幻告

五十嵐律人

裁判所書記官として働く宇久井傑（うぐい・すぐる）。ある日、法廷で意識を失って目覚めると、そこは五年前――父親が有罪判決を受けた裁判のさなかだった。冤罪の可能性に気がついた傑は、タイムリープを繰り返しながら真相を探り始める。しかし、過去に影響を及ぼした分だけ、五年後の「今」が変容。親友を失い、さらに最悪の事態が傑を襲う。未来を懸けたタイムリープの果てに、傑が導く真実とは。リーガルミステリーの新星、圧巻の最高到達点！

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内ミステリー
• 出版社: 講談社
• ページ数: 384ページ
• 電子版発売日: 2022年07月26日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 2MB

[ブクログ · ★★★★★]

五十嵐律人さん、初読。
一度ページを開いたら読むことを途中で止める事が出来ず、一気読み。穏やかにゆっくり読む感じの本が多めだったので、こんなに夢中で一気読みをしたのは久々です。
丁寧な描写や説明に、法定用語など知識に疎くてもドラマや映画を観ているようにスルスルと脳裏に情景が浮かび、澱み無く読めてしまう魅力。
宇久井君と烏間部長の話をもっと読んでいたかった。

色々考えさせられる部分が多く、大まかなあらすじしか思い出せなくなった頃に再読したい。

[ブクログ · ★★★★★]

五十嵐さん、読むの5冊目だけど、本当に多彩だね。法廷ものって共通点はあるけど、今度はタイムリープを絡ませて、いやすごいと思う。最後もすっきりして思わず満点！

[ブクログ · ★★★★★]

大好きな五十嵐律人さんシリーズの『幻告』
タイムスリップと父親の有無罪と死に目が行きがちですが、私は加納弁護士の過去(傍聴席)について裁判官である烏間さんが隆久さんに言及するシーンから涙が止まりませんでした。加納弁護士的にも多少は救われたと思います。

[ブクログ · ★★★★★]

法廷タイムリープ。頭がこんがらがりそうになるような題材なのに、読みやすい。
はっ！！ここでこう繋がるのか！！との驚き、いやぁ～、良かった！！

[ブクログ · ★★★★★]

タイムリープの作品は数ありますが、裁判所書記官という立場ものは初めてで、裁判についても詳しく書かれていて勉強にもなったし面白かったです。最初はタイムリープするたび、時系列がん？となりましたが事件に焦点をあてるとわかりやすかったです。
普段、自分との関わりがない所が舞台になっているものを読むのはワクワクします。

[ブクログ · ★★★★★]

一事不再理。重いですよね。。特に冤罪の場合。
裁判所書記官にフォーカスが当たるなんて！
主人公の成長を見ることができるのが、本当に救われる！！
周りの人もいい人ばかりで、タイムリープミステリーでもめっちゃ好きな本となりました！
ラストほんとうによかったねー！！となりました。

[ブクログ · ★★★★★]

タイムリープ物、おまけにリーガルミステリーという事でさぞ難解な作品だろうと思いきや、、！
聞き馴染みのない法律用語が出てきても流れるように説明が添えられていてとてもわかりやすい。
伏線の回収も抜かりなく、もどかしさは全く感じない。凄い。
終始行動力溢れる主人公と、達観しているようで実はとても人間味のある烏間さんの言動に心が揺さぶられた。
温かい読後感にほっこり。
これ映画化してくれないかな〜

[ブクログ · ★★★★★]

リーガルミステリということで難しい言葉が多いんだろうな〜と思って読み始めたけど、そんなことはない、学生向けかと思うほど読みやすかった。これも烏間裁判官の為せる業なのかもしれない。
テンポも展開も良くて一気に読み進めてしまう。
伏線(だと思ってなかったものまで)は全て絡ませていくスタイル。
登場人物達に体温を感じるのもよかった。

現実では全ての事象に納得できる理由があるとは限らないのではないかと思うけど、フィクションの中では全てに理由をつけてスッキリするのもいいよね。

[ブクログ · ★★★★☆]

裁判所書記官である宇久井傑が万引き窃盗事件の裁判閉廷後に意識を失うと、大学生時代のとある日に時間が巻き戻った。その日は五年前、父親の性犯罪事件の裁判第一回公判期日だった。五年前とは違う行動をとった傑が現在に戻ると、その影響で未来が変わっていた。
父親の事件資料を調べて冤罪だった可能性に気づいた傑が、父親の運命を変えるために奔走するタイムリープミステリー。

設定がとにかく面白いと思った。未来を変えるというタイムリープの目的と、事件の真相を究明するためのミステリーの情報として、この裁判という舞台はとても合っていると感じた。
著者の五十嵐さんは弁護士であるとのことで、裁判に関する情報や流れの説明が詳細で分かりやすくもあり、リアリティがありつつ混乱することがほとんどなかった。裁判に関して少し詳しくなったような気持ちにもなれた。
タイムリープの仕組みは読み進めるほど複雑でついていくのは大変だったが、事件に関して様々なことが繋がっていって展開が気になり、最後まで飽きることなく読むことができた。
五十嵐さんの他の作品も読んでみたいと思った。

[ブクログ · ★★★★☆]

この方の作品の何が良いかというと、私にとって沢山の「へえ、そうなんだ」があること。
今回は裁判所の書記官が主人公で、裁判にかかわることで「へえ、そうなんだ」がありました。
今まで生きてて法曹三者に関わることがなかったので（近所のお姉さんが裁判官になった話をきいたぐらい）、無知全開なので読んでて新鮮です。
話としては、タイムリープと登場人物が出揃うまでは本当に面白かったですが、どこに着地点を置くかあたりでちょっとごちゃごちゃした印象を受けました（私の頭の整理が追い付かなかっただけですが）。