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2022年2月に始まった一方的な侵攻は、ロシアの戦争を超えて欧州全体の問題――「欧州戦争」になった。欧州が結束して武器や弾薬の供与に踏み切った背景、欧州全域を巻き込んだエネルギー危機の行方は? 欧州の安全保障を専門とする著者がこの大転換の構造を分析し、「ウクライナ後の世界」の課題と日本の選択を探る。
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Posted by ブクログ
幅広いテーマと丁寧な解説で、この戦争を見る視点が体感で5倍は増えた気がします。 エネルギー、NATO、抑止について理解が深まりました。 特にナラティブ、この戦争の語られ方についての章は背筋が伸びます。言葉は、怖い。
筆者によるフォーサイト誌への連載を再編集したモノに加筆したもの。時系列順に並べ直すと、 第三章 結束するNATO 第4章 米欧関係のジレンマ 第一章 ウクライナ侵攻の衝撃 第二章 ウクライナ侵攻の変容 そして、 第五章 戦争の行方と日本に突きつけるもの となる。 視点として、特に協調されているの...続きを読むは、NATO/EUファクターである。これは、トランプ政権時や、バイデン政権時のアフガン陥落を通じて米国との距離を測りかねているという面でもあり、また、「チェスのプレイヤーではなく、チェスの駒としての日本との共通点」でもある。 第五章で日本の対応について述べられているが、岸田首相が「今日のウクライナは明日の東アジアかも知れない」と言い切ったことはとても評価できる。日米安全保障条約があるからと言っても、米国民に「有効に」訴えることがいざというときには必要だからである。
「ウクライナ侵攻」というものが、欧州世界に如何なるものを与えたか、さらには日本にどのような影響をもたらしたのかというのを学ばせられる一冊。 ロシアのいう、「NATO東方拡大」というものが如何なるものであるのか、またどういった文脈で進んだのかということを正しく学ぶことができる。加えて、この戦争の最中...続きを読むから起こった新たなるNATO拡大、すなわちフィンランド、スウェーデンの加盟。フィンランドとスウェーデンが持っていた「中立」の意味と、加盟後の意義について学ぶことができる。 欧州北部にまでNATOが広がるという意味の大きさは計り知れないものである。また、何故フィンランド、スウェーデンはここまで素早いNATO加盟が起こったのか、逆にウクライナは加盟申請をしてもなぜ時間がかかるのかという問題についても学べる。 また、戦争報道及び、そこでの言葉の選択の重要性も記述されている。日本政府やG7が言葉を選択して、用いていることを学ぶことができる。 また、岸田首相のキーウ訪問時の「必勝しゃもじ」が話題になり、日本の一部の人々からは批判があった。ではウクライナにとっての勝利、及び和平とはどういった条件なのかというものを「中立化」と「安全の保証」という文脈で考えさせられる。 ウクライナ侵攻を政治の側面から見た際にどういった影響があるのかを考えるには重要な一冊であると感じた。
著者が2021年2月以降に発表した論考を再編。 ウクライナ戦争の進行にあわせて若干追補。 基本的に時系列に掲載されていて、状況を背景や当時の認識も含めて追体験できる。 思えばアフガン撤収時もウクライナ侵攻前夜もバイデンの不始末が混乱の引き金だった。
ウクライナ侵攻について欧州の視点から描いた一冊。個人的には北欧がNATOに加盟するまでの経緯がウクライナと異なっていたことを初めて知った。 感想を書いている今日時点でも侵攻が続いていることに辛くなる。
鶴岡先生がウクライナ戦争について、過去に雑誌で書いた考察をまとめたものです。過去に書いたものなので今となってはと思う点もありますが、その時点時点で各国がどのようなことを考えていたのかを振り返るのに丁度よいと思います。確かに今思えば、最初から戦闘機と長距離砲を供与して露の後方基地を破壊しておけば終わっ...続きを読むていたのかもしれませんが、最初は1か月以上持ちこたえるとは思ってませんでしたからねぇ。
ウクライナ戦争はロシア連邦による侵略である。ロシア連邦軍がウクライナの領土の占領を止め、撤退することが停戦の道である。ロシア連邦軍は占領地域でウクライナ住民の虐殺、強姦、拷問、略奪、子ども達の拉致を繰り返している。
ロシア側がどうしてウクライナへ侵攻したのか、プーチンがなにを考えているのか?といった本は結構あるが、この本は、アメリカが、ヨーロッパが、NATOが、どのように介入を深めていったのかという側面を中心にした本。 日本もその介入、ウクライナ支援に関わっているわけだが、どうも自分たちでなにをやっているのか...続きを読むはよくわかっていない。そのあたりを考え始めるのに役にたちそう。
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欧州戦争としてのウクライナ侵攻(新潮選書)
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鶴岡路人
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