著者が目にしたの民衆の風景は、最近の先進国と大差ない。民主主義政治...続きを読む体制をかろうじて維持しながら、右だったり、左だったりの時々の政権の罪は「ポピュリズム」で共通している。他国の話だけでなく「自分に都合の悪い話は聞かない、データに向き合わない(改竄する)、好き嫌いで人を選り好みする」。どっかでも聞いた声ですね。 左右どちらがいいと著者は主張していない。罪深い権力者だけでなく、それを選らんでいる国民にも責はある。毎回、右に左ににぶれまくる国民にポピュリズムの原因を示唆している。但し、政治家として己を律する心を持っていてもらいたいことは、期待したい。自分たちの国を、子供たちの未来を少しでも良くするために。
南米政治に明るいわけではないのですが、日本の国債残高への懸念、その先にあるかもしれないハイパーインフレについてずっと興味を持ってきました。デフォルトを起こしたアルゼンチン、ハイパーインフレにより、国民の体重が平均で11kg減ったというベネズエラは、個人的にとても興味深い国でした。その2つの国を冒頭に...続きを読む持ってきている本書は、自分の興味にぴったりでした。 ベネズエラの実情は想像以上に悲惨で、国民カードで国民を監視、国民の流出を何とも思わない与党の意固地な圧政にやるせない気持ちになりました。 一方、アルゼンチンは、2001年のデフォルト後、貧困層が40%となったものの、その後、10%以下まで持ち直したことが驚きでした。最近も、自国通貨が数日で3割下落、ドルへの両替が行列をなすこと日常茶飯事、小麦価格が一年で9割上昇というようなハードな経済状況にも関わらず、日常は失われていないようでした。デフォルトのような状況も続いているものの、債権者に対して強気で交渉して、デフォルト状態慣れしているように見えたことが興味深かったです。アルゼンチンはかつて、GDP世界4位だったこと、今は安価な観光地として人気なことからも、ベネズエラよりアルゼンチンの緩やかな落日ぶりに日本の未来を垣間見ました。 通常、このような各国史を読んでいると、政党の変遷や重要人物の思想を追うのに疲れて頓挫しやすいのですが、各章の中に道筋を引いてくれているからか、ただただ先が気になり、一気に読んでしまいました。 また、最後との方に全然知らなかった、ボリビアが独裁政権を阻止した、民間ボイコットのことが書いてあり、それがボリビアとベネズエラを分けたことに感心しました。民主主義が機能しなくなりそうな時、目先の利益を捨ててでも政権にNOと言える姿勢とその方法はあっぱれでした。 本書を読んで、どんな清廉な権力者であっても、それを監視し続ける仕組みがなければ腐敗すること、国民の福祉と経済は、どちらも置き去りにしてはいけないこと、デフォルト防衛策としては、外貨の安定的な獲得が外せないことを学びました。
南米大陸7カ国―ベネズエラ、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、ペルー、ボリビアのルポルタージュ。最後、日本への警告。
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外山尚之
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