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  • 親切の人類史――ヒトはいかにして利他の心を獲得したか
    5.0
    1巻4,950円 (税込)
    人間の「利他の心」の存在はどのように説明できるだろう? 一筋縄ではいかないこの問いに、進化生物学と慈善の歴史という観点から挑みかかる。「利他行動」は生物学の難問の一つだ。ヒトをはじめ、他個体を利する行動をとる動物は実際に存在する。だがしかし、寛大にも他者を思いやる個体の遺伝子は、狡猾な個体に出し抜かれて繁殖機会を奪われ、淘汰されてしまうのでは? 生物学者たちはこのことにおおいに悩み、利他行動を説明できる理論を求めて奮闘してきた。ただし、人間の利他の心は、生物学だけで完全に説明することはできない。社会福祉制度や慈善活動などの方法で、血縁や地域を超えた「完全な赤の他人」にまで援助の手を差し伸べる動物は人間以外にいないのだ。ここには、何か特別な説明が必要になる。著者によれば、一万年の人類史における「七つの大いなる苦難」を、人類がどう解決してきたかが説明のカギだという。本書では、利他行動に関するいくつかの理論の要点とその妥当性を検討したのち、歴史を通して力を発揮してきた人間特有の能力を鮮やかに提示する。人類史上もっとも寛大な「思いやりの黄金時代」を生きる私たち。ここへ至るまでの道程を照らし出す、本能と理性のビッグヒストリー。

ユーザーレビュー

  • 親切の人類史――ヒトはいかにして利他の心を獲得したか

    Posted by ブクログ

    1章から6章までは人間の利他行動に関する理論の要点とその妥当性を検証。ハミルトンの血縁淘汰と包括適応度、ウィン=エドワーズの群淘汰、マルチレベル淘汰とプライスの共分散方程式、アクセルロッド、アレキサンダーなどの互恵性理論など進化生物学の理論を手際よくまとめており、数学の知識が無い自分でも進化理論の進展についてポイントを摑めた気になった。
    この部分で特に印象深かったのはプライスの共分散定理。利他行動が優位となる淘汰の働きをたった一行の方程式にしてしまうのだから驚き。畏敬の念さえ覚える。
    また筆者はアレキサンダーなどの間接互恵性理論を現代人の利他行動を進化的に説明する概念として有望と評価している。

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    2024年04月04日
  • 親切の人類史――ヒトはいかにして利他の心を獲得したか

    Posted by ブクログ

    人間がいかにして利他的な心を持つようになったのか、歴史の大きな流れとともに考察していく一冊。

    気になっていた本だが、少し高めの価格にたじろぎながら、借りられるまで待ったが、借りられる期間である2週間で読み切るのはなかなか難しかった。

    読むこと自体はできても、理解するのにかなり苦労させられた。

    他人への寛大さは、一対一のものではなく、集団にとって利益になるからであり、また、他人への思いやりは「お返し」「インセンティブ」「活発な知的能力」「論理的思考」の四つからなっているそう。

    人間は様々な苦難を乗り越えながら、他人を思いやることが世界をより豊かにしていくことを学んでいった。もちろん、思い

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    2023年04月22日
  • 親切の人類史――ヒトはいかにして利他の心を獲得したか

    Posted by ブクログ

    他人に親切にするのは自分勝手な人にいいように使われ、進化の過程で不利だったのでは?
    赤の他人にまで親切するのはなぜか?って疑問に進化と歴史の観点から答えた一冊。

    進化の疑問には
    「互恵性」と「評判」の2つが生存に有利だったみたいな話がされている。

    赤の他人に親切にするのは、上記の本能的な進化では説明できず、苦難の歴史や理性で説明できる。

    思いやりは進化の過程で獲得したものだと思っていたが、実際は他者への思いやりは人間がより大きな集団になったときに初めて得た能力らしい。
    思いやり、共感は理性があれば広がると。

    実践理性と呼ばれる正しい選択と決断をする能力が、歴史上、他人への思いやりを広め

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    2023年04月04日

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