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ひょんなことから異界に招かれた主人公たちを描いた作品集。「ハンカチの上の花畑」「三日月村の黒猫」など、中編4編とエッセイ。
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Posted by ブクログ
ひょんなことから異界に招かれ、そこで大切なものを得て帰ってくる主人公を描いた作品集。 『丘の上の小さな家』異界へ、レース編みを習いに行っていた数時間は、じつは40年が過ぎていた。逆に『三日月村の黒猫』では不思議なボタンの技を習得していた長い年月はたったのひと月。 美に魅せられ異界へ行き、失ったもの...続きを読むと得たものの重さを考え切なくなる。異界の手仕事の技の美しさに目を見張る。 『ハンカチの上の花畑』の菊酒を作る小人たちの描写も、発酵の不思議に惹かれる私の壺にハマった。
ハンカチの上の花畑 タイトルから、「知ってる話だ」と思って読んだら、全然、展開が違っていました。 よく思い出してみると、きっとわたしが思っていたのは、「北風が忘れたハンカチ」だったのだと思います。 ちょっと、こわい話ですよねぇ。 でも、あんまり、「欲をかいてはいけません…」とか、「嘘をついてはいけ...続きを読むません…」とか、教訓めいた感じではありません。 奥さんが、小人たちにプレゼントするとなんかも、自分の欲ではなくて、すごく自然な感じです。 でも、自然の流れとして、そうなってしまうんだなぁ。そういう風にできているんだなぁ。と何となく思ってしまうお話です。 素敵なマイホームにあこがれる気持ちなんかは、きっと、作者自身も思っていたんだろうなぁと…しみじみしてしまいます。 ライラック通りの帽子屋 これは、好きなタイプの話ですねぇ。 そして、のキレイに行って帰ってきます。 若い頃のお父さんとお母さんのエピソードが、なんとも、素敵です。 その気持ちを忘れずにいられるといいのですが……。 丘の上の小さな家 なにかを手に入れるためには、なにかを手放さなければならない。 たとえばこの物語の中では、手放さなければならなかったものは、「時間」。 でも、どちらの選択がよかったかは、わかりません。 そして、わたしたちは、今の選択を生きていくしかない。 それならばやっぱり、今の選択に肯定的でありたいけれど……。 最後は、オチになってないと思います。 でも、ちょっとわたしは泣いてしまいました。 また、安房直子の作品の中で、好きなのが増えた。 三日月村の黒猫 今回の本は、「異界」がテーマの話を集めてあるわけですが、職人さんのというテーマも、けっこう大きい気がします。 童話自体が、職人さんを主人公にすることが多いということもあると思うのですが、人にできないことをやれる職人さんは、どこかに秘密をもっているような気がするのかもしれません。 これも、「丘の上の小さな家」と同じように、異界にいって技術を習得して、習ってくるお話です。 そして、そのために、選択する。 実は、最後のオチは、この物語にとって必要ないのかもしれない。そう思うぐらい読んでいる間、不思議な時間がもてるお話でした。
安房直子さんのファンタジーってどうしてこんなに素敵なのでしょう!この本には4つのお話が入っています。どのお話も読み終わるとしばらく「ほ〜っ」っとしてしまいます。 特に「丘の上の小さな家」と「三日月村の黒猫」がとても良かったです。もっともっと、安房さんのお話が読みたいです。
[ 内容 ] 「ライラック通りの帽子屋」「三日月村の黒猫」ほか、幻の世界を描く長編と中編4編。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆...続きを読む☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
収められている題材の数はこれまでと少ないですが、「ハンカチの上の花畑」、「ライラック通りの帽子屋」、「三日月村の黒猫」とほぼ全ての話に強く惹かれました。 どのストーリーも想像すればするほどその世界に引き込まれていって、話が終わるとしばらくの間自分自身も異界にいっていた気分になるほどです。 どの本も、...続きを読む全部欲しくなる・・・。
今回も良かったです。「ハンカチの上の花畑」が一番面白くて、童話ということも忘れるくらいドラマチックな世界観に夢中になりました。安房さんの短編も好きですが、個人的にはこれくらいの長さのほうがじっくり読めて楽しいです。
ほとんどの話はわりとすぐに帰れるのに、なかなか帰れなかったレースの学校。何もかも捨てるつもりで行ったわけでもないだろうになあ。神業の腕になるのと、お母さん上手くらいで留まるのと、選べたならどっち選んだの、かなちゃん?
本作は短編というより中編。 ・ハンカチの上の花畑 →既読。子供時代に読んだので、よく覚えているのだが、今読むと、飲酒運転。。。というつまらない発想。。 楽しくてたまらなくなる気持ちを『おもちゃの兵隊を、机の上に並べた時の気持ちに似ています。それから、砂場で小さな線路やトンネルをつくり、そこに電車...続きを読むを走らせた時の気持ちにもにています。ああ、そういう小さな世界にさよならをしてから、いく年すぎたでしょうか。』 確かに。。 ラスト、これまた大人になって家の価格を知っているだけに、家はどうなったのか、軍資金は??とこれまた違った意味で恐くなってしまった。。ツマラナイ大人。。 ・ライラック通りの帽子屋 →既読。ライラックの香りが気になっていたけれど、鳩居堂で香袋を購入。自然の香りはまた違うだろうけれど。 戻ってくるのが、なるほど。。 子供時代に読んだら奥さんもっと優しくしてあげれば、と思うけれど これまた大人になった今、生活があるしなぁ。。とも思ってしまった。。 大人になって、子供向作品を作れる人達って凄い。 ・丘の上の小さな家 →浦島太郎もびっくりの残酷な展開だと思ってしまった。 そのまま自分も新たな生贄(と言ったら失礼だけれど)を迎え入れて。。といった展開にはならず、自分のかなえられなかった夢を少女の為に叶えようとするかなちゃん。。おかあさんのこともあるし、どうか、寂しくない人生を歩んでほしい。。 これは今後も忘れなそうな物語。 ・三日月村の黒猫 →さちおは、子供のまま戻れたのか、とか思ってしまった。おばあさんはある意味残留思念?? 猫は、旦那さんが戻ってきてくれて嬉しいだろうな。 エッセイ ・「昔覚えた詩」 リズムか~。坂上田村麻呂、とかもそうかも。 谷内六郎氏、見たころある!!カレンダーにもよく使われていたような。 『そのくせ、意味も分からず暗唱した…七五調のせいで、ちゃんと口ずさめます。…詩のリズムというのは、食べ物にしたら歯ざわりのようなものでしょうか。味わいとは別のものでしょうに、ふしぎな力をもっています。』 ・「わたしのアンデルセン童話集」 蕗谷虹児氏。こちらは初見。それこそ、安房直子氏の挿絵といったら牧村慶子氏のイメージが強すぎて。。 原画展とかないかなぁ。。 ・童話と家事と 『腕のいいコックさんは、どんなに月並の材料を使っても、それを、たちまち独創的な素晴らしい一品に仕上げるのだ。童話も同じこと。台所の野菜が歌をうたい、おなべがくるくる踊る話だってできるのだ。』 ・家の中の仕事 『それにしても、家の中の仕事というのは、凝りだせば、きりがなく、逆に、手抜きをすれば、いくらでも簡単になる、まるで伸縮自在のお化けみたいなもので、どちらをとるのも、その人の自由ですけれど、一度、際限なく凝ってみますと、これは、たいへんおもしろいものだとわかるもののようです。』 ご存命だったら、子育てエッセイとかも出版されたのかなぁ、とも思ったり。。
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