親切の人類史――ヒトはいかにして利他の心を獲得したか

親切の人類史――ヒトはいかにして利他の心を獲得したか

人間の「利他の心」の存在はどのように説明できるだろう? 一筋縄ではいかないこの問いに、進化生物学と慈善の歴史という観点から挑みかかる。「利他行動」は生物学の難問の一つだ。ヒトをはじめ、他個体を利する行動をとる動物は実際に存在する。だがしかし、寛大にも他者を思いやる個体の遺伝子は、狡猾な個体に出し抜かれて繁殖機会を奪われ、淘汰されてしまうのでは? 生物学者たちはこのことにおおいに悩み、利他行動を説明できる理論を求めて奮闘してきた。ただし、人間の利他の心は、生物学だけで完全に説明することはできない。社会福祉制度や慈善活動などの方法で、血縁や地域を超えた「完全な赤の他人」にまで援助の手を差し伸べる動物は人間以外にいないのだ。ここには、何か特別な説明が必要になる。著者によれば、一万年の人類史における「七つの大いなる苦難」を、人類がどう解決してきたかが説明のカギだという。本書では、利他行動に関するいくつかの理論の要点とその妥当性を検討したのち、歴史を通して力を発揮してきた人間特有の能力を鮮やかに提示する。人類史上もっとも寛大な「思いやりの黄金時代」を生きる私たち。ここへ至るまでの道程を照らし出す、本能と理性のビッグヒストリー。

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親切の人類史――ヒトはいかにして利他の心を獲得したか のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2024年04月04日

    1章から6章までは人間の利他行動に関する理論の要点とその妥当性を検証。ハミルトンの血縁淘汰と包括適応度、ウィン=エドワーズの群淘汰、マルチレベル淘汰とプライスの共分散方程式、アクセルロッド、アレキサンダーなどの互恵性理論など進化生物学の理論を手際よくまとめており、数学の知識が無い自分でも進化理論の進...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年04月22日

    人間がいかにして利他的な心を持つようになったのか、歴史の大きな流れとともに考察していく一冊。

    気になっていた本だが、少し高めの価格にたじろぎながら、借りられるまで待ったが、借りられる期間である2週間で読み切るのはなかなか難しかった。

    読むこと自体はできても、理解するのにかなり苦労させられた。

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    Posted by ブクログ 2023年04月04日

    他人に親切にするのは自分勝手な人にいいように使われ、進化の過程で不利だったのでは?
    赤の他人にまで親切するのはなぜか?って疑問に進化と歴史の観点から答えた一冊。

    進化の疑問には
    「互恵性」と「評判」の2つが生存に有利だったみたいな話がされている。

    赤の他人に親切にするのは、上記の本能的な進化では...続きを読む

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