Posted by ブクログ
2013年02月15日
タイトル通りに、男性が育休を取得して子育ての悩みを抱えながら、何とか乗り切ってきたそのエピソードと育児の自分なりのコツの本、と考えるとありきたりです。それよりも、もっと家事・育児に関する悩みの深いところを照らしてくれているのではないかなと。
「男性が育休を取得することに対しての偏見」はもちろん大きい...続きを読むでしょうが、世間一般にはそれ以外にも「男性の家事・育児」に関する偏見はとにかくたくさんあるということ。
例えば本書の場合、著者が育休を取得していることは別として、保育園に子供を迎えに行く場合は保育園のスタッフから「男性ではまともな子育てなんてできやしないだろう」という偏見で見られることなどがあるということ。
これに限らず、いまだに男が家事や育児をすることに対しての偏見は非常に多いです。私自身そういう経験をたくさんしてきました。料理が好きだ、家の掃除が好きだ、洗濯が好きだ、そんなことを言えば、男性の同僚や友人からはそんなことして大変じゃないのか、奥さんは何してんだ、俺には考えられない、遊びに行けなくてかわいそう、男の仕事じゃないだろ、などなど。いろいろなバイアスがかかって私のことを見てくるわけです。
こういった偏見、固定観念みたいなものに対して、そんなことない、男が自分の家の家事や育児を奥さんと分担するのは当たり前のことだ、と反論が浮かぶこともあれば、そうだよねと同意して諦めている自分もいたりするわけで、この悩みはなかなか分かってはくれない。
結局は単純な話、男性が家事・育児をする歴史が浅くて市民権を得ていないから、でしょうけれども、それならばそれで積極的に家事・育児をこなそうとしている男性こそ、もっと温かい目で見てほしいなと思ってしまうわけです。下手だとしても、どうせ男だから上手くできないだろう、という目で見ずに。
本書は、そういった「表見しずらかった悩み」さえ何とかしなければ、もっと男性の家事・育児参加に対する理解が世の中に浸透しなければならないという気持ちが随所に見られたような気がします。ただの育児アドバイスではなく、偏見に晒された時の著者の気持ちを共有することで、今現在育児・家事に奮闘している我々の力になってくれる、そんな思いが込められているように感じました。